生理前の甘いもの欲求と眠気、生理痛に関する漢方相談

生理の不調
ピヨ先生
ピヨ先生

こんにちは
どうなさいましたか?

にゃんたろう
にゃんたろう

生理痛にお悩みの方から
質問をいただきましたよ

生理前になると無性に甘いものが食べたくなったり、日常生活に支障が出るほどの眠気に襲われたりする経験はありませんか?

さらに、生理が始まると起き上がれないほどの痛みに悩まされている方も少なくありません。こうした症状は「よくあること」として我慢されがちですが、実は体からの重要なサインなのです。

今回は、生理前の甘いもの欲求、強い眠気、生理1日目の激しい痛みでお悩みの方の漢方相談事例をもとに、その原因と改善方法をご紹介します。漢方の視点から、あなたの体質に隠れている問題を探っていきましょう。

外見的な特徴とお悩みの症状など

今回ご相談いただいた方の基本情報は以下の通りです。

身体的特徴:

  • 手は暖かいが、お腹とおしりに冷えを感じる
  • 生理周期が35日から49日と不安定

主な症状:
・生理前に甘いものがすごく食べたくなる
・生理前の眠気がひどい
・生理前にネガティブな気分になる
・生理1日目に目が開けられないほどの眠気がある
・生理1日目に子宮が絞られるような痛みがあり、横にならないと耐えられない
・生理2日目に膣の入り口が裂けるような痛みがある
・生理2日目は1日目より痛みが軽減する
・生理2日目は経血量が多くなる

生理前に甘いものが食べたくなるのはなぜ?

生理前の甘いもの欲求は、単なる気のせいではありません。漢方では、脾(ひ)の働きが弱っている可能性を考えます。

脾は消化吸収を司る臓器で、エネルギーを作り出す役割を担っています。この働きが低下すると、体が手っ取り早くエネルギーを得ようとして甘いものを欲するようになるのです。

また、生理前の強い眠気は腎気不足が関係していることが多いですね。腎は生命エネルギーの貯蔵庫とも言える臓器で、ここが弱ると疲労感や眠気が強くなります。

さらに、ネガティブな気分になるのは気血(きけつ)の不足が考えられます。気血が不足すると、心を安定させるエネルギーが足りなくなり、抑うつ的な感情が生まれやすくなるのです。

お腹とおしりの冷えが意味することは?

手は暖かいのにお腹とおしりが冷えているというのは、興味深い状態です。

これは体の芯部に冷えがあり、気血が上部に広がってしまっている状態を示しています。本来、気血は体の中心部を温めながら全身を巡るべきなのですが、芯部の冷えによってバランスが崩れているのです。

この状態では、血の不足も同時に起きていることが多いですね。血が不足すると体を温める力が弱まり、特に下半身の冷えとして現れやすくなります。

生理1日目に目が開けられないほど眠いのはなぜ?

生理1日目の異常な眠気は、体が血の補充を強く求めているサインです。

生理では血が失われますので、体は急いで血を補おうとします。しかし、**体の冷えや脾虚(ひきょ:脾の働きの低下)**があると、血の補充がうまくできません。

そのため、体は「活動を停止して血を作ることに専念しよう」として、強烈な眠気を引き起こすのです。これは体の自己防衛反応とも言えますね。

また、子宮が絞られるような痛みは**血の滞り(血瘀:けつお)**があることを示しています。冷えや血の不足によって血の流れが悪くなり、それが痛みとして現れているのです。

なぜ2日目より1日目の方がきついの?

一般的に生理2日目が最もきついと言われますが、この方の場合は1日目の方が辛いとのこと。これには理由があります。

生理1日目は、勢いよく流れ出ようとする血が出ていけず突っ掛かり、それが強い痛みになっているのです。血の滞りがあるため、スムーズに排出できないんですね。

2日目になると血の流れが回復してくるため、痛みが軽減します。ただし、膣の入り口が裂けるような痛みがあるのは、依然として血の滞りが残っていることを示しています。

2日目に経血量が多くなるのは、1日目より血の流れが改善されているためです。

生理周期が不安定な理由は?

生理周期が35日から49日と安定していないのは、**血の不足だけでなく気の滞り(気滞:きたい)**も関係していると考えられます。

気は体の機能を動かすエネルギーで、これが滞ると生理周期を調整するホルモンバランスも乱れやすくなります。血と気の両方にトラブルがあると、周期の乱れとして現れやすいのです。

ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい

この方の体質改善には、温経湯(うんけいとう)を軸にした漢方療法がおすすめです。

温経湯は血を補いながら、血を作る力も応援してくれる処方です。血を巡らせて体を温めながら、上部の熱を引き降ろしてくれる働きもあります。

さらに、気の滞りを解放する漢方薬と組み合わせることで、より効果的な体質改善が期待できます。血虚(けっきょ:血の不足)と気滞の両方にアプローチすることが大切なのです。

また、生活習慣も重要な要素です。普段から適度な運動と、しっかりした睡眠を心がけることで、漢方薬の効果も高まりますよ。

この体質改善に効果が期待できる漢方薬

血虚(血の不足)や気滞(気の滞り)、体の冷えがある体質の改善に効果が期待できる漢方薬をご紹介します。これらはこの方の合う漢方薬ではなく、あくまで特定の体質改善に用いられる代表的な処方です。

  • 温経湯(うんけいとう):血を補い、血を作る力を高めながら、体を温めて血行を促進する処方。上部に昇った熱を引き降ろす働きもあります。
  • 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):血を補い、水分代謝を改善する処方。冷え症で貧血傾向のある方に適しています。
  • 加味逍遙散(かみしょうようさん):気の滞りを解消し、血を補う処方。イライラやネガティブな気分を改善する効果が期待できます。

症状が複雑な場合には、単独の漢方薬では十分な効果が得られないこともあります。当店では、お一人お一人の体質や症状に合わせた漢方相談を行っておりますので、お気軽にご相談ください。

まとめ

生理前の甘いもの欲求や眠気、生理痛の背景には、脾虚、腎虚、血虚、気滞、体の冷えなど、さまざまな体質的な問題が隠れています。

これらは別々の問題ではなく、互いに関連し合っているのです。そのため、一つの症状だけを改善しようとするのではなく、体質全体を整えていくアプローチが大切になります。

漢方では、このような複合的な問題を全体的に捉えて改善していくことが得意です。温経湯を中心とした処方と、生活習慣の改善を組み合わせることで、根本的な体質改善が期待できますよ。

つらい生理痛や不快な症状を「仕方ない」と諦めず、ぜひ漢方での体質改善を検討してみてくださいね。

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ピヨ先生
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