
こんにちは
どうなさいましたか?

不眠にお悩みの方から
質問をいただきましたよ
夜、布団に入っても職場の悩みや心配事が頭から離れず、なかなか眠れない。やっと眠れたと思っても夢ばかり見て目が覚めてしまう。そんな経験はありませんか?
考えすぎによる不眠は、単なる睡眠障害だけでなく、疲れやすさや食欲不振など、日常生活全体に影響を及ぼします。これは東洋医学でいう「心脾両虚(しんぴりょうきょ)」という状態かもしれません。
今回は、実際のご相談事例をもとに、考えすぎタイプの不眠症について詳しく解説していきます。
外見的な特徴とお悩みの症状など
今回ご相談いただいた方の基本情報は以下の通りです。
身体的特徴:
- 顔色が白っぽく血色が悪い
- 舌の色が淡く、苔も薄い
主な症状:
・約1年続く不眠(寝付けない、夢ばかり見る、眠りが浅い)
・職場の悩みによる考えすぎ
・ちょっとした物音で目が覚める
・日中の疲れやすさ
・食事が美味しく感じない
・動悸
・めまい
・物忘れが増えた
どうして眠れなくなるの?考えすぎと睡眠の関係とは
考えすぎると、なぜ眠れなくなるのでしょうか。
東洋医学では、精神活動や睡眠は「心気(しんき)」が司っていると考えます。心気とは、心臓の働きだけでなく、精神や意識をコントロールする気のことです。
考えすぎると、この心気の働きが乱れてしまいます。心気が乱れると、精神が安定せず、布団に入っても頭の中で考え事がぐるぐる回り続けてしまうんですね。
さらに、心気を穏やかにするためには、心に十分な血と潤いが必要です。しかし、考えすぎで心気が乱れると、心への血や潤いの供給も不足してしまいます。
その結果、心気が安定できず、眠りが浅くなったり、夢ばかり見たり、ちょっとした物音で目が覚めたりするのです。
疲れやすさや食欲不振も関係しているの?
実は、不眠だけでなく、疲れやすさや食欲不振も深く関係しています。
東洋医学では、「脾気(ひき)」という概念があります。脾気は、食べ物から気血(エネルギーと栄養)を作り出す重要な働きを担っています。
考えすぎで心気が乱れると、その影響は脾気にも及びます。脾気の働きが弱まると、食べ物から十分な気血を作れなくなってしまうんですね。
その結果、以下のような症状が現れます:
- 何をするにも疲れやすい
- 食事が美味しく感じない
- 気力が湧かない
つまり、考えすぎによる不眠は、単独の問題ではなく、体全体のエネルギー不足とつながっているのです。
動悸やめまい、物忘れが増えるのはなぜ?
不眠に加えて、動悸やめまい、物忘れが増えることもあります。
これらの症状は、心血(しんけつ)の不足によって起こります。心血とは、心を栄養し、精神活動を支える血のことです。
脾気の働きが弱まると、気血の生成が不十分になります。すると、心に十分な血が届かなくなり、以下のような症状が現れます:
- 動悸(心臓がドキドキする)
- めまい
- 物忘れの増加
- 顔色が白っぽくなる
舌の色が淡く、苔が薄いのも、気血の不足を示すサインなんですね。
この状態を東洋医学では何と呼ぶの?
今回のケースのように、心気と脾気が両方とも乱れている状態を、東洋医学では「心脾両虚(しんぴりょうきょ)」と呼びます。
心脾両虚の特徴をまとめると:
- 考えすぎで心気が乱れる
- その影響で脾気も乱れる
- 脾気が弱って気血が不足する
- 心に血や潤いが届かなくなる
- 心気が安定せず、不眠や精神症状が出る
このように、すべての症状がつながっているんですね。
ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい
心脾両虚タイプの不眠には、**帰脾湯(きひとう)**という漢方薬がおすすめです。
帰脾湯は、その名前が示す通り「脾に帰る(戻す)」働きを持つ漢方薬です。具体的には、以下のような効果が期待できます:
- 心気と脾気を同時にサポートする
- 気血を増やす
- 心へ気血を運搬する
- 睡眠の質を改善する
- 疲れやすさを軽減する
- 食欲を回復させる
帰脾湯は、単に眠れるようにするだけでなく、体質そのものを改善していく漢方薬です。まずは一ヶ月続けることで、少しずつ変化が現れてくるでしょう。
焦らず、じっくりと体質改善していくことが大切ですね。
この体質改善に効果が期待できる漢方薬
ここでは、心脾両虚体質の改善に効果が期待できる漢方薬をご紹介します。これらはこの方に合う漢方薬ではなく、あくまで心脾両虚体質の改善に用いられる代表的な処方です。
- 帰脾湯(きひとう):心気と脾気を同時に補い、気血を増やして心へ運搬する。不眠、疲労、食欲不振に広く用いられる
- 加味帰脾湯(かみきひとう):帰脾湯にストレス緩和の生薬を加えたもの。イライラや熱感を伴う場合に適している
- 人参養栄湯(にんじんようえいとう):気血を強力に補う処方。慢性的な疲労や体力低下が著しい場合に用いられる
ただし、症状が複雑な場合には、単独の漢方薬では十分な効果が得られないこともあります。当店では、お一人お一人の体質や症状に合わせた漢方相談を行っておりますので、お気軽にご相談ください。
まとめ
考えすぎによる不眠は、心気と脾気の両方が乱れる「心脾両虚」という状態から起こります。
この状態では、不眠だけでなく、疲れやすさ、食欲不振、動悸、めまい、物忘れなど、様々な症状が現れます。すべての症状は、気血の不足という根本原因でつながっているんですね。
帰脾湯のような漢方薬を用いることで、心気と脾気を同時にサポートし、体質そのものを改善していくことができます。
焦らず、じっくりと体質改善に取り組んでいきましょう。睡眠の質が改善されると、日常生活全体が明るくなっていきますよ。
YouTubeでも解説しています。


ご自分の体質にあった
漢方薬を試してみたい方は
ピヨの漢方の漢方相談を
ご利用ください。

