
こんにちは
どうなさいましたか?

不安感にお悩みの方から
質問をいただきましたよ。
現代社会では、ストレスや生活習慣の乱れから心と体のバランスを崩しがちです。特にメンタル面の不調は、東洋医学では「心気の乱れ」として捉えられることが多いのをご存知でしょうか?
今回は、精神的な不安定さと体の乾燥感に悩む40代男性の事例を通して、東洋医学的な体質の特徴と、日常生活に取り入れられる自然療法についてご紹介します。メンタルバランスを整え、本来の健やかな状態を取り戻すヒントとなれば幸いです。
外見的な特徴とお悩みの症状
この方の特徴を整理してみましょう:
- 年齢・体格
- 40代の男性
- 身長:175cm
- 体重:73kg
- BMI:23.84
- 外見的特徴
- 赤ら顔
- 皮膚や髪の毛は乾燥気味
- 舌の色は白っぽく、部分的に紫色
- 舌に溝や割れ目がある
- 舌苔は白くて厚く、バターのようにべたっとしている
- 舌裏の静脈は太く膨らんでいる
- 主なお悩み
- メンタルな病気
- 多汗
- 更年期障害
- メンタルが不安定な時に具合が悪くなる
この方の体質の特徴は?
東洋医学では、精神活動をコントロールしている働きを「心気(しんき)」と言います。この心気の働きに不具合が生じると、考えや感情に関わる機能が不安定になってしまいます。その結果、穏やかで落ち着いた精神状態を保つことが難しくなるのです。
この方の場合、次のような症状が見られることが考えられます:
- 不眠になりやすい
- 寝つきが悪い
- 夢を見ることが多い
- 不安感が強い
また、心気の働きを穏やかにする「潤い」や「血」が不足している様子も感じられます。
舌の状態を見ると、舌苔が白くて厚いことから、体内に余分な水分が充満している可能性があります。しかし同時に、皮膚や髪の毛の乾燥から、体の上部では乾きの症状が目立ちます。つまり、体の水分バランスが崩れ、過剰な部位と不足する部位に分かれてしまっているのです。
気(き)の流れに関しては、あまり順調に巡っていない様子です。胸や腹部の張り、気持ちが落ち着かないといった症状が、気の停滞(気滞)を示唆しています。
特に舌の色が白っぽく、舌苔が厚いことから、強い勢いで気が滞り、強い熱を生じさせていると考えられます。この気の滞りによって生じた「こもった熱」が上部へ押し寄せ、心気の働きを刺激してしまうのです。
これが心気の潤いを乾かすことでイライラや怒りっぽさなど、精神的に不安定な状態を強めている可能性が高いでしょう。
ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい
このような体質の方には、リラックスできる軽めの運動で体を動かすことをおすすめします。特に有効なのは、次のような方法です:
- 広々とした公園などの開放的な場所で運動する
- 呼吸に意識を集中する
- 足の裏に感じる地面の感覚や頬に当たる風などを意識的に感じる
こうした「マインドフルネス」的なアプローチを取ることで、普段無意識に繰り返している頭の中の考えの空回りが止まりやすくなります。その結果、体の緊張がほぐれ、気の巡りが改善されるでしょう。
また、どうしても考えが空回りしてしまう場合には、ペンと紙を用意して書き出す方法も効果的です。書き出す内容は何でも構いません。書くことがなくなったら「書くことがない」と書き続けるだけでも、頭の中でグルグル回っている考えを形にして外に出すことができます。
これらの方法は、気が向いたときにぜひ取り入れてみてください。
気滞と心気の不安定さに効果が期待できる漢方薬
このような体質の方の症状改善に効果が期待できる漢方薬をいくつかご紹介します。ただし、これらはあくまで気滞による心気の不安定さに一般的に用いられる漢方薬であり、個人の体質や症状の複雑さによっては効果が異なる場合があります。
- 加味逍遙散(かみしょうようさん):気の巡りを良くし、のぼせや精神不安を和らげる漢方薬。イライラや不眠にも効果が期待できます。
- 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう):精神の高ぶりを鎮め、不安感を和らげる効果があります。気の上昇を抑え、心身をリラックスさせます。
- 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう):気の巡りを改善し、喉のつかえ感や胸の圧迫感を和らげます。精神的な緊張からくる身体症状に効果的です。
症状が複雑な場合には、単独の漢方薬では効果が現れにくいこともあります。当店では漢方相談を承っておりますので、より詳しくお悩みをお聞かせください。
まとめ
東洋医学の観点から見ると、この方の不調は「気滞(きたい)」による「心気(しんき)」の不安定さが大きな要因となっていると考えられます。体内の水分バランスの乱れも加わり、精神的な不調として現れています。
改善には、マインドフルな軽い運動や、思考を外に出す書き出し作業が効果的です。また、症状に合わせた漢方薬の活用も検討してみてはいかがでしょうか。
心と体は密接につながっています。メンタルの安定が体調の改善につながり、体調の改善がさらにメンタルを安定させるという好循環を生み出しましょう。
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