後鼻漏で喉がイガイガする原因と改善策|漢方的アプローチ

鼻の不調
ピヨ先生
ピヨ先生

こんにちは
どうなさいましたか?

にゃんたろう
にゃんたろう

後鼻漏にお悩みの方から
質問をいただきましたよ

喉の奥に何かが引っかかる感じ、特に夜寝ている時に悪化する不快なイガイガ感…。もしかしたらそれは「後鼻漏」が原因かもしれません。

後鼻漏は多くの方を悩ませる症状ですが、西洋医学的な対処法だけでなく、東洋医学的なアプローチから見ると、体内の水分バランスや「気」の流れの乱れが関係していることがわかります。

この記事では、44歳女性の実際の症例をもとに、後鼻漏による喉のイガイガ感が生じる原因と、生活習慣の改善を中心とした自然療法による対処法をご紹介します。辛い症状でお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。

症例紹介:44歳女性の後鼻漏改善例

今回ご紹介するのは、後鼻漏による喉のイガイガ感に悩む44歳女性の症例です。

外見的な特徴とお悩みの症状

  • 年齢:44歳
  • 性別:女性
  • 身長:165cm
  • 体重:53kg
  • BMI:19.47
  • 顔色:赤ら顔
  • 皮膚・髪:乾燥気味
  • 舌の状態:赤っぽく、苔は少ないがべたつき、苔の上に水分が多い、舌裏の静脈は細いが見える

主な症状:

  • 後鼻漏による喉のイガイガ感
  • 特に寝ている時に悪化する

後鼻漏はなぜ起こるの?鼻の仕組みから考える

鼻の仕組みを知ることで、後鼻漏の原因がより理解しやすくなります。

鼻の中には「鼻腔」と呼ばれる空洞があり、その奥には「副鼻腔」と呼ばれる計8つの空洞が目や鼻の周囲の骨の中に広がっています。鼻は単なる空気の通り道ではなく、重要な3つの機能を持っています:

  1. 呼吸する空気のフィルター役(ゴミやチリを除去)
  2. 通過する空気の加温・加湿器としての役割
  3. 嗅覚を担う感覚器官

特に注目したいのは、鼻の粘膜から分泌される粘液です。この粘液は1日に数リットルも分泌されているといわれていますが、その約7割は鼻で再吸収され、残りの3割は通常、喉の方へと流れ込み、無意識のうちに飲み込まれています。

健康な状態では気にならないこの流れが、何らかの理由で変化すると、後鼻漏として自覚症状が現れるようになります。

後鼻漏が喉のイガイガを引き起こす4つの理由

東洋医学的な視点から見ると、後鼻漏が喉のイガイガを引き起こす主な原因は以下の3つです:

  1. 体内の余分な水分の停滞
    喉の渇きを感じなくてもお茶やコーヒーを飲んだり、空腹感がなくても時間で食事をしたりすると、体内に不要な水分が溜まり、鼻水の量を増やす原因になります。
  2. 体の中心部(お腹)の冷え
    冷たい飲み物や生野菜、刺身などの体を冷やす食品を摂り続けると、体内の水分循環が弱まります。これにより余分な水分が体のあちこちに停滞し、鼻水が増えたり、粘性が高まったりします。
  3. ストレスによる気の滞り
    東洋医学では、体内の水分は「気」によって全身へ運ばれると考えます。ストレスにより気が滞ると、水の巡りが悪くなり、鼻水が粘り気を持つようになります。また、気の滞りによって生じた熱で水分が「煮詰められる」と、さらに粘度が高まります。
  4. 炎症と細菌感染
    後鼻漏になると鼻腔内で繁殖した細菌を含んだ粘液が後鼻漏として喉へ流れ落ちます。このような粘液は喉の粘膜を刺激するため、イガイガ感が生じるだけでなく、時には咳を誘発することもあります。炎症性の後鼻漏は特に強い不快感を伴うことが多いでしょう。

これらの原因が複合的に作用すると、鼻から喉へ流れる水分の量や質が変化し、喉のイガイガ感として自覚されるようになるのです。

この方の体質は?東洋医学的な見立て

この方の症状と体質を東洋医学的に分析すると、以下のような特徴が見られます:

  1. 水分バランスの乱れ
    舌の苔が水っぽい、白っぽい痰、口のねばつきなど水分停滞の兆候がある一方で、髪や皮膚の乾燥、不眠傾向など乾燥症状も見られます。部位によって水分状態に差があり、水分循環の異常が示唆されます。
  2. 気の滞りと上向き過剰な流れ
    ゲップやガスで楽になる、喉の引っかかり感、月経前の胸の張りなどから、気の滞りが見られます。特に気が上向きに過剰に流れる傾向があり、これにより水分も下降しにくくなっています。
  3. 腎陰の不足
    月経血の少なさ、全身倦怠感、息切れ、腰痛などから、体の基礎となる水分である「腎陰」の不足が考えられます。

これらの要素が複合的に作用した結果、特に横になって寝る時に鼻水が喉へと流れ落ち、イガイガ感として自覚されていると考えられます。腎陰不足により相対的に熱が過剰となり、鼻周辺の水分が粘性を帯びて動きが悪くなっているのです。

ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい

この方の症状改善には、以下の自然療法がおすすめです:

1. 睡眠時間と質の改善

不眠傾向があるようですが、たとえ眠れなくても就寝時間を早め、横になる時間を増やすことが大切です。体の中の潤いの基となる腎陰は睡眠中に回復するため、夜更かしは症状を悪化させる原因になります。

眠れなくても、目を閉じてリラックスした状態でベッドや座椅子で体を休めることで、腎陰の消耗を防ぎましょう。

2. 適度な運動と体の巡り改善

昼間に散歩などの軽い運動を取り入れることで、上向きに偏った気や熱を手足の末端へ降ろし、水分循環を改善することができます。これにより、鼻周辺の水分の流れもスムーズになり、適度な疲労感から睡眠の質も向上します。

3. 呼吸法による気の安定

就寝前に「臍の下の丹田」(おへその下約3〜4cm)に意識を集中し、吐く息を長めにする呼吸法を実践してみましょう。この方法は筋肉の緊張を緩め、頭に上がった気を下げる効果があります。

早めに布団に入り、リラックスした状態でこの呼吸法を行うことで、気の流れが整い、症状の改善につながります。

後鼻漏改善に期待できる漢方薬

以下の漢方薬は後鼻漏など水分バランスの乱れに効果が期待できるものです。ただし、これらは一般的な薬効であり、個人の体質や症状に合わせた処方ではありません。

  • 藿香正気散(かっこうしょうきさん):水分代謝を改善し、痰や鼻水の排出を促進
  • 辛夷清肺湯(しんいせいはいとう):こもった熱を冷まし、潤いの補充をする事で鼻の調子を整える
  • 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう):のどの違和感や痰がらみを改善

症状が複雑な場合には、これらの漢方薬単独では効果が見られないこともあります。当店では個人の体質や症状に合わせた漢方相談も行っておりますので、お気軽にご相談ください。

まとめ:後鼻漏による喉のイガイガを改善するために

後鼻漏による喉のイガイガ感は、体内の水分バランスの乱れや気の流れの異常が原因となっていることが多いです。特に腎陰不足の方は、鼻周辺の水分が粘性を帯びて動きが悪くなり、横になった時に症状が悪化しやすくなります。

改善のためには:

  1. 早めの就寝と十分な休息
  2. 適度な運動による気と水の巡り改善
  3. 呼吸法による気の安定

これらの自然療法を継続的に実践することで、症状の改善が期待できます。

また、食生活においても、体を冷やす食品や飲み物を控え、温かい食事を心がけることで、体内の水分循環を整えることができるでしょう。

YouTubeでも解説しています。

YouTube player
ピヨ先生
ピヨ先生

ご自分の体質にあった

漢方薬を試してみたい方は

ピヨの漢方の漢方相談を

ご利用ください。

タイトルとURLをコピーしました