
こんにちは
どうなさいましたか?

中途覚醒にお悩みの方から
質問をいただきましたよ
毎日しっかり寝ているはずなのに、なぜか疲れが取れない…。夜中に何度も目が覚めてしまい、そのあとは不安感で胸がいっぱいになって眠れなくなる…。
このような症状でお悩みの方は少なくありません。実はこれらの症状、自律神経の乱れが大きく関係している可能性があります。
今回は、自律神経失調症状で眠りが浅く、中途覚醒後に不安感に襲われる方の症例をもとに、東洋医学的な視点から原因を探り、自然療法による改善方法をご紹介します。
体質や生活習慣を見直すことで、薬に頼らずに根本から改善できる可能性がありますので、ぜひ最後までお読みください。
今回の事例:どのような方のお悩みなのか?
外見的な特徴とお悩みの症状
- 59歳の女性
- 身長:162cm
- 体重:50kg(以前は60kg超の時期もあり)
- BMI:19.05
- 顔色:赤ら顔
- 皮膚:乾燥気味
- 髪質:乾燥して細い
- 舌の特徴:厚ぼったく赤っぽい、歯の痕がある
主な症状:
- 元々胃腸の不調から偏頭痛を繰り返していた
- 3年前に長年のストレスが悪化し、血圧や不整脈の問題が発生
- 心療内科ではストレス性身体表現障害と診断
- 安定剤を中止して8ヶ月経過するも改善せず
- 不安感、孤独感、絶望感が強い
- 睡眠不足と栄養不足で体重減少
- 昔から神経質で、わずかな物音でも目覚めやすい
- 特に朝は気分が悪く、日中は悪いことを考えてしまう
- 夕方になってやっと楽になるが、以前よりパワーが出ない
- 雨の日に特に具合が悪くなる
自律神経失調症とは?その仕組みを理解しましょう
自律神経とは、私たちの意思とは関係なく体の機能を調整している神経系です。具体的には:
- 血液やリンパ液などの体液を運搬する循環器系
- 食べ物を消化吸収し、栄養を合成、不要物を排泄する消化器系
- 酸素を取り入れ、二酸化炭素を排出する呼吸器系
これらの生命維持に欠かせない活動を自動的に調整しているのが自律神経です。
自律神経には、交感神経と副交感神経の2種類があります。
交感神経は「活動モード」のスイッチで、朝から昼間にかけて優位になります。この時:
- 心拍数が上がり血圧が上昇
- 呼吸が早くなる
- 体がシャキッとした状態になる
- 消化や排泄機能は低下
一方、副交感神経は「休息モード」のスイッチで、夕方から夜にかけて優位になります:
- 心拍数が落ち着き血圧が低下
- 呼吸がゆっくりになる
- 消化吸収の働きが活発になる
- 排泄機能が高まる
- 脳の働きが穏やかになり、睡眠に入りやすくなる
この2つの神経のバランスは、振り子のようなものです。片方に大きく振れた後、もう片方にもしっかりと振れることで、健康な状態を保つことができます。
しかし、このバランスが崩れると、体の不調につながってしまうのです。
東洋医学から見る自律神経失調症の原因とは?
東洋医学では、精神活動をコントロールしている働きを「心気」と呼びます。心気の機能が正常で、気血が満ち足りて巡っていれば、意識はハッキリとし、思考も穏やかで頭の回転も良好です。
これは大脳の働きと関係が深く、記憶、判断力、言語機能など、外部からの情報を処理して全身に指令を与える働きを担っています。
しかし、この心気の働きに不具合が生じると:
- 考えや感情の働きが過剰になる
- 落ち着いた状態を保てなくなる
- 不眠や不安感につながる
この方の場合、体質的な特徴から以下のような状態が見られます:
- 脳の働きを穏やかにする「心血」の不足
- 眠りが浅い
- 夢を見ることが多い
- 不安感が強い
- 忘れっぽい
- 体内の水分バランスの乱れ
- 下肢の浮腫み
- 舌の形が厚ぼったい
- 雨の日に体調が悪化
- 胃の中でチャポチャポ音がする
- 熱の偏在
- 手足は冷えるが、体の上部は熱がこもる
- イライラしやすく怒りっぽい
- 体温は高くないが熱っぽく感じる
- のぼせることが多い
- 気血を巡らせる原動力「腎陽」の不足
- 舌に歯の痕がある
- 腰や膝に疲れや脱力感
- 食欲不振
- 1日1回の軟らかすぎる排便
- 腹部の不快感や鈍痛
- 気の滞り
- 食後の腹部膨満感
- 胸が張って苦しい
- 痞える(つかえる)感じ
- 肩こり
- ゲップやガスが出ると楽になる
- 喉に何かが引っかかる感じ
これらの症状から考えると、気の滞りによって上昇過剰な流れが生じ、上半身に熱がこもり、末端部への血液循環が悪くなっているようです。その結果、脳が過剰に活性化し、眠りが浅く不安感が強くなっていると考えられます。
また、朝の調子が悪いのは気の滞りが関係しています。これはさび付いたドアのようなもので、最初は動かすのが重いですが、徐々に軽く動くようになります。そのため夕方になるとやや楽になるのですが、基本的な体力(腎気)の不足により、以前のようなパワーは感じられないのでしょう。
ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい
この方のケースでは、以下の点に注目して自然療法を考えていきます:
- お腹に停滞している余分な水分の排除 この方は「喉の渇きを感じない」と述べていることから、必要以上に水分を摂取している可能性があります。その結果:
- お腹の中に余分な水分が停滞
- 消化機能の低下
- 気血の巡りが妨げられる
- 脳を穏やかにする潤いが届かない
- 上昇する気の流れに水分が巻き込まれ、頭が重く感じる
- 体の緊張を緩める取り組み 不安感を直接的に意識で変えることは難しいため、体の状態を変えることで自然に心の状態も変わっていくアプローチがおすすめです:
- 現在行っているリラックス目的のマッサージ、鍼灸、足もみ、ストレッチなどは継続する
- お腹のセルフマッサージを追加する
- お腹のマッサージ法 心窩部(みぞおち)や臍の周囲が硬くなると、横隔膜の緊張や腹部大動脈への圧迫によって心臓の働きが過剰になり、不安感が強まります。 マッサージの手順:
- ストレッチなどでまず全身をほぐす
- 仰向けになる(座った状態でも可)
- 吐く息を長めにした呼吸法を行う
- 瞑想するような気持ちで、お腹を優しく指圧する
- お腹が柔らかくなり、全身の筋肉の緊張が緩んだ感覚を覚える
- 不安感が強まった時に、その体の感覚を思い出す
継続することで、お腹の働きが回復し、緊張感が緩み、自然と呼吸も深く穏やかになっていきます。頭に集まっていた気や熱が手足などの末端部へと降りていくため、全身のバランスが整っていくでしょう。
漢方だとどうする?
また、この方のような体質の方に合うとされる漢方薬には以下のようなものがありますが、あくまで参考情報です:
- 加味逍遙散:気の滞りと上半身の熱を改善する漢方薬。イライラや不安感、のぼせに効果が期待できます。
- 柴胡加竜骨牡蛎湯:精神不安を鎮め、気の巡りを整える漢方薬。不眠や動悸、イライラに用いられます。
- 温経湯:体の冷えを改善しながら血の巡りを解消する漢方薬。下半身の冷えや浮腫み、上半身の熱感に効果が期待できます。
ただし、個人の症状は複雑なため、単独の漢方薬では効果が得られない場合もあります。より適切な漢方薬の処方については、ピヨの漢方での相談をおすすめします。
まとめ:自律神経失調症の改善に向けて
自律神経失調症で眠りが浅く、中途覚醒後に不安感がある方の症状は、東洋医学的に見ると以下のような体質的な特徴が関連しています:
- 体の上部に熱が偏在(顔色が赤い、舌が赤い、のぼせやすい)
- 潤いの不足(髪や皮膚の乾燥、唇の乾燥、眠りが浅い)
- 体の下部を中心とした余分な水分の停滞(雨の日の不調、胃のチャポチャポ感、頭の重さ、足の浮腫み)
- 気の滞り(イライラ、胸の張り、つかえ感)
- 腎陽不足(気血を巡らせる力の低下)
これらの改善には、適切な水分摂取、お腹のマッサージ、呼吸法を組み合わせた自然療法が効果的です。焦らず継続することで、体のバランスが整い、自律神経の調和が取れていくでしょう。
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