
こんにちは
どうなさいましたか?

中途覚醒にお悩みの方から
質問をいただきましたよ
漢方薬を服用している方の中には、複数の症状に悩まされて「違う漢方薬を組み合わせて飲みたい」と考える方も多いのではないでしょうか。
特に、胃腸の不調で六君子湯を、不眠で酸棗仁湯を処方されている場合、「この2つを一緒に飲んでも問題ないの?」という疑問を持たれる方は少なくありません。
今回は、六君子湯と酸棗仁湯の飲み合わせについて、それぞれの働きから併用時の効果、注意すべきポイントまで詳しく解説していきますね。
六君子湯と酸棗仁湯は一緒に服用しても問題ありませんか?
体質に合っていれば、六君子湯と酸棗仁湯を合わせて飲んでも問題はありません。
ただし、これは単純に「薬同士が反応して危険」という意味での飲み合わせではなく、それぞれの漢方薬が持つ作用機序(さようきじょ:薬が効く仕組み)を理解した上での併用が重要になります。
漢方では、一人一人の体質や症状の組み合わせを総合的に判断して処方を決定します。そのため、単独で服用する場合とは異なる効果や注意点があることを理解しておきましょう。
それぞれの漢方薬はどのような働きをするのですか?
六君子湯の働き
六君子湯は、気の滞り(きのとどこおり)がお腹の働きを妨げている状態に適用される漢方薬です。
具体的には以下のような働きがあります:
- お腹の働きを活発にする:消化機能を高めて食べ物の運搬を改善
- 余分な水分を解消:体内に溜まった不要な水分を排出
- 気を下向きに巡らせる:上に上がりがちな気を正常な方向に導く
食べた物を上手く運ぶことができない場合に、お腹の働きを盛り立てながら、停滞している気や余分な水分を解消してくれるのが特徴ですね。
酸棗仁湯の働き
一方、酸棗仁湯は身体の潤い不足による不眠に対して効果を発揮する漢方薬です。
主な働きは以下の通りです:
- 身体の芯部と上部に潤いを補充:体の深部から上半身にかけて必要な水分を補給
- 血を上方へ巡らせる:栄養分を含んだ血液を脳に届ける
- 水を全体に巡らせる:体全体の水分バランスを整える
- 脳を穏やかにする:過度な精神活動を鎮静化して不眠を解消
2つの漢方薬を併用するとどのような効果が期待できますか?
六君子湯と酸棗仁湯を組み合わせることで、以下のような相乗効果が期待できます:
総合的な体質改善効果
- 気を量的に増大:体のエネルギーを全体的に向上
- 気を下向きに巡らせる:上逆した気を正常な流れに戻す
- 余分な水分除去:不要な水湿を体外に排出
- 潤いの上下補充:必要な部分に適切な潤いを供給
- 血液と水分の循環改善:全身の巡りを整える
特に効果的な症状パターン
この併用が特に効果的なのは、以下のような複合的な症状を持つ方です:
気の滞りによる消化器症状と潤い不足による不眠が同時に起こっている場合
具体的には:
- 余分な水分がお腹の中に停滞して食欲不振になっている
- 過度の精神活動で潤いが不足している
- その結果、中途覚醒(夜中に何度も目が覚める)が起こっている
このような症状パターンの方には、2つの漢方薬を合わせて飲むのは良い選択と言えるでしょう。
併用する際の注意点はありますか?
併用時には以下の点に注意が必要です:
主な注意点
六君子湯によって余計に潤いの不足が強くなる場合があります。
六君子湯は余分な水分を除去する作用があるため、もともと潤い不足の傾向がある方の場合、酸棗仁湯で潤いを補っても、六君子湯の乾燥作用が上回ってしまう可能性があります。
服用時の対応策
- 様子を見ながら調整することが大切:体調の変化を注意深く観察する
- 症状の変化を記録する:どちらの症状が改善・悪化したかを把握する
- 専門家との相談を継続:定期的に漢方の専門家に状況を相談する
特に以下のような症状が現れた場合は、服用方法の見直しが必要かもしれません:
- 口の渇きが強くなった
- 便秘が悪化した
- 肌の乾燥が気になるようになった
- 不眠症状が改善されない
この体質改善に効果が期待できる漢方薬
ここでは、気滞(きたい:気の滞り)と陰虚(いんきょ:潤い不足)体質の改善に効果が期待できる漢方薬をご紹介します。
※以下は特定の方に合う処方ではなく、あくまで気滞・陰虚体質の改善に効果が期待できる漢方薬として紹介しています。
- 柴胡疏肝散(さいこそかんさん):気の巡りを改善し、ストレスによる胃腸症状に効果的。情緒不安定や腹部膨満感がある方に適している
- 甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう):精神的な興奮を鎮め、ヒステリー症状や不眠に効果的。特に女性の更年期症状に多用される
- 加味逍遙散(かみしょうようさん):気血の巡りを整え、イライラや不安感を改善。月経不順や更年期障害にも効果が期待できる
症状が複雑な場合には、単独の漢方薬では十分な効果が得られない場合があります。ピヨの漢方では、お一人お一人の体質に合わせた漢方相談を行っておりますので、お気軽にご相談ください。
まとめ
六君子湯と酸棗仁湯の飲み合わせについて詳しく解説してきました。
体質に合っていれば併用は可能ですが、それぞれの作用機序を理解した上での服用が重要です。特に、六君子湯の乾燥作用が酸棗仁湯の潤い補給を上回らないよう、様子を見ながらの調整が必要ですね。
気の滞りによる消化器症状と潤い不足による不眠が同時に起こっている方には、この併用が効果的な場合が多くあります。
ただし、漢方薬は個人の体質や症状によって効果が大きく変わるため、専門家との相談を継続しながら、自分に最適な服用方法を見つけることが何より大切です。
症状でお悩みの方は、まずは専門の漢方相談をご利用いただくことをおすすめします。
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