一生懸命に食事や生活習慣を改善しても症状が良くならない理由

私たちの体には「気」と呼ばれるエネルギーが巡っています。東洋医学では、この「気」のバランスが崩れることで様々な不調が現れると考えられています。中でも「肝気（かんき）」は私たちの健康に大きく関わる重要な気の一つです。

しかし、現代社会では知らず知らずのうちに肝気のバランスを乱してしまうことが少なくありません。頑張っているのに症状が改善しないという方は、もしかすると肝気の乱れが原因かもしれません。

今回は肝気の働きと、肝気が乱れるとどのような症状が現れるのか、そして肝気を整えるためにできることについてご紹介します。

肝気とは？体内のエネルギーの流れを左右する重要な働き

肝気には気血を全身に配っていく働きがあります。ちょうど樹木が葉を茂らせて大地に根っこを伸ばしていくように、風が淀みなく流れていくように、伸びやかに緩やかに体の隅々に巡っているものです。

ところが本来なら伸びやかに巡るはずの肝気が滞ってしまうと、様々な病気につながります。

肝気の状態によって現れる症状は大きく分けて二つのパターンがあります：

1. 肝気が充実している方の場合：肝気が過剰になると、イライラ、怒りっぽい、落ち着かないなど、エネルギーが充満した状態の病気になります。
2. 肝気が弱っている場合：届かない部位が目立つことで、全身のだるさ、すぐに疲れる、ゆううつなど、エネルギーの不足した病気になります。

どうして肝気が悪くなるのですか？

肝気が健康な状態でいるためには伸びやかさがとても大切です。しかし、私たちの生活の中には肝気の伸びやかさを奪うものがたくさんあります。

例えば：

• 上からの命令で管理されすぎると息が詰まってしまうように
• 固定的な考え方や画一的な価値観など
• 周囲から枠をはめるような考え方が強すぎると

これらが肝気の伸びやかさを奪うことになります。

具体的な例として、「この食べ物は良い」「この食べ物は身体に悪い」といった「こうあるべき」という考え方を必要以上に厳格に守っていると、肝気は伸びやかさを失います。

もちろん食べ物の良し悪しや体質に合った食べ物、生活習慣もとても大切です。しかしそれが行き過ぎてしまい、余りにも画一的な価値観に押し込めてしまうと、肝気の働きが悪くなって病気につながるのです。

どうしたら肝気のバランスを改善できますか？

もちろん知識もとても大切ですが、肝気が伸びやかさを維持するには体の声を聴くようにして身体に任せるようにする方が良いでしょう。

無意識の部分は脳の90％以上とも言われていて、意識によってコントロールできる部位よりもさらに大きな働きを担っている、いわばスーパーコンピューターのようなものです。

そのスーパーコンピューターからの働きかけとして体の声があります。その声に耳を傾けるようにすることで、肝気は伸びやかになり、健康につながると思います。

ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい

肝気のバランスを整えるための自然療法としては、以下のようなアプローチがおすすめです：

• 適度な運動: 特に自然の中でのウォーキングや太極拳などのゆったりとした動きは肝気の巡りを良くします
• 深呼吸と瞑想: 意識的に呼吸を整えることで、気の流れが改善されます
• 柔軟性のある考え方: 固定観念や厳格なルールに縛られすぎないようにしましょう
• 自分の体の声を聴く時間: 忙しい日常の中でも、自分と向き合う時間を持ちましょう

肝気の滞りに効果がある漢方薬

• 柴胡疏肝湯（さいこそかんとう）: 肝気の滞りを改善し、気の流れをスムーズにする効果が期待できます
• 柴胡加竜骨牡蛎湯（さいこかりゅうこつぼれいとう）: イライラや不安感を和らげ、肝気の過剰な状態を鎮める働きがあります
• 加味逍遙散（かみしょうようさん）: 肝気の滞りによる情緒不安定や更年期症状に効果が期待できます

※これらはあくまで肝気の乱れに対して効果が期待できる一般的な漢方薬の紹介です。症状が複雑な場合には単独では効果がない場合もありますので、当店での漢方相談をご利用ください。

まとめ：肝気を整えて本来の健康を取り戻す

肝気のバランスを整えるためには、体の声に耳を傾け、固定観念にとらわれすぎず、自然な流れに任せることが大切です。必要以上に厳格なルールや画一的な価値観に縛られることなく、自分の内なる声を大切にしましょう。

本来、私たちの体は驚くほどの自己調節能力を持っています。その能力を最大限に発揮させるためにも、肝気が伸びやかに巡るような生活を心がけてみてください。きっと体の調子も心の状態も、少しずつ良い方向に変わっていくでしょう。

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