寒暖差で悪化する頭皮のフケや痒みの原因と自然療法

皮膚の悩み
ピヨ先生
ピヨ先生

こんにちは
どうなさいましたか?

にゃんたろう
にゃんたろう

頭皮のフケにお悩みの方から
質問をいただきましたよ

季節の変わり目、特に秋から冬にかけての時期に「頭皮のフケや痒みが悪化する」とお悩みの方は少なくありません。なぜ寒暖差が激しい時期になると、これらの症状が悪化するのでしょうか?

実は、これには東洋医学的な観点から見た体質や体内バランスの乱れが関係しています。今回は33歳女性の方の体験を元に、頭皮のフケや痒みの原因と、根本から改善するための自然療法についてお伝えします。

体質に合った対策を知ることで、季節に左右されない健やかな頭皮と身体を取り戻しましょう。

この方の外見的な特徴とお悩みの症状

まずは相談者の方の基本情報をご紹介します。

  • 33歳の女性
  • 身長は157cm
  • 体重は56kg
  • BMIは22.72(標準範囲内)

主な症状:

  • 2年前からこめかみに痒みとフケが生じ、徐々に頭皮全体に広がった
  • 3ヶ月前(10月頃)から身体全体も痒くなった
  • 疲れが重なると左脇の下が腫れる
  • 寒暖差によって体の痒みが強くなる

その他、皮膚や髪の毛は乾燥気味で、舌には歯の痕があり、舌苔は少ないものの水っぽく、舌の裏の静脈は太く膨らんでいるという特徴も見られます。

皮膚の仕組みと痒みが起こる原因

皮膚には外部からの刺激や有害物質から体を守るバリア機能があります。皮膚の最も外側にある角質層は、細胞核の抜けた細胞が積み重なって壁のようになり、体を守っています。

この皮膚は「ターンオーバー」と呼ばれる仕組みで常に生まれ変わっています。皮膚の深い部分(基底層)で分裂した細胞が、徐々に表層へと押し出されて古い角質は剥がれ落ちていくのです。

このターンオーバーは、血液の流れによって皮膚に必要な栄養が届けられ、不要物が回収されることで適切に行われます。しかし、以下の状態になると肌トラブルが発生します:

  • 栄養が届かない→皮膚が新しく作られなくなる
  • 不要物が残る→皮膚に汚れが蓄積する

東洋医学では、**痒みの原因は「滞り」**であると考えています。私たちが痒いところを掻くという行動は、滞ったものを動かして巡らせようとする行為なのです。

古典『此事難知』にある「不通則痛・通則不痛」(通じないから痛み、通じれば痛まない)という考え方から、巡りの状態によって症状が変わります:

  • 全く通じない→痛み
  • やや通じない→しびれ
  • わずかに通じない→痒み

この滞りを引き起こす原因は様々で、体の冷え、お腹の働きの低下、食事の不摂生、ストレス、過労や夜更かしなどが挙げられます。

この方の体質の特徴は?

相談者の方の症状を分析すると、以下のような体質的特徴が見えてきます。

まず、寒暖の差で症状が悪化するという点は重要です。外部環境の変化に対応するのは肝気(かんき)の役割です。環境が変わっても血や潤いの配分を適切に調整できると、体は環境変化に対応できます。

こめかみ(側頭部)に症状が出ていることからも、肝気の状態に熱や乾きの症状があると考えられます。側頭部は体の熱が外に出ていく「陽位」であり、気の滞りによって生じた熱がここから出ようとするため、症状が現れやすくなります。

さらに重要なポイントとして:

  1. 気の滞りの兆候(食べると腹が張る、月経前に胸が張るなど)
  2. 上半身の乾燥が目立つ(皮膚・口唇の乾燥、不眠、夢を見ることが多いなど)
  3. 下半身の水分停滞(手足の冷え、足のむくみ、舌の裏の静脈怒張など)

この方の場合、体全体で血や潤いが不足しているわけではなく、上下で偏って存在している状態と考えられます。10月頃から体全体の痒みが悪化したのは、季節の変化による冷えと乾燥が影響したと思われます。

さらに、疲れると左脇の下が腫れる症状については、体の左側は心臓から送り出された血液が下方に流れていく側です。疲労によって気の材料となる潤いが減少し、気の滞りを制御できなくなっていると考えられます。

東洋医学的に見たこの方の状態まとめ

総合的に分析すると、この方の状態は以下のようにまとめられます:

気の滞りを背景に、水分や気の巡りの偏りがあり、水を動かす熱も不足しています。その結果:

  • 体の上部→熱や乾燥が強い
  • 体の下方→水分が停滞

これが皮膚のターンオーバーを乱し、次のような問題を引き起こしています:

  1. 皮膚が過剰に押し出されて落屑(フケ)となる
  2. 熱の過剰と乾燥によって巡りがギクシャクして痒みが生じる

さらに乾燥して冷える季節になると:

  • 水分の巡りがさらに悪化
  • 上部に必要な潤いが届かなくなる
  • ターンオーバーの乱れが悪化

疲れで潤いが消耗すると、冷却水としての機能も低下し、上方への流れが強まって下降する流れが阻害され、脇の下が腫れるという症状につながっています。

ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい

この方の根本的な問題は、潤いの不足と気の滞りにあります。まず大切なのは質の良い睡眠です。

質の良い睡眠が取れないと:

  • 体に必要な潤いが十分に補充されない
  • 肝気を穏やかにする冷却水が不足して滞りやすくなる
  • 血流などの運搬に影響が出て疲れを感じる
  • 皮膚に栄養が届かずフケや痒みの症状が現れる

以下の自然療法がおすすめです:

  1. 気の流れを改善する食材を取り入れる
    • セロリ、春菊、大根などのストレスで滞った気の流れを発散してくれる食材を旬の時期に積極的に摂取しましょう
  2. 適度な運動を心がける
    • 運動によって巡りのための熱が生まれます
    • 気血の巡りが良くなります
    • 心地よい疲労感で夜も眠りやすくなります
  3. 顎の力みをチェック
    • こめかみは噛むことで動く部位です
    • 顎を噛みしめる癖があると全体的な気の巡りも悪くなります
    • 意識して顎を緩める習慣をつけましょう
  4. 7秒呼吸法で質の良い睡眠を
    • 眠れなくても布団の中で目を閉じて行いましょう
    • 7秒間かけて息を吸う
    • 7秒間息を止めて丹田(おへその下あたり)に意識を向ける
    • 7秒間かけて息を吐く
    • この呼吸法を続けると体の芯が温まり、上部の熱が降りて脳の興奮が鎮まります

この体質改善に効果が期待できる漢方薬

この体質の方には、以下のような漢方薬が効果的な場合があります。ただし、これはあくまで一般的な体質改善のための情報であり、個人の症状によっては効果が異なる場合があります。

  • 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) – 気血両虚で水の巡りが悪い状態に用いられる漢方薬。冷えによる水分代謝の異常を改善します。
  • 加味逍遙散(かみしょうようさん) – 肝気鬱結(かんきうっけつ)と呼ばれる気の滞りと血の不足に用いられる漢方薬。イライラや不眠など精神不安を伴う場合に効果的です。
  • 清上防風湯(せいじょうぼうふうとう) – 頭部の熱を冷まし、皮膚の症状を改善する漢方薬。頭皮の痒みやフケに効果が期待できます。

症状が複雑な場合には、これらの漢方薬単独では効果が現れないことがあります。ピヨの漢方では、あなたの体質や症状に合わせた漢方相談も行っていますので、お気軽にご相談ください。

まとめ

頭皮のフケや痒みが寒暖差で悪化する原因は、東洋医学的に見ると気の滞りと水分・熱の偏在にあることがわかりました。この体質の方は、上半身に熱や乾燥が偏り、下半身には水分が停滞しやすく、季節の変化でその傾向が強まります。

改善には以下のアプローチが効果的です:

  1. 質の良い睡眠で潤いを補充する
  2. 気の流れを改善する食材を摂取する
  3. 適度な運動で体内の巡りを促進する
  4. 顎の力みをほぐし気の流れを改善する
  5. 7秒呼吸法で体の芯を温め上半身の熱を下げる

これらの自然療法を継続することで、季節に左右されない健やかな皮膚と体質を手に入れることができるでしょう。

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