
こんにちは
どうなさいましたか?

ゲップやガスにお悩みの方から
質問をいただきましたよ
食事をした後に気持ち悪くなったり、ゲップやガスが気になったりすることはありませんか?このような症状に悩む方は少なくありません。実は、これらの不快な症状には東洋医学的な観点から見た明確な原因があるのです。
今回は、30歳男性の方から寄せられた体験談をもとに、食後の不快感やゲップ・ガスの原因と、東洋医学の視点から見た自然な改善方法についてご紹介します。食事の後の不快感に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
この方の外見的な特徴とお悩みの症状
- 年齢:30歳
- 性別:男性
- 身長:170cm
- 体重:53kg
- BMI:18.34
主な症状:
- 食べると気持ち悪くなる
- ゲップやガスが多い
- 食べると腹が張る
- 吐き気を感じる
- 腹が張って苦しい
- イライラしやすい
- 不安感が強い
この方の舌の状態は、赤みが強く、溝や割れ目があり、舌の裏の静脈は太く膨らんでいます。また、舌苔ははがれていて、一部なくなっているところもあります。顔色は白いという特徴があります。
なぜゲップやガスが多くなるのか?
ゲップやガスが多くなったり、食後に気持ち悪くなったりする原因を考えてみましょう。通常、これらの症状は腸管を動かす「気」が滞っていることで、腸内で食べ物が停滞していることが考えられます。
本来、食べ物は腸管の働きによって吸収場所へと運ばれ、必要な栄養素が体内に取り込まれます。しかし、何らかの理由で食べ物が腸内に停滞すると、腸内細菌による発酵が進み、ガスが発生して腹部に充満します。
このガスがある一定の圧力に達すると、上向きに出るとゲップに、下向きに出るとおならになるのです。では、なぜ腸管の働きが停滞してしまうのでしょうか?
腸管が停滞する原因とは?
1. お腹の弱り
お腹が弱っていると、食べ物をうまく吸収できなくなり、さらに腸管を動かす力も弱ってしまうため、食べ物が停滞しやすくなります。
しかし、この方の場合は食欲不振や食事量減少の訴えはなく、排便も毎日あり普通便とのことですので、お腹の働き自体に大きな問題はないと考えられます。
2. ストレスによる「気の滞り」
もう一つの大きな原因として、ストレスなどにより「気」が滞ることで、腸管の蠕動運動(ぜんどううんどう)が停滞してしまうケースがあります。
ストレスは腸管の動きを調整する機能に不具合を起こし、腸管が強く緊張して正常な蠕動運動ができなくなります。この方の症状を見ると、腹部の張りを訴える症状が多いことから、「気の滞り」が大きく関係していると考えられます。
東洋医学から見たこの方の体質
この方の体質的な特徴を東洋医学の観点から見てみましょう。舌の色が赤みが強く、苔が薄くはがれており、溝や割れ目があることから、体内にある程度強い熱が存在し、それが潤いを蒸発させるように乾燥させています。
しかし、顔色が白いことから、全身で燃え盛るような強い熱というわけではなく、特に舌と関係の深い「脾気」(ひき:消化吸収に関わる気)や、脳の働きを表す「心気」の周辺に、過剰な熱や乾燥が存在していると考えられます。
これが、イライラの強さや不安感として現れているのでしょう。
「肝気」の滞りとその影響
東洋医学では、怒りは「肝気」(かんき)と深く関連していると考えます。肝気は気血を体中に俊敏かつ力強く拡散・配分する役割を持っています。
肝気は風のように伸びやかに動き回れる状態が理想ですが、ストレスなどで抑圧されると、その動きが制限されて熱を持ち始めます。これは、広がろうとする風船が外側から押さえられているような状態です。
このようにストレスを感じると肝気が滞って熱が生じ、そのこもったエネルギーが体の上部へと逆流して脳の働きを煽ると、怒りや不安として現れるようになります。「頭にきた」「頭に血が上る」という表現は、まさにこの状態を表しています。
食後の気持ち悪さとの関係
食べ物から吸収した栄養を運ぶためには、体の隅々へと気や血液を配る働きが必要です。これには肝気が関わっていますが、ストレスで肝気の動きが制限されると、栄養の運搬調整がうまくできなくなり、吸収したものが停滞して食後の気持ち悪さにつながります。
この方の場合、ストレスからくる気の滞りが、お腹の様々な症状に関係していると考えられます。
この方の体質まとめ
- 舌の赤みが強く、苔が薄くはがれている
- 舌に溝や割れ目がある
- 体内に余分な熱や乾燥がある
- 顔色が白い(全身の強い熱ではなく、偏った熱がある)
- お腹や精神活動に関わる部位に熱や乾燥が集中
- イライラや不安感の強さから、気が滞りやすい体質
- 気の滞りが熱を生じさせ、気を逆流させる
- 腸管の動きが停滞し、様々な症状(腹部膨満感、ゲップ、ガスなど)が出現
- 肝気の停滞により、栄養運搬がうまくいかず食後の気持ち悪さが発生
ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい
1. 食事の見直し
お腹の働き自体に大きな弱さはないと思われますが、食べ過ぎや飲み過ぎなど、お腹に負担のかかる食事は避けることをおすすめします。また、よく噛んで食べることで消化を助けましょう。
体内では熱が過剰になって乾燥しているため、以下の食品は控えめにすることをおすすめします:
- 辛い食品
- 脂っこい食品
- 甘いもの
- アルコール類
特にアルコールは熱を上昇させ、脳の働きを過剰にしやすくなるため、症状が強い場合には注意が必要です。
2. 適切な水分摂取
水分摂取に関しては、喉が渇いて水を飲みたいという欲求は体からの正常な反応ですが、水分の量・温度・性質・飲み方には注意が必要です。
水分自体には体を冷やす性質があるため、冷たい飲み物を長時間飲み続けると、お腹が冷えてしまいます。すると、気の滞りに加えてお腹の冷えも腸管の動きを悪くさせ、症状が複雑化する可能性があります。
また、コーヒーや緑茶、ビール、ジュース類は性質的にお腹を冷やす傾向があるため、これらの飲み過ぎにも注意しましょう。
3. 食事方法の改善
理想的には、ゆったりとした食事時間を取り、1口につき30回は噛むようにして、食べ物の味を楽しみながら食事をすることをおすすめします。忙しい場合でも、よく噛むことだけは心がけましょう。
4. リラックス法の実践
イライラや不安感が気の巡りを悪くし、お腹の働きに影響していると考えられます。丹田(おへその下あたり)を意識した状態で、吐く息を長めにした呼吸法を行い、リラックスした体と心の状態を覚えておくことも効果的です。
この体質に効果が期待できる漢方薬
この方のような体質改善に効果が期待できる漢方薬としては以下のようなものがあります:
- 四逆散(しぎゃくさん): 気の滞りを解消し、肝気の流れを改善する漢方薬。イライラや腹部膨満感に効果が期待できます。
- 半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう): 胃腸の不調、げっぷ、胸やけなどに効果がある漢方薬です。
- 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう): 精神不安やイライラを鎮め、自律神経の乱れを整える効果があります。
ただし、これらは特定の体質改善に効果が期待できる漢方薬の一例であり、この方に特化したものではありません。症状が複雑な場合には、単独では効果がない場合もあります。当店では漢方相談も行っておりますので、お気軽にご相談ください。
まとめ:気の滞りを改善して食後の不快感を解消しよう
食後の不快感やゲップ・ガスの多さは、東洋医学の観点から見ると「気の滞り」が大きな原因となっていることがわかります。特にストレスによって肝気の流れが悪くなり、それが腸管の動きや栄養の運搬に影響を与えているのです。
改善のためには:
- 食事内容を見直し、刺激物や冷たいものを控える
- ゆっくり噛んで食べる習慣をつける
- 適切な水分摂取を心がける
- リラックス法を取り入れ、ストレスを軽減する
- 必要に応じて漢方薬の活用を検討する
これらの方法を継続的に実践することで、食後の不快感やゲップ・ガスの症状が改善されていくでしょう。体質は一朝一夕には変わりませんが、日々の小さな習慣の積み重ねが大きな変化をもたらします。
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