古来より「完全栄養食品」として親しまれてきた卵。西洋の栄養学ではタンパク質やビタミンの宝庫として知られていますが、東洋の伝統医学である漢方や薬膳の世界では、卵にはさらに深い健康効果があると考えられてきました。
体を潤し、のどを清め、血を養い、心を安定させる——そんな卵の力を、あなたは十分に活用できていますか?
今回は日常的に食べられる卵を漢方・薬膳の視点から見直し、その効能や活用法をQ&A形式でわかりやすく解説します。健康維持や症状改善に役立つ知識を、ぜひ毎日の食生活に取り入れてみましょう。
卵とは?基本情報を教えてください
卵は平の性質を持ち、甘味があるとされています。卵白は涼性、卵黄は平性と、部位によって性質が異なるのが特徴です。
性味/帰経
- 性味: 平、甘
- 帰経: 肺、心、脾、肝、腎
ビタミンCと食物繊維以外のほぼすべての栄養成分を含む、ほぼ完全栄養食品と言われています。特に以下の栄養素が豊富です:
- 必須アミノ酸8種(特にメチオニンは抗うつ、抗アレルギー効果あり)
- 吸収されやすい形の鉄分
- レシチン(コレステロールを溶かす作用がある)
- ビタミンA、D、E、B群
- ミネラル(リンなど)
コレステロールを気にして卵を避ける方もいますが、卵黄に含まれるレシチンはコレステロールを溶かす作用があり、1日1〜2個程度なら問題なく食べられるとされています。
卵の漢方的な効能・効果は何ですか?
卵には主に以下の3つの働きがあります。
1. 滋陰潤燥(じいんじゅんそう)
体内の潤いを補い、乾燥を改善する効果です。次のような症状に効果的です:
- 空咳(からせき)
- 口の渇き
2. 清咽開音(せいいんかいおん)
のどを清浄にし、声帯の機能を改善する効果です。次のような症状に効果的です:
- 目の充血
- 声のかすれ
- 発声困難
- のどの痛み
3. 養血安胎(ようけつあんたい)
血を養い、特に胎児を安定させる効果です。次のような症状に効果的です:
- 不眠
- 多夢(夢を多く見る)
- めまい
- 精神不安
- 胎動不安
また他にも、卵を含む薬膳には以下のような効果もあるとされています:
- 滋陰養血(じいんようけつ):潤や血の補充
- 補気益腎(ほきえきじん):気を補い、腎気を助ける
- 健脾和胃(けんぴわい):消化促進、食欲増進
- 寧神安神(ねいしんあんじん):心を落ち着かせ、睡眠の質を改善
卵を使った具体的な応用例を教えてください
漢方・薬膳では、症状や体質に合わせて卵をさまざまな食材と組み合わせて活用します。以下は代表的な応用例です:
- 貧血の場合: 卵 + ナツメ + 黒砂糖
- 自律神経失調症の場合: 卵 + クコの実 + ナツメ
卵を食べる際の禁忌や注意点はありますか?
卵は優れた食材ですが、次のような場合には注意が必要です。
アレルギー体質の方は特に注意が必要です。卵アレルギーは比較的一般的なアレルギーの一つですので、症状がある場合は医師に相談しましょう。
体質や状態によっては、卵の摂取量を調整することが大切です。特に持病をお持ちの方は、専門医や栄養士に相談することをおすすめします。
まとめ:卵の漢方的活用法
卵は私たちの身近にある食材でありながら、漢方・薬膳の観点からは多くの健康効果が期待できる優れた食材です。
主な効能をおさらいすると:
- 体を潤し、空咳や口の乾きを改善する「滋陰潤燥」の効果
- のどを清め、声のかすれを改善する「清咽開音」の効果
- 血を養い、不眠やめまい、精神不安を和らげる「養血安胎」の効果
日常的に取り入れやすい卵ですが、体調や体質に合わせて適切に摂ることで、その効果を最大限に引き出すことができます。
また、卵は単体で食べるだけでなく、症状や目的に合わせて他の食材や漢方薬材と組み合わせることで、より効果的に活用できます。
毎日の食卓に漢方の知恵を取り入れて、食から健康を築いていきましょう。
参考文献

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