鮮やかな赤色と優しい甘みが特徴的なクコの実(枸杞子)。スーパーフードとして近年注目を集めていますが、実は古くから漢方医学では「不老長寿の妙薬」として重宝されてきた生薬のひとつです。
現代の忙しい生活で疲れ気味の方や、目の健康が気になる方にとって、クコの実は自然からの贈り物と言えるかもしれません。今回は、この小さくても栄養価の高いクコの実について、漢方医学的な視点から詳しく解説していきます。
クコの実(枸杞子)とは何ですか?
クコの実は、漢方では「枸杞子(くこし)」と呼ばれる生薬です。ナス科の植物であるクコ(枸杞)の赤く熟した果実を乾燥させたものを指します。
クコは実だけでなく、葉は「枸杞葉」として、根の皮は「地骨皮(じこっぴ)」としても薬用に用いられています。中国では数千年前から薬用植物として珍重されてきました。
性味・帰経
- 性質:平
- 味:甘
- 帰経:肝・腎・肺
クコの実にはどのような効能がありますか?
漢方医学において、クコの実には主に三つの働きがあるとされています。
1. 滋補肝腎(じほかんじん)
弱った体、特に肝臓と腎臓に栄養を与え、機能を高める作用があります。これにより以下の症状を改善します:
- 足腰の痛みやだるさ
- 遺精(意図せず精液が漏れる症状)
- めまいや頭のふらつき
- 膝の痛みや弱り
2. 益精明目(えきせいめいもく)
目の健康を促進し、視力をサポートします:
- 白髪の改善
- 視力減退の緩和
- 目の疲れの軽減
- 風に当たると涙が出る症状の改善
3. 潤肺止咳(じゅんぱいしがい)
肺に潤いを与え、特に以下のような症状に効果的です:
- 肺腎陰虚(体内の潤いが不足した状態)による慢性的な咳
- 喘息の症状緩和
その他の効果
- 血圧を下げる作用
- 肌荒れの改善
- 睡眠の質向上
- 老化防止(アンチエイジング)効果
最新の研究によると、クコの実には肝細胞内の脂肪沈着を抑制し、肝細胞の新生を促進する作用も確認されているとも言われています。
クコの実はどのように摂取すればよいですか?
クコの実は様々な方法で日常生活に取り入れることができます。
漢方薬として
- 煎じ薬として:3~9gを他の生薬と組み合わせて煎じて飲む
- 丸薬として:柏子養心丸、杞菊地黄丸などの漢方処方に含まれる
食品として
- 生のままヨーグルトに混ぜる
- お茶として飲む(特に菊花と組み合わせると血圧改善効果が高まります)
- 杏仁豆腐のトッピングに
- スープや煮物に加える
- 炒め物に使用する
漢方酒として
- 枸杞酒:クコの実を焼酎に漬けて作る健康酒(アンチエイジング効果があるとされています)
健康維持のために日常的に取り入れてみてはいかがでしょうか。特に目の疲れを感じる方や、慢性的な疲労感がある方におすすめです。
クコの実を使用する際の注意点は何ですか?
クコの実は比較的安全な食材ですが、以下のような点に注意が必要です:
使用を控えるべき状態
- 脾虚下痢(消化機能が弱って下痢気味の方)には適していません
- 炎症症状が強い疾患にかかっているなど、体内に熱がこもっている状態がある場合は注意が必要です
- 長期間の常用は問題ありませんが、体質や症状に合わない場合は医師や漢方専門家に相談しましょう
まとめ:クコの実で健康づくり
クコの実(枸杞子)は、「平」という偏りのない性質を持ち、肝臓・腎臓・肺の機能を高める優れた生薬です。特に現代人に多い「陰虚」(体内の潤いが不足した状態)の改善に適しています。
日常的に取り入れることで、目の健康維持や疲労回復、さらには血圧の安定化やアンチエイジング効果も期待できます。料理やドリンクに気軽に加えられるので、ぜひ生活に取り入れてみてください。
ただし、体質や症状によっては合わない場合もありますので、気になる症状がある方は、事前に医師に相談することをお勧めします。自然の恵みであるクコの実を上手に活用して、健やかな毎日を過ごしましょう。
参考文献

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