古代から親しまれてきたヨーグルト。その歴史は紀元前数千年前の中央アジアにまで遡り、遊牧民が偶然発見した発酵食品と言われています。単なる乳製品ではなく、東洋医学では優れた薬効を持つ食材として認識されてきました。
ヨーグルトは、牛乳などの乳に乳酸菌や酵母を加えて発酵させた食品です。古代トルコ語の「ユーグルト(乳から作った酸っぱい発酵乳)」が語源とされています。
発酵によって乳の保存性が高まるだけでなく、栄養価も向上します。今日は、日常的に食べられているヨーグルトが、東洋医学の視点からどのような効能を持つのか、詳しく見ていきましょう。
ヨーグルトの性質を教えてください?
東洋医学では以下のような性質があるとされています:
- 性味: 涼、甘、酸
- 帰経: 肺、肝、脾
この性質から、ヨーグルトは身体を冷やす性質を持ちながらも、甘味と酸味のバランスが取れた食品と考えられています。また、肺・肝・脾の各臓腑に作用するため、呼吸器系や消化器系の健康維持に役立つとされているのです。
ヨーグルトにはどのような効能がありますか?
東洋医学の観点から、ヨーグルトには以下の5つの主要な効能があります:
1. 補虚開胃(ほきょかいい)
ヨーグルトは甘味があり、性質は平で、脾・胃の経絡に作用します。臨床的には以下の症状の緩和に役立つとされています:
- 虚労衰弱(疲労による衰弱)
- 胃陰不足(胃の潤いが不足した状態)
- 食欲不振(胃陰不足による食欲不振)
特に現代社会で増えている慢性的な疲労感や胃腸の不調に対して、ヨーグルトの摂取は効果的かもしれません。
2. 潤腸通便(じゅんちょうつうべん)
ヨーグルトに含まれる大量の乳酸菌は、胃腸の蠕動運動(ぜんどううんどう:腸が波打つように動く運動)を促進します。これにより:
- 食物の消化吸収が促進される
- 腸が潤され、便通が良くなる
- 便秘症状の改善に役立つ
毎朝のヨーグルト習慣で、腸内環境を整えてみてはいかがでしょうか。乾燥肌の改善にも効果があると言われています。
3. 生津止渇(せいしんしかつ)
ヨーグルトの酸味と甘味のバランスは、体内の潤いを生み出し、喉の渇きを癒す効果があります。具体的には:
- 口の乾燥感の改善
- 喉の渇きの緩和
- 体内の潤い補給
特に夏場や乾燥した環境での水分補給に、ヨーグルトを取り入れると良いでしょう。
4. 補益脾胃(ほえきひい)
脾・胃に作用するヨーグルトは、消化器系の機能を高める効果があります。主に以下の症状の緩和に役立ちます:
- 脾胃虚弱(ひいきょじゃく:消化器系の機能低下)
- 食欲不振
- 腹部膨満感
現代の食生活の乱れによる胃腸トラブルに対して、ヨーグルトは優しく働きかけてくれます。
5. 補気養血(ほきようけつ)
ヨーグルトには気血を補う効果もあります。気血不足による以下の症状改善に役立つとされています:
- 顔色の悪さ
- 疲労感
- 元気のなさ
また、ヨーグルトに含まれるカルシウムは乳酸菌の働きによって効率よく吸収され、骨粗しょう症予防にも有効とされています。腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整えることで、老化防止にも効果があるという研究結果も報告されています。
ヨーグルト摂取の際の注意点は何ですか?
効能の高いヨーグルトですが、摂取する際には以下の点に注意が必要です:
- 適量を守る: 過剰摂取は胃腸に負担をかけ、消化不良を引き起こす可能性があります
- 体調に合わせる: 腹部膨満感や腹痛などの不快症状が出た場合は、すぐに摂取を中止し、必要に応じて医師に相談しましょう
- 冷え性の方は注意: ヨーグルトは「涼」の性質を持つため、体が冷えやすい方は常温に戻してから食べるか、摂取量を調整しましょう
- 乳糖不耐症の方は確認: 乳糖不耐症がある方は、乳糖が分解されている発酵期間の長いヨーグルトを選ぶと良いでしょう
自分の体質や体調に合わせて、ヨーグルトとの付き合い方を見つけていくことが大切です。
まとめ:東洋医学から見たヨーグルトの価値
ヨーグルトは東洋医学の視点からも、現代の栄養学からも、非常に価値の高い食品であることがわかります。主な効能をまとめると:
- 虚弱体質の改善と胃の機能向上
- 腸内環境の改善と便通の促進
- 体内の潤い補給と喉の渇きの緩和
- 消化器系機能の強化
- 気血の補給によるエネルギー向上
適量を守り、自分の体質に合わせて取り入れることで、ヨーグルトは日々の健康維持に大きく貢献してくれるでしょう。数千年の歴史を持つこの発酵食品の知恵を、現代の生活に活かしてみてはいかがでしょうか。
参考文献

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