
こんにちは
どうなさいましたか?

陰嚢湿疹にお悩みの方から
質問をいただきましたよ。
陰部の痒みというデリケートなお悩み、特に夜間に悪化して睡眠を妨げる症状に悩まされていませんか?このような症状は単なる皮膚トラブルではなく、体内の「湿熱」という状態が関係している可能性があります。
今回は、20年間脂漏性皮膚炎を患い、夜間の陰部の痒みに悩まされている40代男性の事例をもとに、漢方的な視点から原因と対策を解説します。ステロイド治療でも根本的な解決に至らなかった痒みの真因とは?体質改善のアプローチで睡眠の質を取り戻しましょう。
外見的な特徴とお悩みの症状
- 43歳・男性
- 172cm
- 76kg
- BMI:25.69(やや肥満傾向)
主な症状:
- 皮膚と髪の毛の乾燥
- 顔色が赤っぽい
- 舌の色が白っぽく、苔が厚くべたっとしている
- 舌の上の水分が乾燥
- 舌の裏の静脈が細いが見える
- 陰嚢の痒み(特に就寝中に悪化)
- 20年間の脂漏性皮膚炎
- 悪玉コレステロールが高い
- 長期間の飲酒習慣(2ヶ月前から月1回程度に控えている)
陰部の痒みはどうして起きるのですか?
陰部の痒みの根本的な原因は、気血の流れが悪くなってギクシャクしていることにあります。特に陰部は体の下部に位置しているため、余分な水分が停滞しやすい部位です。
この停滞した水分が「湿痰」や「湿熱」(体内に過剰な水分と熱がこもった状態)を引き起こし、不快な痒みとなって表れます。このような状態は、現代医学では単なる皮膚炎として扱われることが多いですが、漢方的な視点では体内環境のバランスの乱れとして捉えます。
この方はなぜ痒くなってしまったのでしょうか?
この方の場合、いくつかの特徴的な要素が湿熱体質を作り出しています:
- やや肥満傾向であること
- 悪玉コレステロールの高さ
- 長期間の飲酒習慣
これらの要素から、体内には余分な水分が煮詰まってできた湿熱が充満している状態が推測されます。顔色が赤っぽい一方で舌の色が白っぽいことから、非常に強い熱ではないものの、体内にこもった熱があると考えられます。
また、舌の状態からは以下のような体質的特徴が読み取れます:
- 皮膚や髪の毛の乾燥と舌の上の水分の乾燥がある一方で
- 舌の苔が厚くべたっとしている(バターを塗ったような状態)
このことから、体内では動きの悪い水分が熱により濃縮され、ドロドロした状態になっていると考えられます。さらに特徴的なのは、体の上部では乾きがある一方、下部では余分な水分が停滞しているという不均衡です。
この状態では体内の水分バランスと熱の分布に乱れがあることを示しています。
どうして寝ている間に痒くなるんですか?
「寝ていると痒くなり、起きると改善する」という症状には、漢方的な見方で興味深い説明ができます。
昼間の活動中は「気」(体を巡るエネルギー)が身体の表面に向かっていますが、夜になって睡眠に入ると、その気が身体の内側に戻ってきます。通常、この「気」は体内の潤いとペアを組んで身体の修復を行います。
しかし、体内の潤いが不足していると、戻ってきた気があぶれてしまい、その結果として体内にこもった熱がさらに生じます。さらに布団の中で体温が上がることで、湿熱の症状が強まり、痒みが増すのです。
そして起きることで気が外側へと向かうと、一時的にこもった熱が解消されるため、症状が軽減するというメカニズムが考えられます。つまり、昼夜の気の流れと体内の潤い不足のアンバランスが夜間の痒みを悪化させているのです。
ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい
このような湿熱体質の方には、以下のような自然療法がおすすめです:
- 食生活の改善
- 熱を帯びやすい食材(揚げ物、辛いもの、アルコール)を控える
- 水分代謝を促す食材(冬瓜、きゅうり、スイカなど)を積極的に摂る
- 体を潤す食材(なし、はちみつ、白きくらげなど)を取り入れる
- 生活習慣の見直し
- 就寝前の過剰な水分摂取を控える(就寝中の熱こもりを防ぐため)
- 軽い運動で全身の血行を促進する
- 入浴時にはぬるめのお湯で、長湯を避ける
- 入浴法の工夫
- 陰部の洗浄は刺激の少ない弱酸性の専用ソープを使用
- 洗い過ぎず、優しく洗う
- 清潔な下着を使用し、通気性の良い素材を選ぶ
湿熱体質の改善に効果が期待できる漢方薬
また、湿熱体質の改善に効果が期待できる漢方薬としては以下のようなものがあります:
- 竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう):下半身の湿熱を除去し、陰部の痒みに効果的
- 柴胡清肝湯(さいこせいかんとう):体の熱を冷まし、気の滞りを解消します
- 茵蔯五苓散(いんちんごれいさん):余分な水分を排出し熱を冷まし、水分代謝を改善する
これらはあくまで湿熱体質の改善に一般的に効果が期待できる漢方薬であり、個人の症状や体質によっては単独では効果がない場合があります。症状が複雑な場合には、当店での漢方相談をご検討ください。
まとめ
陰部の痒み、特に夜間に悪化する症状は、体内の湿熱と水分バランスの乱れから生じていると考えられます。この方の場合、体の上部の乾燥と下部の湿熱という不均衡な状態が、長年の生活習慣や体質的な要因から引き起こされています。
改善には、食生活の見直し、適度な運動、入浴方法の工夫など、日常生活全体からのアプローチが重要です。特に湿熱を解消し、体内の水分バランスを整えることが根本的な解決につながります。
症状の完全な解消には時間がかかりますが、体質改善の第一歩として今日からできることから始めてみましょう。継続的な取り組みが、夜間の不快な痒みから解放される鍵となります。
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