【多汗】顔や頭の汗が夏場に悪化して不眠になる理由

汗の悩み
ピヨ先生
ピヨ先生

こんにちは
どうなさいましたか?

にゃんたろう
にゃんたろう

多汗にお困りの方から

質問をいただきましたよ。

皆さん、汗の悩みはありませんか?特に暑い季節になると「汗が止まらない」「いつも上半身が熱い」という症状に困っている方も多いでしょう。今回は、32歳で夜勤勤務をしながら多汗症と不眠に悩む方の事例をもとに、東洋医学的な視点から多汗の原因と対策について解説します。

実は汗の問題は単なる「暑さ」だけではなく、体内の気(エネルギー)の流れ水分代謝のバランスが大きく関わっています。特に夜勤のような不規則な生活リズムは、体のバランスを崩しやすく、様々な不調を引き起こす原因になることも。今回の事例を通して、あなたの汗の悩みを解決するヒントが見つかるかもしれませんね。

外見的な特徴とお悩みの症状

  • 年齢:32歳
  • 職業:夜勤勤務
  • 体型:ぽっちゃり体型
  • 体質:手足が冷えるが体力はある
  • 舌の状態:白っぽい

主な症状:

  • 6年前から上半身(脇、胸元、顔、頭)の多汗
  • 夏は日傘をさしても汗が吹き出してフラフラになる
  • 上半身が熱く、動悸がある
  • 甲状腺、ホルモン、心臓の検査で異常なし
  • 不眠がひどく、3時間前後で目が覚める
  • 睡眠薬を服用中だが汗は減らない
  • 複数の漢方薬(加味逍遙散、黄連解毒湯、竜胆瀉肝湯、生脈散)を試すも効果なし

東洋医学では汗をどのように考えるのですか?

東洋医学では、汗は単なる体温調節のための水分ではなく、体内のエネルギーバランスを反映する重要なサインと考えられています。

汗の仕組みは、まず体の内側で作られた水分を肝気(体内のエネルギーの流れを調整する働き)によって体の表層まで運びます。そして、表層の調整を担う肺気によって、いわば皮膚の「スリット」の開け閉めをコントロールすることで、汗を出すか出さないかの適度な状態が保たれているのです。

この運搬を担う肝気は心気によって調整されているため、汗は「心の液」とも言われ、心(精神面)との関連も深いものと考えられています。ですから、心気の乱れ、肝気の乱れ、肺気の乱れなどがあると、多汗の状態になると考えるのです。

つまり、多汗症の問題は、単に「汗腺の働きが活発」というだけではなく、体内の気のバランスの乱れが根本にあることが多いのです。

どうして多汗になったのですか?

この方の場合、脇から胸元、頭や顔など上半身を中心に汗が多いことから、体の上部での気の乱れがあることが推測されます。

体質的な特徴として、体力はあるものの舌は白っぽく、ぽっちゃり体型で手足は冷えるとのことから、陽気の不足(体を温め活性化させるエネルギーの不足)や水分代謝の停滞があると考えられます。

上半身が熱く動悸があることから肝気の巡りの乱れが感じられますし、不眠で途中で目が覚めてしまうことから潤いの不足も見られます。この潤いの不足が、さらに肝気の過剰な上昇を煽っているのかもしれません。

これらの要因により、身体全体では強い勢いではないものの、特に上半身などの上部において外へと向かう力が強まっています。そして、それが停滞している水分を巻き込むことで多汗になっていると推測できるのです。

また、夏や暑い時には気の巡りが外向きに強まりますので、季節的な要因も加わって余計に汗が多くなるのでしょう。

漢方薬が効かなかったのはなぜですか?

この方の場合、複数の漢方薬を試されたにもかかわらず効果が現れなかったようですね。その理由は、症状の複雑さにあると考えられます。

この方の体質と症状を見ると、次のような複数の要因が絡み合っています:

  • 巡らせる力(気)の不足
  • 余分な水分の停滞
  • 肝気の乱れ
  • 睡眠不足による潤いの不足

こうした複雑な状態に対して、肝気を整えるだけ、熱を冷ますだけ、水を足すだけなど、一つの作用に特化した漢方薬では効果が限定的だったのかもしれません。

多汗と不眠という複数の症状が長期間続いている場合、体質の根本的な改善複数のアプローチの組み合わせが必要になることが多いのです。

どうしたら良いのですか?

この方の状態を改善するためには、以下のようなアプローチが考えられます。

漢方薬については、肝気の乱れを整えるものと全体的な巡りを応援するものを組み合わせる必要がありそうです。単一の漢方薬ではなく、複合的なアプローチが効果的でしょう。

生活習慣としては、全体的な気の巡りを整えて気の滞りを解消するために、適度な運動を取り入れることをおすすめします。特に、上半身と下半身の温度差を減らすような全身運動が効果的でしょう。

また、ぽっちゃり体型とのことですので、もしかしたら水分の摂りすぎなどもあるかもしれません。水分の摂りすぎは肺気への負担になりますし、汗の材料を補充することにも繋がりますので、水分摂取の量やタイミングにも工夫が必要かもしれませんね。

ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい

この方の体質と症状を考慮すると、以下のような自然療法が効果的かもしれません:

  1. 呼吸法と軽いストレッチ
    • 腹式呼吸を意識した深い呼吸で肺気を整えます
    • 特に肩や首周りのストレッチで上半身の気の流れを改善しましょう
    • 就寝前のリラックスタイムに取り入れると、不眠改善にも効果的です
  2. 食生活の見直し
    • 水分の多い生野菜や果物は適量に抑える
    • 温かい食事を中心に、体を冷やしすぎない食材選びを心がける
    • 特に夜勤の前後は消化に負担をかけない食事内容にしましょう
  3. ツボ押し
    • 合谷(ごうこく):手の親指と人差し指の付け根の窪み
    • 内関(ないかん):手首のシワから指3本分上がった腕の中央
    • 三陰交(さんいんこう):くるぶしの内側から指4本分上がった場所

これらのツボを1日2〜3回、気持ち良いと感じる強さで1分程度押してみてください。

多汗体質の改善に効果が期待できる漢方薬

以下に紹介する漢方薬は、特定の「多汗と不眠を伴う体質」の改善に効果が期待できるものです。ただし、個人の体質や症状の複雑さによっては、単独では効果が現れない場合もあります。

  • 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう):精神不安や不眠を伴う多汗に。肝気の乱れを整え、精神を安定させる効果があります。
  • 黄連阿膠湯(おうれんあきょうとう):陰液不足(体内の潤いの不足)による熱感や不眠、多汗に。特に夜間の寝汗や熱感を伴う不眠に効果的です。
  • 苓桂味甘湯(りょうけいみかんとう):気の不調からくる多汗、むくみ、冷えなどに。上半身と下半身のバランスを整える効果があります。

これらの漢方薬は、あくまでも参考情報としてご覧ください。当店では、個々の体質や症状に合わせた漢方相談も行っておりますので、複雑な症状でお悩みの方はぜひご相談ください。

まとめ:多汗と不眠の改善に向けて

今回ご紹介した多汗と不眠の症例から、東洋医学では体内の気のバランスや水分代謝が重要であることがわかりました。特に肝気、心気、肺気の関係性が汗の出方に大きく影響しています。

多汗症と不眠に悩む方は、以下のポイントを意識してみましょう:

  1. 上半身と下半身のバランスを整える
  2. 適度な運動で気の流れを改善する
  3. 水分摂取の量とタイミングを見直す
  4. リラックス法で心気を安定させる
  5. 複合的なアプローチで体質改善を目指す

体質改善は一朝一夕にはいきませんが、継続的に取り組むことで必ず変化が現れます。特に夜勤など不規則な生活リズムの方は、より意識的に体のケアを行うことが大切です。

汗の悩みは見た目にも関わるため精神的なストレスも大きいですが、あなたの体からのサインとして受け止め、根本的な改善を目指していきましょう。

YouTubeでも解説しています。

YouTube player
ピヨ先生
ピヨ先生

ご自分の体質にあった

漢方薬を試してみたい方は

ピヨの漢方の漢方相談を

ご利用ください。

タイトルとURLをコピーしました