皆さんのキッチンに必ず一つはあるであろう野菜、それがキャベツです。スーパーで手に取る機会が多いこの身近な野菜ですが、実は「甘藍(かんらん)」という和名を持ち、数千年の歴史と驚くべき健康効果を秘めた食材なのをご存知でしょうか?
普段何気なく食べているキャベツには、胃腸を守るスペシャリストとしての一面があります。
今回は、古くから東洋医学でも重宝されてきたキャベツの魅力を、栄養学と伝統医学の両面から掘り下げていきましょう。毎日の食事に取り入れることで、あなたの健康にどのような変化が起きるのか、その秘密を一緒に探っていきましょう。
キャベツとは何ですか?
キャベツは、アブラナ科アブラナ属の多年草で、丸い形状と緑色の葉が特徴的な野菜です。日本では「甘藍(かんらん)」という和名でも知られています。
キャベツの基本情報
- 性味/帰経:
- 性味:平、甘
- 帰経:胃、腎
キャベツは現代の食生活に欠かせない野菜となっていますが、その歴史は非常に古く、世界各地で様々な調理法が発展してきました。季節によって春キャベツや冬キャベツなど品種も変わり、それぞれに特徴ある味わいを楽しむことができます。
キャベツにはどんな効能があるのですか?
キャベツには、東洋医学的な観点からも現代栄養学的な視点からも、多くの健康効果があります。特に胃腸の健康維持に優れた効果を発揮します。
キャベツの主な効能
- 補中益気(ほちゅうえっき)作用:
- 脾胃の働きを強化し、中心となる気を補う効果
- 脾胃虚弱、疲労感、胸焼け、胃痛、食欲不振の改善に役立つ
- 胃腸保護作用:
- ビタミンU(キャベジン)が胃粘膜を保護・修復
- 胃潰瘍や十二指腸潰瘍の予防・改善に効果的
- 消化促進効果で胃もたれや胃痛を緩和
- その他の健康効果:
- かぜの予防
- 疲労回復
- 血栓予防
- 血液循環改善
キャベツに含まれるビタミンCは免疫力を高め、ビタミンUは胃腸の粘膜を強化します。
「キャベジン」という胃腸薬の名前の由来にもなったビタミンUは、胃腸のトラブルに効果的です。胃腸の調子が良くなると体全体の気力も増しますので、胃もたれや胃痛を感じやすい方はキャベツを摂り入れましょう。
キャベツの栄養成分とは?
キャベツには様々な栄養素が含まれており、日常的に摂取することで健康維持に役立ちます。
キャベツの主要栄養成分
- ビタミン類:
- ビタミンC:免疫力向上、抗酸化作用
- ビタミンK:骨の健康維持、血液凝固に関与
- ビタミンU(キャベジン):胃粘膜保護・修復
- ビタミンE:抗酸化作用
- ミネラル・食物繊維:
- 食物繊維:腸内環境改善、便秘予防
- カリウム:体内の水分バランス調整
- カルシウム:骨や歯の形成に必要
- その他の有効成分:
- イソチオシアネート:抗酸化作用、解毒作用
- グルコシノレート:がんのリスクを下げる可能性
キャベツは低カロリーながら栄養価が高く、特に糖尿病や肥満の方にも適した食材です。水溶性と不溶性の両方の食物繊維を含んでおり、腸内環境を整えるのに役立ちます。
キャベツを食べる際の注意点はありますか?
キャベツは非常に優れた食材ですが、調理法や保存方法によっては栄養素が損なわれることがあります。また、体質によっては注意が必要な場合もあります。
食べ方と保存の注意点
- ビタミンの流失に注意:
- ビタミンCやビタミンUは水溶性のため、切ってから水にさらすとビタミンが流失
- 調理前に長時間水にさらさない
- サラダにする場合は、食べる直前に切るのがベスト
- 保存方法:
- 冷蔵庫で保存する際は、芯をくり抜き、湿らせたキッチンペーパーを詰めると鮮度が長持ち
- 外葉を1〜2枚残して保存すると中の葉が傷みにくい
- 食べ合わせの注意:
- 甲状腺の問題がある方は、過剰摂取に注意(甲状腺ホルモンの生成を阻害する可能性がある成分を含む)
- 抗凝固薬を服用している方は、ビタミンKを多く含むため医師に相談することをおすすめ
キャベツは基本的に安全な食材ですが、特に生で大量に摂取する場合は、人によってはガスが溜まりやすくなることがあります。加熱することでこの問題は軽減されますので、胃腸が敏感な方は軽く加熱してから食べることをおすすめします。
キャベツの伝統的な使い方や民間療法はありますか?
キャベツは食材としてだけでなく、伝統的な民間療法にも用いられてきました。特に胃腸のトラブルや炎症を和らげる効果が古くから知られています。
伝統的な利用法
- 伝統的な飲用法:
- キャベツジュース:胃腸の粘膜保護や潰瘍の改善のために飲用する習慣がある
- 発酵キャベツ(ザワークラウト):腸内環境改善のための伝統食
キャベツは切り方や調理法によって食感や風味が変わるため、様々な楽しみ方ができます。漬物にしたり、スープの具材にしたりと、アレンジは無限大です。ぜひご家庭でも色々な調理法を試してみてください。
まとめ:キャベツの魅力を日常に取り入れよう
キャベツは、私たちの身近にある野菜でありながら、驚くべき健康効果を持つ優れた食材です。東洋医学的には「補中益気」の作用があり、胃腸の調子を整え、体全体の活力を高める効果があります。
キャベツを活用するポイント
- 栄養素を逃さない調理法を心がける(水にさらしすぎない、適切な加熱)
- 季節ごとの品種の特徴を知り、適した料理に活用する
- 日常的に少量を継続的に摂取することで健康効果を得られる
- 様々な調理法を試して、飽きずに継続的に食べられるようにする
キャベツは安価で入手しやすく、保存性も高いため、日常的に食卓に取り入れやすい野菜です。その栄養価の高さと多様な調理法から、世界中で愛される理由が分かります。
胃腸の健康は全身の健康の基本。毎日の食事にキャベツを取り入れて、その恵みを体感してみませんか?身近な野菜の中に隠された驚くべきパワーがあなたの健康をサポートしてくれるでしょう。
参考文献

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