手の乾燥に悩まされている方は少なくありません。特に冬場になると、手の平がガサガサになり、指先の皮膚が裂けてしまうほど症状が悪化することがあります。市販の保湿クリームを試してみても、なかなか改善しない場合、東洋医学的な視点から原因を考えてみるのも一つの方法かもしれません。
東洋医学では、皮膚の乾燥症状を単なる外的な問題ではなく、体内のバランスの乱れから生じるものと捉えます。今回は、手の乾燥に悩まされている方の例を元に、東洋医学の視点から原因と対策について考えていきましょう。
手の乾燥・ガサガサの症状はどのようなものですか?
手の乾燥やガサガサには、様々な症状が見られます。
- 手の平がガサガサしてタワシのような感触になる
- 親指、人差し指、中指の爪周りの皮膚が裂ける
- 手の平の皮膚が硬くなり、シワシワになる
- 顔の皮膚も突っ張る感じがする
- 目の周りの皮膚が横に引っ張られたような感覚
- 細かいシワが目立つようになる
- 耳が異常に冷たい
これらの症状は特に冬に悪化し、夏になると爪の近くの肉が裂けたり手の平がガサガサになることは軽減するものの、顔の乾燥は変わらないとのことです。また仕事の日に症状が強くなり、特に昼食後に悪化する傾向があります。手が温かくなると症状が悪化し、手が冷たいときはタワシのような手にはならず、ツルツルになって皮膚が硬くなるようです。
東洋医学では手の乾燥の原因をどう考えますか?
東洋医学では、手の平や足の裏を特別な位置づけで考えます。これらは「裏」に位置するとされ、体の芯部の働きと深い関連があるとされています。
手の乾燥の主な原因としては、以下の要因が考えられます:
- 芯部の熱源や潤いの不足:皮膚が乾燥しやすい、口唇が乾燥する、体温は高くないのに熱っぽく感じる、疲労時や夜間に手の平や足の裏が熱くなるなどの症状は、体内の潤いや血の不足を示しています。
- 消化器系の機能低下:手の平はお腹の働きと関連が深いとされています。食欲不振や多く食べられない、昼食後に症状が悪化する、食べられる量が減ったなどの症状は、消化器系の機能が弱っていることを示唆し、皮膚に必要な栄養素が十分に作られていない可能性があります。
- 気の巡りの停滞:手の平や足の裏は末端部にあり、気の折り返し地点となります。肝気(気の巡りを調整する働き)がこもりがちになると、潤いを適切に届けられず、熱がこもることで皮膚の乾燥が強まります。仕事中の症状悪化や手足の冷えは、気の巡りが滞っている証拠です。
つまり、材料(潤い)の不足と、それを届ける仕組み(気血の巡り)の乱れが複合的に作用して、手の乾燥が起こっていると考えられます。
手の乾燥を改善するためにはどうすればよいですか?
東洋医学の視点から、以下の対策が考えられます:
- 水分摂取の工夫: 喉が渇いて水を飲みたい場合でも、舌に歯の痕がある、舌の苔が厚く水っぽい、指や足にむくみがあるなどの症状がある場合は、水の巡りに負担がかかっている可能性があります。このような場合は、特に熱中症の危険がない季節では、少しずつ様子を見ながら水を飲むことが良いでしょう。
- 適度な運動: 冬などの寒い時期に症状が悪化することから、冷えが関係している可能性が高いです。体の熱を作るためにも、適度に体を動かすことが効果的です。運動不足と感じる場合は、体を動かす習慣を取り入れてみましょう。
まとめ:東洋医学から見た手の乾燥対策
東洋医学の視点から見ると、手の乾燥やガサガサは体内のバランスの乱れから生じると考えられます。特に、潤いの不足、消化器系の機能低下、気の巡りの停滞が複合的に作用していると考えられます。
症状の背景には以下のような要因があるようです:
- 芯部の熱源や潤いの不足
- お腹の働きの弱さによる皮膚に必要な材料の不足
- 気の巡りの滞りによる潤いを届ける仕組みの乱れ
改善のためには、水分摂取の工夫や適度な運動が効果的かもしれません。特に冬の寒い時期に症状が悪化するということは、冷えが関係している可能性が高いため、体を温めることも大切です。
参考文献

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