漢方医学から見る腰痛の原因と改善法〜「腎気」を強化して根本から改善しよう〜

関節の痛み
ピヨ先生
ピヨ先生

こんにちは
どうなさいましたか?

にゃんたろう
にゃんたろう

腰痛にお悩みの方から
質問をいただきましたよ

腰痛でお悩みの方は多いのではないでしょうか?日本人の約8割が一生のうちに一度は腰痛を経験するとも言われています。湿布や鎮痛剤で一時的に症状を抑えても、根本的な解決には至らないケースが多いのが現実です。

今回は、東洋医学の視点から腰痛の本当の原因を解説し、漢方医学ならではの改善方法をご紹介します。このお話を通して、腰痛が改善するための小さなヒントを得ていただければ幸いです。

まずは、腰の構造を理解することから始めましょう。

外見的な特徴とお悩みの症状など

  • 年齢:記載なし
  • 身長・体重:記載なし
  • 体型:記載なし

主な症状:

  • 腰痛が良くならない
  • その他の詳細は記載なし

腰痛はなぜ起こる?腰の構造と負担の仕組み

腰は脊椎(せきつい)と呼ばれる背中を貫く骨によって支えられており、腰部にある部分は腰椎と呼ばれています。

人間は直立二足歩行をするため、腰部には常に強い負担がかかっています。体重の約60%もの重さが腰にのしかかるとも言われており、体重60kgの人なら36kgにもなるのです。

さらにこの負担は姿勢によって変化します:

  • 立っている時の腰椎への負担を1とすると
  • 座った時は1.4倍以上
  • 前かがみになると2.5倍以上

このように腰は常に大きな負担がかかる部位のため、腰椎の関節が健康を保てなくなると、腰痛として症状が現れるのです。

関節の仕組みを理解する

人が体を自由に動かせるのは、関節を曲げ伸ばしできるからです。関節は骨と骨のつなぎ目ですが、硬い骨同士が直接ぶつかると破損してしまいます。そのため:

  • 骨と骨の間に軟骨があり、クッションの役割を果たしています
  • 軟骨には神経や血管がないため、一度破壊されると再生しにくい
  • 関節は関節包で包まれ、その内側には滑膜がある
  • 滑膜からは関節液が分泌され、車のオイルのように関節の動きを滑らかにする
  • 関節液は血管のない軟骨に栄養を供給する重要な役割も果たしている

この関節液の流れが滞ると、軟骨への栄養供給が不足し、関節同士の摩擦が増加するなど様々な問題が生じて関節の状態が悪化していくのです。

東洋医学から見た腰痛の原因とは?

東洋医学では腰痛の原因をいくつかの視点から捉えています。ここでは主な3つを見ていきましょう。

1. 腰部周辺の筋力低下と「腎気」の関係

東洋医学では、腰痛は腎気の衰えが原因と考えています。腎気には身体全体の潤い(腎陰)や熱源(腎陽)を提供する働きだけでなく、体の土台を支える働きもあります。

腎気が衰えると、体の土台である腰を支えられなくなり腰痛になるのです。具体的には:

  • 腰を支える固有背筋は東洋医学では腎気と関係している
  • 筋肉が姿勢を支えるには「筋トーヌス」と呼ばれる姿勢維持機能が重要
  • 筋トーヌスは筋紡錘という受容器によって維持される
  • 老化や過労で腎気が衰えると、背筋の緊張度が低下
  • 固有背筋が緩むと正しい姿勢が維持できず、腰に負担がかかる
  • 場合によっては腰の骨がズレ、神経や血管が圧迫されて痛みが出ることも

椎間板ヘルニアも固有背筋の緩みによる負担が影響している可能性があります。実際、ヘルニアの保存療法には筋力強化のリハビリが推奨されていることからもわかります。

2. 骨の新陳代謝の問題

腰痛の原因として、骨の異常も考えられます。骨も他の細胞と同様に日々新陳代謝を繰り返しています:

  • 古い骨は破骨細胞によって吸収され、骨芽細胞によって新しい骨が作られる
  • 骨を作るには材料(カルシウムなど)だけでなく、エネルギー源も必要
  • 東洋医学では、物質を構築するには腎陽の熱によって活性化させることが必要と考える
  • これは工場で機械を動かす電気のようなもの
  • 材料がいくらあっても、エネルギー(腎陽)が不足していれば骨は作れない

腎陽が低下している状態では、どんなに牛乳や乳製品を摂取しても、その材料がかえって邪魔になり関節の痛みの原因となることがあるのです。

3. 腰部周辺の巡りの悪さ

関節トラブルの一つである「腫れ」は、関節内に必要以上の水分が充満している状態です。

東洋医学では、痛みの原因は「気や血液などの流れが滞る」ことと考えています。1200年頃の「此事難知」という書物に「不通則痛・通則不痛(通じなければ痛み、通じれば痛まず)」と記されているほど基本的な考え方です。

関節周囲に余分な水分が充満し、気血の流れが妨げられると痛みとなって現れるのです。

東洋医学でみる関節障害の進行過程

関節の異常は以下のように進行していきます:

  1. 水分の流れの滞り
    • 冷え、ストレス、運動不足、過労、寝不足などが原因
    • 体内の水分は重いため、下部に溜まりやすい
    • 腰周辺に滞ると「ズーンと重く沈み込むようなだるさ」を感じる
    • 濡れタオルのように冷たさを感じることも
  2. 気の流れの滞り
    • 水の滞りにより気の流れが妨げられる
    • 一か所に留まった気はエネルギーが集中し熱を生じる
    • 風船が膨らんだように気が外に出られずこもっている状態
    • 腰周辺では張りや熱感を感じるようになる
  3. 血の流れの滞り
    • 血には鉄が含まれ比重が重いため、動かすには強いパワーが必要
    • 血が滞ると関節包や腱、筋などに栄養が届かなくなる
    • これらの部位は修復されずに硬くなり、関節が動きにくくなる
    • 芯部に突き刺さるような痛みが出てくる
    • 関節液が熱によりドロドロになり、関節の動きが悪化
    • 関節の炎症が進み、破壊が進行することも

特に腎気に負担がかかっている体質の方は骨の変形が進みやすくなります。腎陽が弱ると気血や水分の巡りが全体的に悪くなり、停滞しやすくなるのです。

このように腰痛には、腎気の弱さが深く関わっていることがわかります。

ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい

ここからは、腰痛を改善するための方法をご紹介します。まずは漢方薬がどのように働くかを、補腎薬として有名な八味地黄丸を例に説明します。

八味地黄丸の働き

八味地黄丸は8種類の生薬で構成され、以下のように作用します:

  1. 地黄:体の深部に腎陰などの潤いや血液の材料を補充 (ロウソクの火力を大きくするために、炎だけでなくロウソク自体を太くする発想)
  2. 山茱萸、山薬:気や熱を補いつつ潤いを補充。緩んだ筋肉を引き締める働きがあり、筋紡錘の緩みを解消
  3. 茯苓:お腹の働きを応援しながら、停滞している水分を巡らせて下方へ持っていく
  4. 沢瀉:こもった熱を冷まし、余分な水分を体外へ排出
  5. 牡丹皮:滞って熱を持ったドロドロの血液を巡らせ、体内を浄化
  6. 附子:腎陽を強力に温め、全身機能を高める。気血の流れを活発にし、構造物を作る働きを強化
  7. 桂皮:腎陽を温め、通りにくい部分の血液循環を改善

これらの働きにより:

  • 筋紡錘の機能を高め、固有背筋の緩みによる腰椎のズレや負担を軽減
  • 骨の材料となる腎陰と、骨を作り出す腎陽を補い、骨の新陳代謝を活発にする
  • 関節周辺の余分な水分を排除し、関節の機能を正常化
  • 滞った熱を解消し、栄養の運搬をスムーズにする

体質に合った漢方薬を選ぶ重要性

八味地黄丸が全ての腰痛に効くわけではありません。体質に合わない場合は、かえって悪化することもあります:

  • 熱の補強が不要な方
  • 腎陰の補充が不要な方
  • 八味丸の水排除力では不十分な方

特定の体質の改善に効果が期待できる漢方薬としては:

  • 六味丸:腎陰虚(潤いの不足や疲れが強い)の方向け
  • 独活寄生湯:腰や下肢が重だるく、冷えを伴う方向け
  • 疎経活血湯:腰や膝の痛みやしびれがある方向け

症状が複雑な場合には、単独の漢方薬では効果が見られないことがあります。ピヨの漢方では個々の体質に合わせた漢方相談を行っておりますので、お気軽にご相談ください。

自分でできる東洋医学的な腰痛予防対策

腰痛の原因は腎気の衰えが関係しているため、腎気の働きを保つことが改善の鍵となります。以下に、体質に関わらず実践できる対策をご紹介します。

1. 夜更かしは控えましょう

人間の身体は昼間の活動で消耗した部位を夜間の睡眠で回復させています:

  • 夜更かしにより回復が追いつかないと、気血の巡りが悪化
  • 損傷部位の回復が不十分になり、さらに損傷が進む
  • 東洋医学では夜は腎気との関係が深い時間帯
  • 腎気を回復させるべき時間に消耗すると、腎気が衰える
  • 気血の運行力も低下し、腰痛を起こしやすくなる

できるだけ早く就寝し、十分な睡眠をとることが大切です。

2. 食生活を見直しましょう

体が必要以上の栄養を摂ると、余分なものが停滞・充満してしまいます:

  • 食べ過ぎ飲み過ぎは体内の充満を作る原因に
  • 充満が関節周囲の流れを妨げる
  • 食事は体の声(空腹感や喉の渇き)を聴いて適量を心がける
  • 冷たいビールやアイスクリーム、生ものなど、体を冷やす食品は適量に
  • これらの摂り過ぎは腎陽を衰えさせる
  • 緑茶やコーヒーも体を冷やす性質があるので注意

特に緑茶は生薬としても扱われ、熱を冷ます効果がありますが、冷たい状態で大量に飲み続けると、水分がお腹に溜まり、不眠や吐き気、腰や足の痛みなどを引き起こすことがあります。

3. お腹のケアと適度な運動を

食べ過ぎや飲み過ぎでお腹に負担がかかると:

  • お腹が硬くなり、その歪みが腰の骨をズラす
  • 気血の巡りも悪くなる

お腹のケア法

  • 仰向けになり、無理な力をかけずお腹を気持ちの良い範囲で押す
  • 蒸したバスタオルでお腹を温めながら行うとより効果的

運動のポイント

  • 軽く汗ばむ程度の適度な運動で全身の巡りを回復
  • 特に四股を踏む、坂道や階段を散歩するなどは腎気を鍛える効果あり
  • 無理のない範囲で継続することが大切

まとめ

東洋医学の視点から見ると、腰痛の根本原因は腎気の衰えにあります。それにより固有背筋の緩み、骨の新陳代謝の低下、気血の巡りの悪さが生じ、痛みとして現れます。

漢方薬は体質に合ったものを選ぶことが重要です。同時に、早寝早起き、適切な食生活、適度な運動など、日常生活の改善も欠かせません。

腰痛でお悩みの方は、まず整形外科で現代医学的な診断と治療を受け、その上で東洋医学的なアプローチを取り入れることをおすすめします。体質改善のためのアドバイスを日常生活に取り入れることで、腰痛の根本的な改善が期待できるでしょう。

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ピヨ先生
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