
こんにちは
どうなさいましたか?

顔色にお悩みの方から
質問をいただきましたよ
自分ではそれほど体調が悪いわけでもないのに、周りから心配されると不安になってしまいますよね。鏡を見ても、なんだか血色が悪くて元気がなさそうに見える…そんな悩みを抱えている方は少なくありません。
顔色は体の状態を映す鏡です。特に中医学では、顔色は血液の巡りやお腹の働きと深く関係していると考えられています。
この記事では、顔色が悪くなる原因を中医学の視点から解説し、改善をサポートしてくれる漢方薬「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」についてお伝えします。
どうして顔色が悪くなるのですか?
顔色を決めているのは、皮膚の下にある毛細血管を流れる血液の量と流れの状態です。
興奮したり恥ずかしいと感じたりすると、心臓の拍動が盛んになります。血液が体全体で勢いよく流れるようになるため、顔の毛細血管にも血液がたくさん流れ込み、顔が赤くなります。
反対に、寒い場所に長時間いると、体は大切な熱を逃がさないように毛細血管を閉じます。すると血液が流れなくなるため、赤い色素が減少して顔色が悪く見えるのです。
顔は毛細血管の密度が特に高い部位です。頬の血管はお腹と比べて約5倍もの毛細血管が通っていると言われています。だからこそ、血液の流れの変化が顕著に表れるんですね。
寒くもないのに顔色が悪くなる3つの原因
興奮しているわけでもなく、寒い場所にいるわけでもないのに顔色が白くなってしまう場合、次の3つの原因が考えられます。
1. 身体全体で血液が不足している
血液が足りていない場合、体は生命維持に必要な体の中心部に血液を優先的に配分します。そうなると、体の末端部となる顔へは血液が届けられなくなってしまいます。その結果、顔色が白っぽく見えるようになるのです。
2. 血液を顔へと運ぶパワーが不足している
顔は体の中で一番上に位置する部位です。そこへ血液を運び上げるには、かなりのエネルギーが必要となります。
気(エネルギー)のように軽いものは、温めた空気が浮き上がるように自然と上へ運ばれます。しかし水分を上へ運ぶには、体の芯部の熱で水分を温めて軽くする必要があります。
そして血液はさらに重いものです。血液には水分に加えて、濃厚な栄養分や鉄などのミネラルも含まれています。一階から五階へ重い荷物を運び上げるように、水を持ち上げるよりも強い気のパワーが必要なのです。
気が不足している人、つまり体の熱源が不足して冷えている方の場合、血液を顔へと運び上げるパワーが足りず、顔色が白っぽくなってしまいます。
3. 顔がむくんでいる
顔色を決めているのは血液の流れの状態です。顔の周辺に余分な水分が停滞していると、その水分が毛細血管の中の血液の流れを邪魔してしまいます。その結果、血液の流れが悪くなり、顔色が白っぽくなるのです。
さらに、流れの悪い水分が毛細血管の周辺に居座ってしまうと、その水分が保冷材のように熱を奪うようになります。体は大切な熱を守ろうとして毛細血管を閉じてしまうため、ますます血流が悪くなることもあります。
顔色と内臓の関係
中医学では、顔はお腹の働き(脾気)と心臓の働き(心気)の状態が現れやすい部位と考えられています。
- 脾気の働きが弱る → 水分の動きに影響が出てむくみを生じやすくなる
- 心気の働きが弱る → 血液の巡りの勢いに影響が出る
このように、顔の血液の流れだけでなく、むくみにも深く関わっているのです。
当帰芍薬散はどんな漢方薬ですか?
当帰芍薬散は、6種類の生薬から構成される漢方薬です。それぞれの生薬が協力して、血液を巡らせ、血液の補充を助け、お腹の働きを応援して余分な水分を排除してくれます。
配合されている生薬
- 当帰(とうき): 血液を巡らせ補う
- 芍薬(しゃくやく): 血液を巡らせ補う
- 川芎(せんきゅう): 血液を上へ運ぶ
- 白朮(びゃくじゅつ): お腹の働きを高める
- 茯苓(ぶくりょう): 水分を巡らせる
- 沢瀉(たくしゃ): 余分な水分を排出する
どうして当帰芍薬散で顔色が良くなるのですか?
当帰芍薬散の働きを、順を追って見ていきましょう。
血液を巡らせて補充する
まず、当帰・芍薬・川芎が血液の巡りを促しながら、血液の補充もします。
当帰と芍薬は、動きが悪くなっている血液の巡りを改善してくれます。同時に、血液の材料を補充することも助けてくれるんですね。
この血液の補充によって筋肉の緊張が緩み、心も体もともに鎮静するようになります。筋肉の過度の緊張がお腹の働きを邪魔して、余分な水分が停滞してしまうのを防ぐことにもつながります。
さらに芍薬には、体の表層で停滞している余分な水分を体の下の方へと引き降ろして排除する働きもあります。
そして川芎が血液を身体の上の方へと持ち上げることで、顔へと血液が運ばれていくのを助けてくれます。川芎には、ドロドロして流れの悪くなった血液の流れを改善させる働きもあります。
お腹の働きを高めて水分を排除する
白朮と茯苓は、お腹の働きを高めながら、停滞している余分な水分の巡りを改善してくれます。
お腹の吸収を高めることにより、あるいは全体の水分を巡らせて下向きに引き降ろすことで、体の中の水の巡りが良くなります。
そして、引き降ろされてきた余分な水分を沢瀉につなげて体の外へと追い出します。お腹の中に停滞していた余分な水分が巡り排除されることによって、お腹の働きも改善し、血液の巡りも改善するのです。
当帰芍薬散の働きをまとめると
- 当帰・芍薬で血液を巡らせ、血液の補充も軽く行う
- 川芎で血液を上向きに巡らせる
- 白朮・茯苓でお腹の働きを高めつつ、余分な水分を巡らせる
- 沢瀉で余分な水分を体の外へと追い払う
これらの働きによって、血液の不足が補充され、血液を届ける働きも助けられ、余分な水分の排除もしてくれます。その結果、顔色の改善が助けられるのです。
どんなタイプの人に向いている?体質別おすすめコメント
当帰芍薬散は、次のようなタイプの方に特に向いています。
体が冷えやすく、むくみやすい方
余分な水分が体に停滞しやすく、それが冷えを引き起こしている方におすすめです。当帰芍薬散が水分の巡りを改善し、体の外へと排出してくれます。
疲れやすく、血色が悪い方
血液が不足気味で、体の末端まで血液が届きにくい方に適しています。血液を補充し、巡らせる働きが疲れやすさと血色の悪さをサポートします。
お腹の働きが弱い方
お腹の働きが弱いことで水分が停滞し、それが血液の巡りにも影響している方に向いています。お腹の働きを高めることで、全体のバランスが整っていきます。
使う際の注意点
当帰芍薬散は多くの方に適した漢方薬ですが、次のような場合には注意が必要です。
症状が複雑な場合
体の芯部の冷えが強すぎる場合や、血液の不足がかなり進んでいる場合には、当帰芍薬散の助けだけでは間に合わなくなってしまうことがあります。
そのような場合には、さらに体を温めたり、血液の補充を助けてくれるような漢方薬を合わせる必要があります。症状が複雑な場合には、当店で漢方相談を承っておりますので、お気軽にご相談ください。
生活習慣も大切
漢方薬だけでなく、適度に運動をして休息を取ることも大切です。
体の冷えが強い場合、体を動かすことが熱を作る応援になります。さらに体を動かすことで、お腹の働きが高まり、心地よい空腹感が感じられるようになれば、血液の材料となる食べ物をきちんと処理できるようになります。
そして、運動の後で早めの睡眠をとるようにすれば、その間に体が気や血液を作り出してくれます。少しずつ体が変わっていきますので、ぜひお試しくださいね。
まとめ
顔色が悪くなってしまう原因には、次の3つが考えられます。
- 身体全体で血液が不足している
- 血液を顔へと運ぶパワーが不足している
- 顔がむくんでいる
当帰芍薬散は、これらの原因にアプローチする6種類の生薬から構成されています。血液を巡らせて補充し、お腹の働きを高めて余分な水分を排除することで、顔色の改善をサポートしてくれます。
ただし、体の状態によっては他の漢方薬を組み合わせる必要がある場合もあります。症状が複雑な場合には、当店で漢方相談を承っておりますので、お気軽にご相談ください。
運動と休息のバランスを整えながら、漢方の力を借りて、健やかな血色を取り戻していきましょう。
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