海の恵みは私たちの健康維持に欠かせない存在です。その中でも「タコ」は、日本人にとって馴染み深い食材であるだけでなく、実は東洋医学的にも優れた効能を持つ食材として重宝されてきました。
「多股」が語源とも言われるタコは、その8本の足が象徴するように「多幸(たこう)」という縁起の良さから、お祝い事にも用いられてきました。しかし、タコの価値はそれだけではありません。薬膳的な視点から見ると、実に様々な健康効果が期待できる優れた食材なのです。
今回は、そんなタコの基本情報から薬効、注意点までを詳しく解説していきます。日常の食卓に取り入れて、健康増進に役立ててみませんか?
タコとは?基本情報と漢方的な位置づけ
タコは薬膳において、以下のような性質を持つとされています:
性味/帰経
- 性味: 寒、甘、鹹
- 帰経: 脾、肝
タコが「寒性」を持つということは、体を冷やす性質があるという意味です。夏バテ対策などには適していますが、冷え性の方は摂取方法に工夫が必要となります。
また、「脾」と「肝」に作用するということは、消化機能や肝気の調整に役立つ可能性があるということ。特に疲労回復や栄養補給に関して優れた効果が期待できます。
タコの主な薬効と効能とは?
タコには以下のような優れた薬効があります:
1. 養血益気(ようけつえっき)
気血虚弱(きけつきょじゃく)による以下の症状に効果的です:
- 疲れやすさ
- 息切れ
- 多汗
- めまい
- 顔色の悪さ
- 産後の血虚
- 母乳分泌不足
タコに含まれる鉄分は赤血球の生成を促進し、補血効果をもたらします。また、タウリンなどの栄養素が気力の回復を助けるため、疲労回復にも効果的です。
2. 収斂生肌(しゅうれんせいき)
- 慢性的な皮膚の炎症や傷の治癒を促進
タコに含まれるビタミンEやコラーゲンが皮膚や髪に張りとつやを与え、美容効果も期待できます。
3. 生津止渇(せいしんしかつ)
- 喉の渇きを癒す効果
- 糖尿病などによる多飲・多尿の緩和
4. その他の効果
- コレステロール値の低下
- 視覚神経の活性化
- 動脈硬化予防
- 血圧安定
- 肝機能向上
- 免疫力強化
- 味覚障害予防(亜鉛含有)
中医学では、タコは以下のような効果も認められています:
- 健脾胃(けんひい): 脾臓と胃の機能を調和させる
- 化痰止咳(けたんしがい): 肺を潤し、咳や痰の症状を緩和
- 滋陰養顔(じいんようがん): 肌を潤し、肌色を改善する
タコの応用例と活用法
タコをどのように健康目的で活用できますか?
日常的な食べ方
日本はタコの消費大国です。特に関西地方では人気が高く、様々な料理に用いられています:
- 茹でダコ: スーパーで手軽に入手でき、すぐに刺身や酢の物にできます
- たこ焼き: 大阪の名物。自宅でも冷凍たこ焼きや市販の粉で手軽に作れます
- タコ飯: だしと一緒に炊き込めば、旨味たっぷりの一品に
- カルパッチョ: オリーブオイルとレモンでさっぱりと洋風にいただく
- 炒め物: ピーマンやネギと一緒にオイスターソースで炒めれば絶品
タコは下処理してから冷凍保存もできるので、煮物や炒め物にすぐ使えて便利ですね。
タコを食べる際の注意点
Q: タコを食べる際に気をつけるべきことは何ですか?
1. 体質による注意点
- 冷え症で下痢しやすい方は、生姜と一緒に摂ると良いでしょう
- 気血両虚証や食積痰湿証の方は控えめに摂取しましょう
- 腎陽虚(じんようきょ)の方は摂取を控えめに
2. アレルギーへの注意
- 海産物アレルギーのある方は慎重に摂取してください
- 初めて食べる場合は少量から試してみましょう
まとめ:タコの効能と上手な取り入れ方
タコは東洋医学的に見ても、現代栄養学的に見ても、大変優れた食材であることがわかります。
タコの主な効能
- 養血益気(気血を補う)効果
- 疲労回復作用
- コレステロール値の低下
- 肌や髪のつやを改善
- 免疫力の向上
上手な取り入れ方
- 体質に合わせた調理法を選ぶ(冷え性の方は温かい料理で)
- 相性の良い食材と組み合わせる(生姜、ねぎなど)
- 様々な調理法を試して飽きないように工夫する
タコは私たちの健康維持に役立つ優れた食材です。その効能を理解し、体調や体質に合わせて上手に取り入れることで、健康増進につなげていきましょう。
日常の食卓にタコを取り入れて、海の恵みの力を実感してみてはいかがでしょうか?
参考文献

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