
こんにちは
どうなさいましたか?

不眠と動悸にお悩みの方から
質問をいただきましたよ。
睡眠は私たちの健康を支える大切な柱の一つです。しかし、現代社会においては不眠に悩む方が増えています。とくに若い世代でも不眠と動悸に悩まされるケースが少なくありません。
東洋医学では、不眠や動悸といった症状は単なる「睡眠障害」ではなく、体全体のバランスの乱れから生じると考えます。今回は特に「心血不足」という東洋医学的な体質に焦点を当て、漢方的なアプローチから根本的な改善法を探っていきましょう。
睡眠薬に頼らず、体質から改善したいとお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。
不眠症になる理由とは?東洋医学的な視点から
東洋医学では不眠は精神活動に関連する心気の乱れと考えます。心気が正常な機能を維持するには、心の活動や制御を支える「血」が大切です。
様々な原因による結果として心血が不足すると、心気が空回りを起こし、不眠などの症状が現れるようになります。つまり、心と血のバランスが崩れることで睡眠の質が低下するのです。
よく処方される漢方薬である桂枝加竜骨牡蛎湯や柴胡加竜骨牡蛎湯は、ざっくり言うと脳の働きを調整し、心気の過剰な熱を引き降ろして鎮める働きがあります。
しかし、これらの漢方薬を飲んでも効果がなかったということは、不眠や動悸の原因は心気の過剰な働きだけではなさそうですね。
外見的な特徴とお悩みの症状
- 21歳・男性
- 身長:180cm
- 体重:57kg
- BMI:17.59(やせ型)
- 皮膚:乾燥気味
- 舌の裏の静脈:細いがよく見える
主な症状:
- 不眠症、動悸
- 心療内科で睡眠薬を服用中
- 桂枝加竜骨牡蛎湯や柴胡加竜骨牡蛎湯を試したが効果なし
- 食後1時間後ぐらいに動悸を感じやすい
なぜ漢方薬が効かなかったの?この方の体質の特徴
この方のBMIの値からはやせ形で皮膚は乾燥している特徴があります。体温は高くなくても熱っぽく感じることから、血や潤いが不足している様子が見られます。
血や潤いには熱を冷ます働きもありますので、不足していると心気の働きを穏やかにできず、眠りに入れなくなります。また、手足が冷える寒がりで、舌の裏の静脈が細いけどよく見えるという特徴から、体の中の水分を動かす力はやや弱いと考えられます。
このような状況で喉が渇いて水を飲みたい、立ちくらみしやすい、のぼせることが多いという症状があるということは、血や潤いの不足に合わせて巡りの悪さもあると考えられます。
それにより必要な潤いはますます上部へと届かなくなってしまい、心気の働きが鎮まれなくなって不眠になっているのかもしれません。
食後に動悸が起こるのはなぜ?
食事によって体に起きる現象としては、お腹の中に食べ物が入りますので、それを処理するために体の中心部に気や血が集中してきます。
この方の場合、大便が2~3日に1回で、便の様子は最初が硬いということなので、腸管の動きはあまり良くない上に、吸収する力もあまり良くないと考えられます。
そうしますと、お腹の中に集中した食べ物によって体の上下を分断されるようになり、上部へは潤いや血が届きにくくなります。心気は心臓の働きにも関与していますので、心気の働きが血や潤いが届きにくくなり乱され、動悸になるのかもしれません。
ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい
お腹の働きがあまり良くない感じがします。もしかしたらそれが痩せてしまう原因や立ちくらみ、さらには不眠や動悸の一因かもしれませんので、食生活の改善をおすすめいたします。
喉が渇いて水を飲みたいとありますが、喉の渇きを感じてから水を飲む場合でも、一度にたくさん飲まずに少しずつ飲む方が良いでしょう。
そして以下の点に注意しましょう:
- 避けるべき食品:
- 甘いもの
- 脂っこいもの
- 冷たいもの
- お腹へ負担のかかる食べ物
- おすすめの食べ方:
- 空腹感を感じてから食べる
- よく噛んで食べる
- 腹八分目を心がける
心血不足タイプの改善に効果が期待できる漢方薬
心血不足タイプの方に効果が期待できる漢方薬をいくつかご紹介します。ただし、これはあくまで一般的な心血不足の改善に効果が期待できる漢方薬であり、個々の症状に合わせた処方が必要です。
- 帰脾湯(きひとう):気血両虚による不眠症、動悸、疲労感などに用いられる漢方薬です。心と脾を補い、血を作る作用があります。
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):血虚による不眠、冷え、めまいなどに用いられます。特に血を補い巡らせる効果があります。
- 加味逍遙散(かみしょうようさん):気血不足による不眠や動悸、イライラなどの症状に効果的です。気の流れを改善し、血を補います。
症状が複雑な場合には、単独の漢方薬では効果が出ない場合もあります。当店では個々の体質や症状に合わせた漢方相談も行っておりますので、お気軽にご相談ください。
まとめ:心血不足からくる不眠・動悸の改善に向けて
今回は心血不足による不眠と動悸の問題について東洋医学的な視点からご紹介しました。この体質タイプの方は、以下のポイントを意識して生活習慣を見直すことが大切です:
- 食生活の改善:腸の働きを良くするため、消化に良い食事を心がける
- 水分摂取の方法:一度にたくさん飲まず、少量ずつこまめに飲む
- 適切な食事量:よく噛んで腹八分目を守る
- 体を冷やす食べ物を控える:体を温める食材を中心に摂る
心血不足の改善には時間がかかりますが、根本から体質を変えていくことで睡眠薬に頼らない健康的な生活を取り戻すことができます。ぜひ参考にしてみてくださいね。
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