
こんにちは
どうなさいましたか?

顔のシミにお悩みの方から
質問をいただきましたよ
肌の悩みの中でも特に気になるのが「顔のシミ」と「内出血しやすさ」ではないでしょうか。特に年齢を重ねるにつれ、これらの症状が目立つようになり、お悩みの方も多いと思います。
今回は、そんな顔のシミと血管が脆いことにお悩みの53歳女性の体験談をもとに、東洋医学的な視点からその原因と対策法をご紹介します。
シミや内出血の悩みは「仕方ない」と諦めていませんか?実は東洋医学の観点から見ると、体内のバランスを整えることでこれらの症状を改善できる可能性があるのです。
この方はどのようなお悩みを抱えているの?
まずは、今回ご相談いただいた方の外見的な特徴とお悩みの症状を見ていきましょう。
外見的な特徴とお悩みの症状
- 53歳の女性
- 身長は161cm
- 体重は55kg
- BMIは21.22(標準範囲内)
主な症状:
- 顔色は全体的に青白く、顔の中心部(頬・鼻・顎)が赤い
- 皮膚はベタベタしている
- 舌は厚ぼったく、暗い色で、歯の痕や溝や割れ目あり
- 舌の苔は白くて厚く、剝れている部分がある
この方は子供の頃から気づかないうちに顔や身体に痣ができやすく、年齢を重ねるにつれて痕が残りやすくなっているとのこと。現在は手足の痺れ、動悸息切れ、めまい、頭痛、頻尿、手足の痛みなどの症状があり、病院では「更年期」とされてしまうそうです。
また、子供の頃から低体温(平熱35.5℃)で、糖尿病や高血圧の家系だとのこと。顔のシミについては「扁平苔癬様角化症」と診断されており、もう一つの悩みである内出血しやすい体質は母親や従姉妹も同様なので遺伝的な要素もあると考えられます。
シミはなぜできるの?西洋医学と東洋医学の視点から
まず、シミができる仕組みについて西洋医学的な視点から見てみましょう。
シミは皮膚の基底層にあるメラニン細胞が作り出すメラニン色素によって形成されます。皮膚が日焼けなどの刺激を受けると、紫外線から細胞を守るためにメラニンが放出されるのです。
通常、軽い日焼けであれば、お肌のターンオーバーによって新しい皮膚に入れ替わる際にシミも垢として消えていきます。しかし、強い刺激や炎症が長引くと過剰に放出されたメラニンが真皮にまで落ち込み、シミとして残ってしまうのです。
一方、東洋医学ではどう考えるのでしょうか?
東洋医学では、メラニン細胞や貪食細胞の働きは腎気と深い関わりがあると考えます。腎気とは体の土台を支える働きを担い、生命の危機に際して活発に働く重要なエネルギーです。
腎気は年齢によって変化し、幼児期には弱く、壮年期にピークを迎え、老年期には次第に弱まっていきます。この変化は髪の毛の状態にも表れ、年齢と共に髪にハリやコシが失われていくのも腎気の衰えによるものなのです。
日焼けなどの紫外線がDNAを直接攻撃するような危機的状況では、腎気が活性化して異物を固めることでダメージを無害化しようとします。この過程がシミなどの色素沈着として現れるのです。
また、腎気を正常に機能させるためには気血の正常な循環が不可欠です。血流が悪くなると皮膚に栄養が届かず、不要物も回収されなくなるため、皮膚のターンオーバーにも影響し、肌状態が悪化します。
この方の体質はどうなっているの?
では、今回のケースについて東洋医学的な視点から体質を分析してみましょう。
まず、血管がもろく内出血しやすい症状について。東洋医学では、あざや皮下出血しやすい体質は、脾気の弱りが関係していると考えます。脾気は血管を形成する平滑筋の緊張度を維持する役割があり、これが低下すると血管の弾力性が失われ、軽い接触でも出血しやすくなるのです。
しかし、この方の場合、食欲不振や消化不良などの症状がなく、BMIも正常なことから、脾気自体にはそれほど問題がないように見受けられます。
次に、体内の水分の状態を見てみましょう。舌の状態や喉の渇きの特徴から、体内には動きの悪くなった水分が充満しているようです。また、皮膚のベタつきや多汗、頻尿などの症状から、上昇した水分が体の下へと巡れず、滞っている状態が伺えます。
気の流れについては、手足の冷えやめまいなど、末端部への気血の供給が不足している一方で、イライラや肩こりなどから、気が体の中心部に滞り、上向きに異常な流れを作っているようです。舌や顔色の状態から、こもって滞った気が行き場を失い、体の命令を無視して勝手に浮き上がっている状態と考えられます。
更年期症状については、東洋医学では腎気のバランスの乱れに関係があります。腎には生命力の基となる「精」が蓄えられ、体を潤す「腎陰」と熱源となる「腎陽」のバランスによって健康が保たれています。更年期はこのバランスが崩れやすい時期であり、様々な症状が現れるのです。
また、扁平苔癬様角化症については、中高年女性に多く見られることから腎気の影響が考えられます。さらに、皮膚の落屑(らくせつ)がある点から気の滞りも関与していると思われます。気の滞りがあると、体内の水分バランスが乱れ、皮膚のターンオーバーにも影響を与えるのです。
では、この方におススメの自然療法を教えて下さい
これまでの分析から、この方の状態をまとめると、体内に余分な水分が充満し、気の滞りによって上向きの異常な流れが生じていることが問題の根本にあるようです。気血の巡りが悪いために栄養が十分に届かず、肌トラブルや不眠などの症状に繋がっていると考えられます。
自然療法としては、以下のアプローチをおすすめします:
- 生活リズムの調整
- 朝の不調が見られることから、気血の流れが滞っていると考えられます
- 昼間はしっかり活動し、夜は早めに就寝して十分な睡眠をとることが大切です
- 適度な運動
- 軽く汗ばむ程度の散歩や家事など、無理のない範囲で体を動かしましょう
- 体を動かすことで気血の巡りが改善し、ストレス解消や不眠改善にもつながります
- 水分摂取の見直し
- 「喉が渇くけど水が飲みたくない」という状態は、体内に余分な水分がある証拠かもしれません
- 無理に水分を摂ることは体への負担になる可能性があるため、通常の食事以外の飲み物は控えめにしましょう
以上の自然療法を取り入れることで、気血の巡りが改善し、肌トラブルや更年期症状の緩和が期待できます。
この体質改善に効果が期待できる漢方薬
体質改善のためには以下のような漢方薬も参考になります。ただし、これらはあくまで一般的な○○体質の改善に効果が期待できる漢方薬であり、この方に特化したものではありません。症状が複雑な場合には、単独では効果が得られないこともありますので、専門家への相談をおすすめします。
- 当帰芍薬散: 血行を促進し、水分代謝を整えるはたらきがある漢方薬
- 加味逍遙散: イライラや肩こり、のぼせなどを改善し、肝気の流れを整える漢方薬
- 六味丸: 腎陰を補い、潤いを与える漢方薬
まとめ:シミと内出血の悩みを東洋医学で解決
今回は顔のシミと血管が脆いことでお悩みの方の体験談から、東洋医学的な視点での原因と対策をご紹介しました。
シミや内出血など肌トラブルの根本には、気血の巡りの滞りや腎気のバランスの乱れがあることがわかりました。これらの問題は、適切な生活習慣の改善と東洋医学的なアプローチで改善できる可能性があります。
特に、適度な運動と十分な睡眠は気血の巡りを促進し、様々な症状の緩和に役立ちます。また、体質に合った漢方薬を取り入れることで、より効果的な改善が期待できるでしょう。
肌トラブルは一朝一夕で解決するものではありませんが、根本から体質を改善していくことで、健やかな肌を取り戻せるはずです。ぜひ今回ご紹介した方法を試してみてください。
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