夜中に目が覚めるのはなぜ?中途覚醒を改善する酸棗仁湯の働きと使い方

不眠
ピヨ先生
ピヨ先生

こんにちは
どうなさいましたか?

にゃんたろう
にゃんたろう

中途覚醒にお悩みの方から
質問をいただきましたよ

夜中に必ず目が覚めてしまい、その後なかなか眠れない。そんな辛い経験はありませんか?

何時に寝ても途中で目が覚めてしまうと、睡眠不足で日中の疲れや眠気に悩まされますよね。この「中途覚醒」という症状、実は体の潤い不足が関係しているんです。

今回は、中途覚醒がなぜ起こるのか、そして漢方薬「酸棗仁湯(さんそうにんとう)」がどのように働いて睡眠をサポートしてくれるのかを、中医学の視点からやさしく解説していきます。

どうして夜中に目が覚めてしまうのですか?

睡眠には、レム睡眠ノンレム睡眠という2つの異なる眠りがあります。この2つが繰り返されることで、私たちの体は休息と回復を行っているんですね。

レム睡眠は、体は眠っているのに脳は起きている状態です。この時、記憶の整理や学習した技術の定着が行われています。夢を見るのも、このレム睡眠の時が多いんですよ。

一方、ノンレム睡眠は、脳が深く休んでいる状態です。体の修復やエネルギーの回復は、主にこの深い眠りの時に行われます。

眠りに入ると、まず深いノンレム睡眠から始まります。この最初のノンレム睡眠が長く続くと、「ぐっすり眠れた」という満足感が得られるんです。

中医学から見た睡眠のメカニズム

中医学では、昼間は「気」が体の外側を巡って活動をサポートしています。夜になると、この気が体の奥深くに戻ってきて、内側の修復やエネルギー作りに専念するのです。

深い眠りの時は、気が体の内側で穏やかに落ち着いています。この状態を保つには、脳を穏やかにするための「潤い」が必要なんですね。

パソコンを冷却するために冷却水が必要なように、脳の活動を穏やかに保つためには潤いが欠かせません。

なぜ途中で目が覚めるの?

この潤いが不足してしまうと、寝つきは良くても、途中で脳が活動を再開してしまいます。眠りがどんどん浅くなり、最後には目が覚めてしまうのです。

気の状態で説明すると、内側に戻ってきた気を穏やかに保つための「陰の潤い」が足りないため、あぶれた気が外側へ飛び出してしまいます。そして脳の活動が再開され、目が覚めてしまうというわけです。

酸棗仁湯はどんな漢方薬ですか?

酸棗仁湯は、5種類の生薬を組み合わせた漢方薬です。それぞれの生薬が協力し合って、脳に潤いを届け、深い眠りをサポートしてくれます。

酸棗仁湯に含まれる生薬:

  • 酸棗仁(さんそうにん):脳を穏やかにする潤いを補う
  • 知母(ちも):体の深部に潤いを届ける
  • 茯苓(ぶくりょう):水分を巡らせて脳に届ける
  • 川芎(せんきゅう):血液を頭部へ持ち上げる
  • 甘草(かんぞう):お腹の働きを高める

どうして酸棗仁湯で眠れるようになるのですか?

酸棗仁湯は、4つのステップで深い眠りをサポートします。

ステップ1:潤いの材料を補充する

まず、酸棗仁が脳の働きを調整する「心」に潤いを補充します。中枢神経系に作用して、持続的に脳を穏やかにする鎮静作用があるんです。

不眠や動悸、不安感、夢が多いといった症状に働きかけます。汗の出すぎを止めたり、血圧を下げる作用もあるんですよ。

知母は、体の深い部位へ潤いを届けます。体全体の潤いの基礎となる材料が補充されるので、脳へも順調に潤いが提供されるようになります。

さらに知母には熱を冷ます働きもあります。潤い不足で上の方へ浮き上がってしまった熱を、冷ましながら潤いを補充してくれるんです。

神経の興奮を鎮める作用もあるため、過労で興奮して乾いたような精神状態を、穏やかに落ち着かせてくれます。

甘草もお腹の働きを高めて、潤いの補充をサポートします。

ステップ2:潤いを巡らせる

せっかく補充した潤いも、停滞していては役に立ちません。茯苓がお腹の働きを高めながら、水分をスムーズに巡らせてくれます。

脳のある頭の方へ潤いが届けられ、不要になった水分は回収されて体の下へ送られます。まるで脳を冷却するシステムが整うような感じですね。

茯苓自体にも脳を穏やかにする働きがあると言われていますので、二重のサポートになります。

ステップ3:血液も運ぶ

川芎が血液を体の上の方へ持ち上げることでも、脳を穏やかにする潤いが運ばれていきます。

自然な眠りのシステムをサポート

これらの働きによって、体にもともとある眠りのシステムが応援されるんです。潤い不足でやや弱ってしまった眠りのシステムをバックアップして、深い眠りにつきやすくしてくれます。

どんなタイプの人に向いている?体質別おすすめコメント

酸棗仁湯は、こんな方におすすめです:

潤い不足タイプの方に特に向いています。疲れやストレスで体の潤いが消耗し、脳を穏やかにする力が弱くなっている状態です。

  • 寝つきは悪くないのに、夜中に目が覚めてしまう
  • 眠りが浅く、夢をよく見る
  • 動悸や不安感がある
  • 疲れているのに興奮して眠れない
  • 汗をかきやすい

このような症状がある方は、潤い不足で眠りのシステムが弱っている可能性があります。酸棗仁湯が体の自然な眠りをサポートしてくれるでしょう。

ただし、症状が複雑な場合には、酸棗仁湯だけでは効果が十分でないこともあります。そのような時は、漢方相談で体質に合わせた調整が必要です。当店でも漢方相談を行っていますので、お気軽にご相談ください。

まとめ

今回は、中途覚醒と酸棗仁湯についてお話ししました。

ぐっすり眠った満足感を得るには、深いノンレム睡眠を長く続けることが大切です。そのためには、脳を穏やかにする眠りのシステムを維持する必要があります。

酸棗仁湯は、潤いを補充し巡らせることで、この眠りのシステムをサポートしてくれる漢方薬です。

ただし、漢方薬だけでなく、生活習慣の改善も欠かせません。

パソコンやスマホの使い過ぎは、脳を過剰に興奮させ、潤いを消耗させます。特に眠る前に布団でスマホを見ると、頭に集まった気や熱が居座って、深い眠りを妨げてしまいます。

改善のポイント:

  • 眠る1時間前からパソコンやスマホを見ない
  • 室内の明かりを暗めにする
  • 眠る前に丹田を意識した呼吸法を行う(吐く息を長めに)
  • 頭の熱を降ろすイメージで呼吸する

これらの工夫を組み合わせることで、脳の穏やかな状態を維持しやすくなります。ぜひお試しくださいね。

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ピヨ先生
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