古来より「医食同源」という言葉があるように、私たちの日常的な食べ物には様々な薬効があります。特に鶏肉は、世界中で愛される食材であるだけでなく、東洋医学においても重要な栄養源として認識されてきました。
実は鶏肉には単に美味しいだけでなく、体を温め、気を補い、様々な不調を改善する効果があるのです。約8000年前に東南アジアで家畜化されたと言われる鶏は、その高い栄養価から多くの文化圏で重宝されてきました。
今回は、そんな身近な食材「鶏肉」の薬膳的な効能や活用法について、Q&A形式でわかりやすく解説していきます。日々の食事に取り入れることで、あなたの健康維持にきっと役立つはずですよ。
鶏肉の基本情報(性味・帰経)とは?
鶏肉は東洋医学の観点から見ると、以下のような特徴を持っています。
- 性味: 平(温)、甘
- 帰経: 脾、胃
鶏肉は温をもち体を温める性質を持ちます。「甘」という味は体を補い、調和させる働きがあります。また、主に「脾」と「胃」の臓腑に作用します。
脾と胃は東洋医学では消化吸収や栄養の運搬を担う重要な臓器と考えられています。そのため鶏肉は、これらの機能を助け、胃腸を整える食材として重宝されてきました。
鶏肉にはどのような薬効がありますか?
鶏肉には主に3つの重要な薬効があります。
1. 補中益気(ほちゅうえっき)
脾胃の働きを助け、気を補うことで以下の症状を改善します。
- 脾胃虚弱(消化器系の弱さ)
- 消渇(異常な喉の渇き)
- 食欲不振
- 下痢
- 帯下(おりもの異常)
- 不正出血
2. 補精添髄(ほせいてんずい)
精気や髄(骨髄など)を補うことで以下の症状に効果があります。
- 虚弱体質
- 消痩(やせ細ること)
- 汗の異常
- 産後の母乳不足
- 四肢の無力感
3. 降気止逆(こうきしぎゃく)
気の流れを下げ、逆流を止める働きがあり、以下の症状を改善します。
- 咳
- げっぷ
- しゃっくり
鶏肉は消化吸収もしやすいため、産後や病後、虚弱体質の改善に特に適しています。とくに皮はコラーゲンが豊富で、髪や肌を潤わせ、老化を防ぐとともに、腎の機能を高める効果もあるんですよ。
鶏肉の部位別の効能について教えてください
鶏肉は部位によっても効能が異なります。
レバー
- 血を補う働きがある
- 貧血予防に効果的
- 肝機能の向上に役立つ
砂肝
- 胃腸の調子を整える
- 胃痛や消化不良を改善
- 腹部膨満感を解消
特に砂肝の内膜は「鶏内金(ケイナイキン)」という生薬として、消化促進や結石の解消に用いられています。鶏肉のたんぱく質に含まれるメチオニンには、脂肪肝を予防する働きもあることが知られています。
鶏肉の便利な食べ方を教えてください
鶏肉は様々な調理法で楽しむことができます。漢方的な効能を最大限に活かす調理法をいくつかご紹介します。
おすすめの調理法
- スープや煮込み料理:鶏肉の旨味と栄養素を最大限に引き出します。特に虚弱体質の方や回復期の方におすすめです。
- 蒸し鶏:余分な脂肪を落としつつ、肉質を柔らかく保ちます。サラダや和え物など多彩な料理に活用できます。
- グリルやロースト:オーブンでじっくり焼くことで、余分な脂肪を落としながらもジューシーな味わいを楽しめます。
- 薬膳スープ:鶏肉にネギ、クコの実、生姜などを加えたスープは、特に冬場の体力回復に効果的です。
まとめ:鶏肉を日常に取り入れて健康増進を
鶏肉は私たちの身近にある食材でありながら、漢方的にも非常に価値のある食材です。脾胃を整え、気を補い、体力を回復させる効果があります。また、部位によって異なる効能を持つため、目的に応じて選ぶことで、より効果的に健康増進に役立てることができます。
ただし、体調や体質に合わせて適切に摂取することが大切です。虚弱体質の方や病気の回復期には積極的に取り入れるなど、状況に応じた活用を心がけましょう。
日々の食事に鶏肉を意識的に取り入れることで、東洋医学の知恵を生かした健康的な食生活を実践していきましょう。「医食同源」の精神で、食べ物を通じて健康を維持する習慣を身につけていただければ幸いです。
参考文献

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