夏の食卓に涼しげな存在感を放つ冬瓜。その名前とは裏腹に夏が旬の野菜ですが、実は東洋医学では古くから重要な食薬として親しまれてきました。名前の由来は、収穫後も冷暗所で保存すれば冬まで持つことから、あるいは冬に種をまいたものが特においしいことからとも言われています。
一般的な野菜としての栄養価だけでなく、漢方的な薬効も豊富な冬瓜。今回は東洋医学の観点から見た冬瓜の効能や使い方について詳しくご紹介します。夏バテ対策や美容、健康維持に冬瓜を取り入れてみませんか?
冬瓜とは?生薬としての基本情報を教えてください
冬瓜は東洋医学では「とうがん(冬瓜)」として知られる生薬です。その基本的な性質は以下の通りです:
性味/帰経:
- 性味:寒、甘
- 帰経:肺、大腸、膀胱
冬瓜は実だけでなく、種は「冬瓜子(トウガシ)」、皮は「冬瓜皮(とうがひ)」として別途生薬として利用されることもあります。これらはそれぞれ固有の薬効を持ち、様々な症状に活用されてきました。
特に冬瓜の性質は「微寒」とされ、体内の熱を冷ます作用があります。夏バテの季節に食べると、まさに体の内側から「涼」をもたらしてくれるのです。
冬瓜にはどんな薬効がありますか?
冬瓜には主に以下の薬効があります:
1. 清熱解毒・利尿作用
冬瓜の持つ清涼感は単なる食感だけではありません。体内の余分な熱を取り除き(清熱)、毒素を排出する(解毒)働きがあります。
具体的な効果:
- 熱中症の予防・改善
- むくみの解消
- 尿量が少ない症状の改善
- 排尿痛の緩和
- 化膿症の解消
冬瓜に含まれるカリウムはナトリウムの排出を促進し、血圧調整にも役立ちます。高血圧の方にもおすすめの食材といえるでしょう。
2. 生津止渇(せいししかつ)作用
「生津止渇」とは、体の潤いを補充し、喉の渇きを潤す効果のことです。
具体的な効果:
- 糖尿病(消渇)の症状緩和
- 口渇の改善
- 夏の暑さによる喉の渇きを潤す
暑い地域では、冬瓜をそのまま食べて暑さをしのぐという知恵も伝えられています。夏の暑さで喉が渇いたとき、冷たい冬瓜スープなどは理にかなった選択ですね。
3. 脂質代謝の改善
冬瓜に含まれるサポニンという成分は、脂質の代謝を促進する効果があります。
具体的な効果:
- 脂質代謝異常の予防
- ダイエットのサポート
- 高脂血症の予防と改善
4. 美容効果
冬瓜にはビタミンCが豊富に含まれており、抗酸化作用があります。
具体的な効果:
- コラーゲンの吸収促進(鶏肉などとスープにすると効果的)
- メラニンの沈着抑制
- 美白、シミ除去
- 肌の保湿
オレイン酸やシトルリンなどの成分が美肌効果をもたらすと言われています。
冬瓜を摂取する際の注意点は何ですか?
冬瓜は多くの健康効果がある一方で、以下のような注意点もあります:
- 妊婦さんは摂りすぎに注意 冬瓜は微寒で気を降ろす作用があるため、妊婦さんは食べ過ぎないよう注意が必要です。
- 脾胃虚寒(ひいきょかん)の方は控えめに 脾胃が弱く、体が冷えやすい体質の方(脾胃虚寒)は、腹痛や下痢を避けるために摂取量に注意しましょう。
- 体質に合わせた摂取を 体質や体調によって合う・合わないがありますので、体調不良を感じた場合は摂取を控えてください。
冬瓜は基本的に安全な食材ですが、東洋医学では「体を冷やす」食材に分類されるため、もともと冷え症の方や消化器系が弱い方は温かい調理法を選んだり、生姜などの温性の食材と組み合わせたりするとよいでしょう。
まとめ:冬瓜の薬効を日常に取り入れるには?
冬瓜は一般的な食材でありながら、東洋医学的には優れた薬効を持つ食薬といえます。清熱解毒・利尿作用、生津止渇作用、脂質代謝改善、美容効果など、多岐にわたる効能があります。
夏バテの季節に冬瓜スープを取り入れたり、むくみが気になるときに冬瓜料理を増やしたりと、症状や目的に合わせて活用してみてはいかがでしょうか。
ただし、体を冷やす性質があるため、冷え症の方や妊婦さん、脾胃虚寒の方は摂りすぎに注意が必要です。生姜や葱などの温性の食材と組み合わせることで、冷えすぎを防ぐ工夫も効果的です。
東洋医学の知恵を活かした食生活は、現代の健康維持にも役立ちます。季節の変わり目や体調管理に、ぜひ冬瓜の薬効を取り入れてみてください。
参考文献

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