日本の夏を彩る風物詩として、特に関西地方で愛されるハモ(鱧)。その美しい白身と上品な味わいは多くの人を魅了してきました。しかし、ハモは単なる美食の対象だけではなく、古くから薬膳としても重宝されてきた歴史があります。
ハモは、ウナギ目ハモ科に属する細長い白身魚です。日本では本州紀伊半島以南の温暖な沿岸域に生息し、特に関西地方では高級食材として珍重されています。
今日は、高級食材として知られるハモの隠された一面、「薬膳」としての側面に光を当てながら、その魅力を余すところなくご紹介します。夏バテ防止に役立つ栄養素から意外な薬効まで、ハモの奥深い世界をのぞいてみましょう。
性味と帰経
ハモの基本的な性質は以下の通りです:
- 性味:寒、甘
- 帰経:脾、胃
ハモは性質が寒涼で味わいは甘く、主に脾と胃に作用します。これにより、体内の熱を冷まし、脾胃の機能を調整する働きがあります。
ハモにはどのような薬効がありますか?
ハモには多彩な薬効があり、その作用から様々な症状に対して効果が期待できます。主な薬効は以下の通りです:
1. 補益脾胃
ハモは甘味があり脾に入るため、脾の機能を強化し、消化吸収力を高める効果があります。
- 食欲不振の改善
- 消化不良の緩和
- 腹部膨満感の軽減
- 下痢症状の改善
ハモに含まれる良質なタンパク質は消化吸収されやすく、体力を補充し体質を強化する助けになります。
2. 利水消腫
ハモには利水消腫(水分代謝を促進し腫れを軽減する)効果があり、様々な原因による浮腫を改善します。
- むくみの緩和
- 尿の排出促進
3. 清熱解毒作用
ハモは性質が涼で、熱を冷まし毒素を解消する効果があります。
- できものや炎症を緩和
- 痔の出血を抑制
- 喉の痛みや口の渇きを和らげる
4. 傷の治癒促進
ハモに含まれる良質なタンパク質と多様な微量元素は、傷の治癒を促進します。
- 傷の治癒を早める
5. 貧血改善効果
ハモには豊富な鉄分が含まれており、適量摂取することで鉄分を補給し、ヘモグロビンの生成を促進します。
- 貧血症状の改善
- 血液の酸素運搬能力の向上
ハモを食べる際の注意点や禁忌はありますか?
ハモの持つ薬効を最大限に活かすためにも、以下の点に注意しましょう:
- 体内に熱邪がある方や湿熱体質の方は過剰摂取を避けましょう
- 内熱症状を悪化させる可能性があります
ハモの栄養価はどのようなものですか?
ハモは栄養価が高く、様々な栄養素を豊富に含んでいます:
- タンパク質
- 脂質
- カルシウム
- リン
- 鉄分
さらに、健康に有益なDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)も含まれており、心血管系の健康維持に役立ちます。高タンパクで低脂肪な食材なので、ダイエット中の方にもおすすめです。
まとめ:ハモの魅力を最大限に活かそう
ハモ(鱧)は、単なる高級食材としてだけでなく、伝統的な生薬としても価値のある素晴らしい食材です。その甘味と寒涼な性質が、脾胃を補い、水腫を改善し、清熱解毒するなど、多彩な薬効をもたらします。
特に夏場は体力が消耗しやすい時期ですが、栄養価の高いハモを適切に取り入れることで、健康維持に役立てることができるでしょう。京都の祇園祭の時期に食べられる伝統的なハモ料理は、暑さを乗り切るための先人の知恵とも言えます。
ただし、体質や体調に合わせた適切な摂取を心がけ、禁忌を守ることも重要です。特に体内に熱がこもりやすい方は過剰摂取を避けましょう。
ハモの持つ食材としての魅力と薬効の両面を理解し、健康的な食生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。季節の恵みを最大限に活かして、心身ともに健やかな夏を過ごしましょう。
参考文献

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