
こんにちは
どうなさいましたか?

外反母趾にお悩みの方から
質問をいただきましたよ。
外反母趾でお悩みの方は多いのではないでしょうか。特に中高年の女性に多く見られるこの症状は、単なる足の変形ではなく、東洋医学的には体全体のバランスの崩れを反映していることがあります。
今回は59歳女性の症例を通して、外反母趾の東洋医学的な見方と、日常生活で取り入れられる自然療法についてご紹介します。
靴の形や遺伝的要素だけでなく、体内の「水の巡り」や「腎気の状態」が外反母趾と密接に関わっているという視点は、西洋医学とはまた違った解決策のヒントになるかもしれません。一緒に見ていきましょう。
外見的な特徴とお悩みの症状
- 年齢:59歳
- 性別:女性
- 身長:154cm
- 体重:47.8kg
- BMI:20.16
主な症状:
- 外反母趾
- 長距離を走ると痛みが出る
- 舌の苔の上の水分が水っぽい
- 苔が舌の外側には無い
外反母趾とはどのような症状なのでしょうか?
外反母趾は、足の親指が小指側に曲がっていき、歩くことで炎症が生じて痛みを引き起こす症状です。この症状の原因としては、靴の形の影響や遺伝的な要素も指摘されていますが、特に関節を支えている靱帯や筋肉の緩みがある方に多く見られる傾向があります。
この靱帯や筋肉の緩みがなぜ起こるのか、それを東洋医学的な視点から見ていくと、体質的な特徴が見えてきます。
この方の体質にはどのような特徴がありますか?
この方の場合、顔色は普通で、皮膚や髪の毛も正常、舌の色や形も正常ですので、身体全体のバランスとしてあまり目立つ偏りはありません。
しかし、舌の苔の上の水分が水っぽく、苔が外側には無いことから、水が体の下部に集中していて、全身に適切に拡がれていない様子が感じられます。
また、以下の症状からも体質的な特徴が見えてきます:
- 1日の小便の回数が8回とやや多い
- 夜間尿に行く日がある
- 閉経しているものの不正出血がある
- 腰痛がある
これらの症状から、腎気に負担がかかっているように感じられます。
さらに、浮腫みなどはないものの、喉の渇きがない状態で、普通の硬さではあるものの1日に何度も出る大便の様子からは、目立たないながらも水の動きの悪さが存在する可能性があります。
腎気に負担がかかるとどうなりますか?
腎気には体の土台を支え、緊張や張りを保つ重要な働きがあります。腎気は年齢と深く関係しており、子供は勢いが強く、壮年期になるとその強さはピークを迎え、老年期になると徐々に勢いが弱まっていきます。
腎気が衰えると、体を支える緊張や張りを保つことができなくなり、例えば腰が曲がってくるといった症状が現れます。腎気の弱りが筋肉や靱帯の緊張度に影響することで、腰痛を引き起こすこともあります。
そして、足の親指を支える靱帯に腎気の弱さの影響が及んで緩んでしまうと、親指を正しい位置に支えることができなくなり、外反母趾になりやすくなるのです。
水の動きが悪いとどうなりますか?
東洋医学の経絡(けいらく:体内のエネルギーの通り道)の考えでは、親指の外側には**お腹と関係の深い脾経(ひけい)**と呼ばれる気血の通り道が巡っています。
脾経がお腹への負担で弱ると、脾経の通っている場所で影響が出ます。例えば、よく噛まずに食べる方や、空腹感を無視して時間で食事を摂ることが多いなど、お腹への負担が強い方は、膝の内側を通っている脾経が影響を受けて緩み、ズレて痛くなりやすいとも言われています。
水を動かすのは腎気と共に脾気が関わっていますので、この方の大便の様子や喉の渇きの様子から、お腹に負担がかかっていて水の巡りが悪く、それが脾経に歪みを作る原因となって外反母趾となっている可能性が考えられます。
ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい
医療機関で指導されているセルフトレーニングは継続されることをおすすめします。それに加えて、東洋医学的な観点から以下の点に注意されると良いでしょう:
- 水分の摂取について
- 熱中症の季節以外は、喉の渇きを感じてから飲むようにする
- 冷たい飲み物よりも常温か温かい飲み物を選ぶ
- 食事の取り方について
- お腹が空いてから食事をする習慣をつける
- よく噛んで食べる(一口30回程度)
- 腹八分目を心がける
- 足のケア
- 親指と人差し指の間を優しくマッサージする
- 足の裏全体をゆっくりほぐす
- 足首を回す運動を朝晩行う
これらの自然療法により、水の巡りが改善し、腎気の負担も軽減される可能性があります。
外反母趾に効果が期待できる漢方薬
以下は外反母趾の症状改善に効果が期待できる漢方薬です。ただし、これはあくまで水の巡りの悪さや腎気の弱さといった体質改善に効果が期待できる漢方薬の一例であり、個人の症状や体質によって適切な漢方薬は異なります。
- 牛車腎気丸(ごしゃじんきがん):腎気を補い、腰痛や下肢のしびれに効果が期待できる漢方薬
- 防已黄耆湯(ぼういおうぎとう):水の巡りを改善し、むくみや下肢の重だるさに効果的
- 六味丸(ろくみがん):腎陰を補い、体のバランスを整える漢方薬
症状が複雑な場合には、単独の漢方薬では効果が現れにくいこともあります。当店では個々の症状や体質に合わせた漢方相談も行っておりますので、お気軽にご相談ください。
まとめ
外反母趾は単なる足の問題ではなく、東洋医学的には腎気の弱さや水の巡りの悪さが根本的な原因となっている可能性があります。
特に中高年になると自然と腎気は弱まりますが、日常生活での小さな工夫で症状を緩和できることもあります。水分の摂り方や食事の取り方を見直し、適切な運動と共に、体全体のバランスを整えていくことが大切です。
外反母趾でお悩みの方は、足だけでなく、体全体の状態を見直してみると、新たな改善策が見つかるかもしれませんね。
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