古くからメソポタミア地方で栽培され、日本には9~10世紀頃に遣唐使によって伝えられたえんどう豆。
このえんどう豆、実は東洋医学においても西洋医学においても、非常に優れた効能を持つ食材として知られているのをご存知でしょうか?
今回は、そんなえんどう豆の持つパワーについて、東洋医学と現代栄養学の両面から詳しく紹介していきます。日常生活に取り入れやすい活用法も合わせてご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
えんどう豆とは?基本情報を教えてください
えんどう豆は、マメ科エンドウ属の一年草で、その歴史は非常に古く、起源はメソポタミア地方とされています。
平安時代の文献『倭名類聚抄』には「乃良末女(のらまめ)」として記載されており、当時は「のらまめ」または「のまめ」と呼ばれていました。その後、室町時代に「園豆(えんとう)」、安土・桃山時代には現在の「豌豆(えんどう)」という表記と呼び方に統一されました。
「豌豆」という名称は、古くから豆類を中国に輸出していた「大宛国(だいえんこく)」(現在のウズベキスタン・フェルガナ州付近)に由来するという説があります。
東洋医学における性味と帰経は以下の通りです:
- 性味: 平、甘
- 帰経: 脾、胃
えんどう豆は、未熟な豆を食べる「グリーンピース」、若いさやごと食べる「さやえんどう(絹さや)」、そしてさやごと食べられる「スナップエンドウ」など、様々な形で利用されており、それぞれに特徴ある栄養価と食味を持っています。
えんどう豆にはどんな薬効・効能がありますか?
えんどう豆は東洋医学的にも現代栄養学的にも素晴らしい効能を持っています。主な働きを見ていきましょう。
東洋医学的な働き
- 健脾気利湿(けんひきりしつ)
- 食欲不振の改善
- 嘔吐の軽減
- 下痢の改善
- 足の攣りの緩和
- 解毒利水(げどくりすい)
- 水虫の症状緩和
- 吹出物の改善
- 外傷による腫れや毒の緩和
- むくみの解消
- 生津通乳(せいしんつうにゅう)
- 口渇の緩和
- 産後の乳汁分泌促進
脾(ひ)と胃の働きを高め、消化吸収を促進してエネルギーを補う作用があります。また体内の湿気を取り除くため、むくみの解消や下痢の改善に有効です。
えんどう豆に含まれるビタミンやミネラルはバランスよく含まれており、日常的に摂取することで体全体の健康維持に役立ちます。
えんどう豆を食べる際の注意点はありますか?
えんどう豆は多くの健康効果がある一方で、いくつか注意すべき点もあります。
- 食べ過ぎに注意
- 過剰摂取は腹部膨満やガスの発生を引き起こすことがあります
- 適量を心がけましょう
- 調理方法による栄養価の変化
- 重曹と一緒に煮るとビタミンが破壊されるため注意が必要です
- さやえんどうなどは長時間加熱するとビタミンCが失われます
- アレルギーに注意
- まれにえんどう豆アレルギーがある方もいますので、初めて食べる際は少量から試してみてください
えんどう豆の持つ効能を最大限に活かすためには、適切な調理法と適量の摂取を心がけることが大切です。
えんどう豆を日常に取り入れるコツを教えてください
えんどう豆の栄養と効能を日常生活に取り入れるため、いくつかのアイデアをご紹介します。
グリーンピースの活用法
- 豆ご飯
- えんどう豆のさやから取った出汁でご飯を炊き、豆は別に煮て最後に混ぜることで、鮮やかな色と風味を保てます
- 春の訪れを感じる季節の料理として楽しめます
- ピューレ・ディップ
- えんどう豆を煮てピューレ状にし、ディップとして利用するのも手軽でおすすめです
- 野菜スティックやクラッカーと一緒に楽しめます
- スープやポタージュ
- えんどう豆のポタージュは栄養価も高く、クリーミーな食感が人気です
- 少量の生クリームを加えると風味がアップします
さやえんどう・スナップエンドウの活用法
- 炒め物
- ビタミンCを豊富に含むさやえんどうは、炒め物の仕上げに加えてさっと火を通すのがおすすめ
- 油と一緒に摂取することでβカロテンの吸収率が高まります
- サラダ
- スナップエンドウはさっと茹でてサラダに加えると、甘みと歯ごたえを堪能できます
- シャキシャキとした食感が食卓に彩りを添えてくれます
- 温野菜
- さっと茹でて塩やオリーブオイルでシンプルに味わうのもおすすめです
- えんどう豆本来の甘みを感じられます
日常の食事にえんどう豆を取り入れることで、その豊富な栄養素と効能を無理なく摂取することができます。季節によって異なる種類のえんどう豆を楽しんでみてはいかがでしょうか。
まとめ:えんどう豆の素晴らしさを再確認
えんどう豆は古くから親しまれてきた食材でありながら、東洋医学的にも現代栄養学的にも非常に優れた効能を持つことがわかりました。健脾気利湿、解毒利水、生津通乳といった東洋医学的な働きと、免疫力向上、腸内環境改善、視力保護、美肌効果、生活習慣病予防といった現代栄養学的な効能を併せ持つ、まさに「食薬」と呼ぶにふさわしい食材です。
日常的に取り入れやすいグリーンピース、さやえんどう、スナップエンドウなど、様々な形で食卓に取り入れることができます。ただし、食べ過ぎには注意し、特定の疾患がある方は摂取量に気をつける必要があります。
えんどう豆の調理法も様々で、豆ご飯やスープ、炒め物やサラダなど、バリエーション豊かに楽しめます。季節の恵みとして、また健康維持のためにも、ぜひえんどう豆を日々の食生活に取り入れてみてください。
食材としてだけでなく、東洋医学的な視点からも見直してみると、私たちの身近にある食材の奥深さに気づかされますね。自然の恵みに感謝しながら、えんどう豆の持つパワーを最大限に活かして、健やかな毎日を送りましょう。
参考文献

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