
こんにちは
どうなさいましたか?

鼻づまりにお悩みの方から
質問をいただきましたよ
日常生活で「なぜか鼻がつまる」「夜中にトイレで何度も目が覚める」「なかなか熟睡できない」といった症状でお悩みではありませんか?これらの症状は一見関係がないように思えますが、東洋医学の観点から見ると、体内の水分バランスや気の巡りと深く関連していることがあります。
今回は、鼻づまり、頻尿、不眠という一見バラバラに見える症状を同時に抱える52歳女性の方の体験談をもとに、東洋医学の視点からこれらの症状がなぜ起こるのか、そして自然な方法でどのように改善できるかをご紹介します。
どのような症状でお悩みだったのでしょうか?
外見的な特徴とお悩みの症状
- 年齢:52歳(女性)
- 身長:161cm
- 体重:53kg
- BMI:20.4
- 血圧:160(下の血圧は記載なし)
- 顔色:頬だけ赤く、その他は青白い
- 舌:歯の跡があり、舌の苔が白く厚く粘っこい状態
主な症状:
- 鼻づまり
- 頻尿(水分を摂らなくてもトイレが近い)
- 不眠(ウトウトしか眠れない)
- 右足指のしびれ(痛み)
- 慢性頭痛
- 低体温(35.5℃)
- 顔や頭だけ熱くなる
- あまり汗をかかない
- 便秘
- 末端部の冷え(夏でも)
病院でも検査を受けたものの特定の病名がつかず、ご自身では自律神経失調症ではないかと考えておられるとのこと。20代後半から動悸や息切れが始まり、原因不明の歯痛、不眠症も悪化しているそうです。
この方は特に「頻尿→不眠症の改善」を強く望んでおられます。「ぐっすり眠りたい」という切実な願いをお持ちです。
では、まず各症状の基本的なメカニズムを東洋医学の観点から解説した上で、この方の体質に合わせた対策を考えていきましょう。
なぜ鼻づまり・頻尿・不眠が起こるのでしょうか?
鼻づまりのメカニズム
鼻は呼吸の入り口として、以下のような重要な役割を担っています:
- 肺へ送る空気に潤いを与える
- 匂いを感じる
- 異物を追い払う
これらの機能を果たすために、鼻は適度に潤っている必要があります。常に水分の巡りが活発に行われている場所なのですが、何らかの理由でこの巡りが停滞すると、鼻の粘膜が腫れて通りが悪くなります。
腫れていることから分かるように、多くの場合は水分が過剰になっていることが原因です。その理由としては:
- 身体全体の水分バランスの乱れ
- 気の滞り
- 過剰な熱による乾燥(これが停滞の原因となることも)
頻尿が起こるしくみ
東洋医学では、体内の水分は次のように巡ると考えます:
- 飲食物から摂取した水分は、脾気(お腹の働きをコントロールするエネルギー)によって取り入れられる
- 腎陽(体の芯部の熱)によって温められて軽くなる
- 軽くなった水分は肺へと運ばれる
- 肝気(エネルギーの流れを調整する力)によって全身へ配られる
- 不要になった水分は膀胱へと集められる
膀胱に入った尿は、肝気の押し出す働きと腎気の留めておく働きのバランスによって調節され、適切なタイミングで排泄されます。
頻尿は以下のような原因で起こります:
- 腎陽の低下:水分を温めて軽くする力が弱まり、上方へ運ばれずにすぐ膀胱へ向かってしまう
- 肝気の滞り:緊張や精神的不安定によって尿を押し出す力が強まりすぎる
- 腎気の弱さ:膀胱に尿を留めておく力が弱まる
不眠が起こる理由
眠るためには、脳の活動を身体の潤いによって穏やかにする必要があります。東洋医学では、脳の働きを「心気」と呼び、心気を穏やかにするために「陰」(潤い)を心へ届けることで睡眠に入れると考えます。
不眠は以下のような原因で起こります:
- ストレスによる興奮状態
- 考え事や心配事などの過度の精神活動
- 体の機能低下による潤いの不足
この方の体質から見る症状の関連性
まず、不眠の原因から見ていきましょう。
この方の場合、身体の上部では潤いが不足していると考えられます。体の状態を見てみると:
- 顔や頭だけ熱くなる
- 汗をあまりかかない
- 皮膚は表面がべたつくのに中はカサカサ
- 爪が脆い
- 目が疲れやすく乾燥しやすい
これらは体の末端部や上部での乾燥や熱が目立っていることを示しています。
一方で:
- 舌の苔は白くて厚く粘っぽい
- 喉が渇くけど飲みたくない
- 口が粘る
- 足が浮腫む
これらの症状は、動きの悪くなった水分が体の中に停滞していることを示しています。
特に「喉が渇くけど飲みたくない」という状態は、喉では熱や乾燥で渇きを感じるものの、体内には動きの悪い水分が過剰に停滞しているため、水分摂取を欲しないという矛盾した状況を生み出しています。
冷えと水分バランスの関係
体温が35.5℃と低く、夏でも末端部が冷える、寒がり、顔色が青白いなどの症状から、体が芯部から冷えていることがわかります。
さらに、腎気の低下を示す症状として:
- 腰や膝の疲れや脱力感
- 腰痛
- 精力の減退
これらのことから、体の冷えが原因で:
- 水分を温めて上方へ持ち上げることができない
- 水分が停滞しやすい状態になる
- 脳を穏やかにできず不眠になる
- 水分が直接膀胱へ向かって頻尿になる
また、体の冷えによる血液循環の悪化と、停滞した水分が鼻づまりの原因にもなっていると考えられます。
気の滞りの影響
食欲は普通にあり、便は硬すぎる程度で便秘気味なので、消化吸収機能には大きな問題はなさそうです。
しかし、次のような症状から気の滞りが見られます:
- 全身の倦怠感や無力感
- 息切れしやすい
- 動悸
- 腹部の不快感や鈍痛
- 食後の腹部膨満感
- あざができやすい
- 腹部膨満感
- ゲップやガス
- 喉に何かが引っかかる感じ
この気の滞りによって生じた「こもった熱」が上部へ逆流し:
- イライラしやすく怒りっぽい
- のぼせることが多い
- 目が充血しやすい
などの症状を引き起こしています。
心気の影響
心気(精神活動を司るエネルギー)の乱れを示す症状として:
- 不眠
- 動悸
- 息切れ
- イライラ
- 顔色の青白さ
- 強い不安感
- 多い夢
- 忘れっぽさ
特に「顔色が青白い」「イライラしやすく怒りっぽい」という症状から、心気を栄養する血液が不足していると考えられます。
心気を穏やかにする血液が不足すると、精神的に不安定になり、それが肝気の働きを停滞させ、気の滞りを生じさせます。この滞った気が血圧上昇の一因にもなっている可能性があります。
体質の特徴まとめ
この方の体質を東洋医学的に総合すると:
- 元々の体の芯部が冷えているため:
- 水分を温めて巡らせる力が低下
- 上方へ水を届けられず膀胱へ向かい頻尿になる
- 潤いを表面まで届けられず皮膚乾燥や発汗減少につながる
- 潤いが上方へ運ばれないことで:
- 心気を穏やかにする血液が不足
- 精神活動が過剰になり不眠や動悸を引き起こす
- ストレスを感じやすい状態が:
- 気の滞りを生じさせる
- 喉の違和感やお腹の張りの原因になる
- こもった熱が上方へ浮き上がり顔や頭の熱感、肩こり、頭痛を引き起こす
- 気の滞りと体の冷えにより:
- 腸管の動きが悪くなり便秘になる
- お腹で水分が停滞し舌苔が厚くなる
- 皮膚の水分循環が悪化し「乾燥しているのに表面がべたつく」状態になる
ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい
この方の体質を踏まえた自然療法の目標は:
- 体を温める
- 心を穏やかにする潤いを補充する
- 気の滞りを解消する
適度な運動で体を温める
食事に気を付けており、水分もあまり摂取していないとのことなので、適度な運動で体の熱を作ることが効果的です。
夏でも手足が冷えているため、熱中症予防をしつつ、軽く汗ばむ程度の運動をして体温を高めることをおすすめします。運動して汗をかくことで、こもった気も巡り出し、気の滞りによる症状の緩和にもつながります。
丹田呼吸法で心を落ち着かせる
心気の過剰な活動を鎮めるために、おへその下にある丹田を意識した呼吸法が効果的です。
丹田呼吸法の効果:
- 上半身に上がった熱を下に降ろす
- イライラや不眠の解消に役立つ
- 気が生じやすくなり冷えの解消に効果的
特に寝る前にベッドで行うと、脳の余分な興奮が鎮まり、下半身が温かくなって眠りにつきやすくなります。
呼吸法のコツ:
- 考えが収まらない場合、顔や体のどこかに力みがあることに注意
- 丹田と呼吸に意識を向ける
- 考えが浮かんできたら、顔や体の力みを緩める
- 緩んだら再び丹田や呼吸に意識を戻す
食事で体質改善
食べ物の性質を活かして体調を整えましょう:
- 心の過剰な働きを穏やかにする食材:
- 小麦
- 竜眼肉
- 卵
- 百合の根
- 体を温める食材:
- シナモン
- ニラ
- 乾燥生姜
- 気の滞りを解消する食材:
- ネギ
- タマネギ
- ダイコン
これらの食材を現在の食事に適度に取り入れ、体調の変化を観察してみてください。体がホカホカと温かく感じられるようになったら、その性質の食べ物を継続的に取り入れることで体質改善につながります。
体質改善に期待できる漢方薬
この方のような体質の改善に効果が期待できる漢方薬をいくつかご紹介します:
- 六君子湯(りっくんしとう):胃腸の働きを高め、水分代謝を改善する漢方薬。消化不良や胃もたれ、食欲不振などの症状にも効果的です。
- 加味逍遙散(かみしょうようさん):気の巡りを改善し、イライラや不眠、のぼせなどの症状を緩和する漢方薬。特に女性ホルモンのバランスを整える効果もあります。
- 八味地黄丸(はちみじおうがん):腎陽を補い、体を温める効果のある漢方薬。頻尿や冷え、腰痛などの症状に効果的です。
ただし、これらはあくまで特定の体質の改善に効果が期待できる一般的な漢方薬のご紹介です。症状が複雑な場合には、単独では効果が現れない場合もあります。当店では漢方相談も承っておりますので、より詳しい体質診断をご希望の方はぜひご相談ください。
まとめ
鼻づまり、頻尿、不眠といった一見バラバラに見える症状も、東洋医学の視点では体の冷え、水分バランスの乱れ、気の滞りという共通の原因から生じていることがあります。
この方のケースでは:
- 体の冷えによる水分代謝の低下
- 心気の過剰な活動による不眠
- 気の滞りによる様々な不調
が複合的に絡み合っていることがわかります。
自然療法として:
- 適度な運動で体を温める
- 丹田呼吸法で心を落ち着かせる
- 体質に合った食材を取り入れる
これらを継続的に実践することで、体のバランスを整え、症状の改善が期待できます。
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