
こんにちは
どうなさいましたか?

睡眠不足にお悩みの方から
質問をいただきましたよ
「毎晩夢を見て、朝スッキリ起きられない…」
こんな経験はありませんか?夜ぐっすり眠れないまま朝を迎え、一日中疲れが取れない感覚。特に毎晩のように夢を見ると、本来休息であるはずの睡眠時間が、むしろ脳を疲れさせてしまうこともあります。
今回は、5年間も夢を見続けて睡眠不足に悩まれている方の体験談をもとに、東洋医学の観点から不眠の原因と改善方法について考えていきましょう。
この方の外見的な特徴とお悩みの症状
- 46歳女性
- 身長:155.5cm
- 体重:47kg
- BMI:19.44
主な症状:
- 5年前から毎晩夢を見て朝がスッキリ起きられない
- いつも身体が重く、「爆睡したい!」と常に思う
- 子供の頃からアトピー性皮膚炎があり、25歳頃から悪化
- 42歳時に右乳癌の部分切除、放射線治療を受ける
- 身体が常に冷えており、特に手足と後ろ首から肩甲骨が冷える
- 常に軟便で、たまに便秘になることもある
外見的には、赤ら顔で、皮膚や髪の毛は乾燥している状態。舌は厚ぼったく歯の痕が残り、溝や割れ目もあり、舌先に赤みが強く、部分的に紫色になっています。舌の苔は白くて厚く、剝れている箇所もあるとのこと。
不眠の原因は東洋医学ではどう考える?
睡眠に入るためには、身体の潤いによって、興奮した脳がゆったりと穏やかな状態に落ち着けることが必要です。
東洋医学では、脳の活動を調整しているものを「心気」と呼びます。この心気は意識状態や睡眠と深く関係しています。心気の機能が正常で、気血が充実していれば、意識活動は明瞭で、思考も穏やかに保たれます。
この心気の機能を正しく発揮させるためには、以下の2つのバランスが重要です:
- 心陽:活動の源となる熱源
- 心陰:活動を穏やかな状態に制御する冷却水の役割
これをコンピューターに例えると分かりやすいでしょう。脳の働きはCPUのような役割を果たします。コンピューターが正常に動くためには、動力となる電気と、過熱を防ぐ冷却システムの両方が必要です。
このバランスから睡眠について考えると:
- 心陽が活動することで脳の活動が盛んになり、目が覚める
- 心陰が充実することで脳が穏やかになり、眠りにつく
不眠になる場合、いくつかのパターンがあります:
1. 心陽が過剰になる場合
心陽が過剰になると心陰が不足し、脳が穏やかになれず、眠りにつけなくなります。例えば、遠足前の子どものように、明日の大事なイベントで興奮して眠れなくなる状態です。
2. お腹の働きが弱る場合
お腹の働きが弱ると、脳を穏やかにする潤い(血液)を作り出せなくなります。また、血液を運ぶ働き自体も低下するため、脳のある上部まで潤いを運べなくなり、不眠につながります。
3. 脳への潤いを何かが邪魔する場合
お腹の働きが弱く、食べたものを上手く吸収・運搬できないと、お腹の中に余分な水分が停滞します。また、ストレスなどで気の巡りが悪くなると、お腹の中でドロドロしたものが生じ、脳への潤いを妨げ不眠になります。
この方の体質の特徴は?
この方の症状を見ていきましょう:
- 皮膚や髪の毛は乾燥し、体の潤いが不足している状態
- 一方で、舌の様子からは体の中に余分な水分の充満が見られる
- 全身の倦怠感があり、常に軟便であることから、お腹の機能(脾気)の低下が考えられる
- 足や手の浮腫み、厚い舌苔、雨の日に体調が悪いことから、体内の余分な水分の充満が窺える
- 手足の冷え、寒がり、舌の色の紫色から、体内の水分を処理できない状態
この方の場合、重い水分は体の下部に停滞し、上部には熱だけが上がっている状態と考えられます。これによって次のような問題が起きています:
- 動きの悪い水分が肩こりの原因に
- 残った水分が冷やされ、首から肩甲骨の冷えを感じる
- 上方は熱、下方は水分という不均衡で、心気に潤いが足りず不眠に
- 上方への熱により喉の渇きを感じる
- 体が冷えているため、吸収したものが巡れず、軟便や下痢になる
簡単にまとめると、体の芯部の冷えと余分な水分の充満が背景にあります。まるで火力の弱いお風呂に水がたっぷり入っているような状態で、上だけが熱く、下は冷たくなっている状態です。
ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい
この体質の方には、次の点に注意した自然療法がおすすめです:
1. 水分摂取の工夫
体内に余分な水分が充満している状態なので、喉の渇きを感じてから飲むようにしましょう。そして、少量ずつ飲むのがポイントです。
まだ喉が渇いていれば、また少し飲むという方法で、水分を摂り過ぎずに適度な補給ができます。(ただし、熱中症の季節は例外ですので、こまめな水分補給を心がけてください)
2. 適度な運動の習慣化
水分を巡らせるには体の熱が必要です。熱を作るには軽く汗ばむ程度の運動が効果的です。
- 近所の坂道を散歩する
- 通勤ではできるだけ階段を使う
- ストレッチなど軽い運動を日課にする
体を動かすことで気血の巡りが良くなり、酸素が体中に行き渡って細胞が活性化します。また、水分の循環も促され、浮腫みの改善も期待できます。
3. 外側からの温め
- 足湯を行う
- コンニャク湿布で冷えている部分を温める
これらの方法で体の熱を補い、冷えを改善していきましょう。
この体質改善に効果が期待できる漢方薬
この体質の方に効果が期待できる漢方薬をいくつかご紹介します。ただし、これはあくまで一般的な「水滞」と「気虚」の体質改善に効果が期待できる漢方薬であり、個人の症状に合わせた処方ではありません。
- 苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう):水分代謝を促し、体内の余分な水分を排出する効果が期待できます
- 五苓散(ごれいさん):余分な水分を排出し、水の巡りを良くする効果があります
- 半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう):めまいや頭痛を伴う水滞タイプの不調に用いられます
症状が複雑な場合には、単独では効果が現れにくいこともあります。ピヨの漢方では、お一人おひとりの体質や症状に合わせた漢方相談を行っておりますので、お気軽にご相談ください。
まとめ:夢が多くて眠れない原因と対策
今回ご紹介した方のように、毎晩夢を見て睡眠不足になる原因は、東洋医学的に見ると「心陽過剰」と「水滞」が組み合わさった状態と考えられます。
体の上部に熱がこもり、下部に水分が停滞する不均衡が、良質な睡眠を妨げているのです。
改善のポイントは:
- 水分摂取を喉の渇きを感じてから行う
- 適度な運動で体内の熱を生み出す
- 外側からの温めで冷えを改善する
これらの対策を続けることで、体内の水分と熱のバランスが整い、より良い睡眠が期待できます。
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