
こんにちは
どうなさいましたか?

ダイエットにお悩みの方から
質問をいただきましたよ
テレワークで家にいる時間が増えて、少し太ってきたと感じていませんか?
運動しても思うように痩せられず、漢方薬でダイエットを考えている方も多いようです。そこでよく目にするのが「防風通聖散」という漢方薬ですね。
たしかに防風通聖散には、体の巡りを良くして余分なものを排出する働きがあります。しかし、服用しても痩せられなかったり、かえって副作用に悩んでしまう方もいらっしゃるのです。
本当に防風通聖散はダイエットに効果があるのでしょうか?
今回は、太ってしまう体質的な原因から、防風通聖散の正しい使い方まで、漢方の視点で詳しくお伝えしていきます。
どうして太ってしまうのですか?
ダイエットが必要なほど太ってしまうのには、体質的な原因が2つあります。
1つ目の原因:体の機能が低下するタイプ
体の機能が低下することで、余分なものを外へ排出できなくなる状態です。
体の中で水を巡らせたり処理したりする働きが低下してしまっています。そのため、水分を適度に処理できず、体が処理できる以上に余分な水分がだぶついてしまうのです。
いわゆる**「水太り」タイプ**ですね。
このタイプの方には、次のような特徴が見られます。
- 冷えを感じやすい
- 元気がなく疲れやすい
- むくみやすい
ダイエットのポイント
体の機能を高めるために、適度な食事や運動はもちろん大切です。同時に、体の機能を低下させてしまう要因にも注意が必要です。
具体的には、水分の摂り過ぎや、体を冷やす性質のあるものの摂り過ぎを控えましょう。
漢方薬を使う場合は、体の熱を高めることで水の巡りを改善し、体の機能を高めるアプローチが必要になります。
2つ目の原因:体の機能が過剰に働くタイプ
体の機能が不必要に過剰に働きすぎることで、余分なものをどんどん蓄積してしまう状態です。
もともとの体質や、普段の食事の性質が影響しています。体の中で食べ物と水分が結びついてドロドロになったものを、体に蓄積する働きが高まってしまうのです。
いわゆる**「固太り」タイプ**ですね。
このタイプの方には、次のような特徴が見られます。
- 暑さが苦手
- イライラしやすく怒りっぽい
- 落ち着きがないことがある
ダイエットのポイント
適度な運動はもちろんですが、食事がとても大切になります。
次のような食べ物を控えることが必要です。
- 味の濃厚なもの
- 脂っこいもの
- 体の中で熱を生じさせるもの
これらは動きの悪い形で蓄積される性質を持っています。さらに注意したいのは、こうした食べ物を冷たいものと一緒に食べたり、冷やした状態で食べたりしないことです。
ドロドロになったものがさらに動きにくくなり、ますます体に蓄積されてしまいます。
漢方薬を使う場合は、体の中に蓄積した余分なものを排除するために、余分な熱を冷ましながら排除していくアプローチが必要です。同時に、過剰に蓄積してしまう不必要な働きを抑えることも大切になります。
防風通聖散はどんな漢方薬ですか?
防風通聖散は、18種類の生薬から構成されている漢方薬です。それぞれの生薬がどのような働きをするのか、見ていきましょう。
配合されている生薬
- 防風(ぼうふう): 皮膚から発散させる
- 荊芥(けいがい): 皮膚から発散させる
- 麻黄(まおう): 皮膚から発散させる
- 生姜(しょうきょう): お腹の働きを助ける
- 薄荷(はっか): 熱を冷まして降ろす
- 連翹(れんぎょう): 熱を冷まして降ろす
- 山梔子(さんしし): 熱を冷まして降ろす
- 黄芩(おうごん): 熱を冷まして降ろす
- 石膏(せっこう): 熱を冷まして降ろす
- 桔梗(ききょう): 水分を下へ導く
- 芍薬(しゃくやく): 血行を良くする
- 当帰(とうき): 血行を良くする
- 川芎(せんきゅう): 血行を良くする
- 白朮(びゃくじゅつ): お腹の働きを助ける
- 滑石(かっせき): 尿として排出する
- 大黄(だいおう): 便から排出する
- 芒硝(ぼうしょう): 便から排出する
- 甘草(かんぞう): 気を補充する
どうして防風通聖散が良いと言われるのですか?
防風通聖散の働きを、流れに沿って詳しく見ていきましょう。
体の中の流れを作る
まず、防風・荊芥・麻黄が、皮膚から余分なものを排除するために気を皮膚表面から発散させます。停滞していた気の流れが上向きに強く動き出し、充満していたものが動きやすくなります。
次に、薄荷・連翹・山梔子・黄芩・石膏・桔梗が、体の上の方の熱を冷ましながら、余分な水分を下向きに引き降ろしてきます。そして滑石とともに尿として外側へ排除するのです。
この流れによって、体の表層付近に停滞して熱をもってドロドロしていたものが、熱を冷まされながら強制的に動かされて排除されます。
さらに排出を強める
これらの働きをさらに強めるために、大黄・芒硝が働きます。腸管に潤いを補いながら、熱を冷まして便から排出するのです。
これにより、便と尿から、熱と水分が結びついて停滞していたものが排除されます。
体の働きを維持する
同時に、芍薬・当帰・川芎によって血行を良くすることで、停滞しているものの排除を応援します。必要な血液は届けることで身体の働きを維持します。
白朮・生姜・甘草が、お腹の働きを応援しながら気を補充して、これらの働きを支えていきます。
まとめると
防風通聖散は次のような働きをします。
- 上向きに気を動かす(防風・荊芥・麻黄)
- 水と熱を下向きに引き降ろして尿から排出(薄荷・連翹・山梔子・黄芩・石膏・桔梗・滑石)
- 大便から排出(大黄・芒硝)
- 血行を改善(芍薬・当帰・川芎)
- 気を補充(白朮・生姜・甘草)
体の中に余分な熱や水分が充満している状態を、強制的に体の外へと排除することができる漢方薬なのです。
そのため、尿や便の出が悪くなっていて、こもってしまった熱や水が皮膚から出てしまうことで、ニキビになるなど皮膚が化膿したり湿疹ができているような場合には助けになってくれます。
どんなタイプの人に向いている?体質別おすすめコメント
固太りタイプの方には
体の中の余分なものを排除してくれるので、体のゴミ掃除という意味では良い場合があります。
ただし、固太りを起こしている体質的な原因を解消してくれるわけではありません。防風通聖散を飲むのをやめれば、結局太ってしまうことになります。
水太りタイプの方には
このタイプの方には、ほぼ合いません。
それどころか、体が弱っているのを応援してくれる作用は少ししかない上に、体を強制的に働かせてしまう作用がほとんどです。
場合によっては次のような症状が出ることがあります。
- 動悸がして眠れなくなる
- 大便を強制的に排出するので下痢になる
- かえって体が弱ってしまう
- 余計に太ってしまう
長期使用の注意点
防風通聖散は強制的に尿から排出する、便から追い出すなどといった激しい攻撃的な作用を持つ漢方薬です。
痩せるまでの間、長い期間にわたって漫然と続けていくうちに、次第に体の方で変化が起こることがあります。
漢方薬が手伝ってくれるので、自力で排尿や排便をすることを怠けるようになってしまうこともあるのです。
そうなると、今度は余計に便や尿の出が悪くなっていきます。体質の歪みが加わることになりますので、太りやすいだけでなく、余計な病気の原因にもなることも考えられます。
使う際の注意点
防風通聖散は、あくまでも体のお掃除を一時的に行うための漢方薬として使いましょう。
これで痩せようとは考えない方が良いと思います。
症状が複雑な場合には、単独では効果がない場合もあります。当店では、お一人お一人の体質に合わせた漢方相談も行っておりますので、お気軽にご相談ください。
まとめ
今回は、防風通聖散とダイエットというテーマでお話ししました。
太る原因は2タイプ
肥ってしまう体質的な原因には2種類あります。
- 水太りタイプ: 体の機能が低下したことにより、余分な水分を排除できなくなって体の中に蓄積してしまう
- 固太りタイプ: 体の機能が不必要に過剰になって、熱と水が結びついたものを過剰に身体に蓄積してしまう
防風通聖散が向いている方
防風通聖散は、体の中に余分な熱や水分がこもり、便や尿の出が悪くなっていて、ニキビのように皮膚などが化膿しているような方に対して、便や尿の出を改善することで解消してくれる漢方薬です。
固太りタイプの方の体のゴミ掃除的な使い方には良い場合がありますが、水太りタイプの方にはほぼ合いません。
本当のダイエットとは
ダイエットには、やはり適度な食事と適度な運動が一番です。私の経験からもそう思いますので、無理せず行っていってくださいね。
YouTubeでも解説しています。

ご自分の体質にあった
漢方薬を試してみたい方は
ピヨの漢方の漢方相談を
ご利用ください。


