日本人の食卓に欠かせない調味料「醤油」。毎日何気なく使っているこの調味料には、実は東洋医学的に見ると様々な薬効があることをご存知でしょうか?
古来より重宝されてきた醤油は、単に料理に旨味や風味を加えるだけでなく、私たちの健康にも深く関わっています。今回は、そんな醤油の持つ薬効や効能について、東洋医学の観点から詳しく解説していきたいと思います。
普段何気なく使っている調味料の新たな一面を知ることで、より健康的な食生活に役立ててみませんか?それでは、醤油の持つ驚きの効能について見ていきましょう!
醤油とは?その基本情報と歴史
醤油は、大豆、小麦、麹、塩を原料とする日本の伝統的な発酵調味料です。東洋医学では「寒」「鹹(かん)」の性質を持つとされています。
・【性味/帰経】 寒, 鹹/脾, 胃, 腎
その起源は古く、日本では鎌倉時代に僧侶が村人に味噌の作り方を教えている際に偶然発見されたと言われています。しかし、当初は庶民には手の届かない高級品でした。室町時代から江戸時代にかけて徐々に普及し、今では日本料理には欠かせない存在となっています。
醤油の原型は「醤(ひしお)」と呼ばれる保存食で、大豆に塩を加えることで長期保存を可能にしたものです。この知恵が発展し、現在の醤油へと進化してきたのですね。
醤油にはどんな薬効があるの?
醤油には主に「清熱解毒」と「凉血除煩」という2つの大きな薬効があります。それぞれの効能について詳しく見ていきましょう。
清熱解毒とは?
清熱解毒とは、体内の熱を冷まし、有毒物質を無毒化する効果のことです。具体的には、食欲不振や食中毒を予防する効果があります。
真夏のような暑さや激しい活動によって体内に生じた熱は、通常、血流にのって体表へ運ばれ、汗として排出されます。しかし、外気温が高すぎたり湿度が高かったりすると、この熱放散が上手くいかず、体内に熱がこもってしまいます。
体内に熱がこもると次のような悪循環が起こります:
- 過剰な発汗により気(エネルギー)と陰(潤い)が消耗
- 気と陰の不足によりお腹の働きが低下
- 結果として食欲不振に
醤油には、こうした体内の余分な熱を冷ます効果があります。また、食材のうまみを引き出して食欲を刺激し、食欲不振を解消してくれるのです。
さらに、醤油に含まれる乳酸や塩分には以下の効果があります:
- 大腸菌などの悪玉菌の増殖を抑制
- 善玉菌を増やして腸内環境を整える
- 食中毒を予防
- 腸管での感染防御力を高める
凉血除煩とは?
凉血除煩のうち「除煩」とは、心が落ち着かない状態を解消する効果のことです。つまり、ストレスやイライラを和らげる働きがあるのです。
醤油の原材料である小麦には、熱を冷まし精神を安定させる作用があります。具体的には:
- 不安を和らげる
- 不眠を改善する
- 抑うつ状態を緩和する
東洋医学では、精神活動をコントロールする働きを「心気」と呼びます。心気の機能が正常で気血が満ち巡っていれば、意識がはっきりして思考も穏やかになります。
心気の働きは大脳の機能と深く関わり、記憶や判断力、言語機能など知的処理を担っています。いわば体全体のコントロールタワーです。
しかし、心気の働きに不具合が生じると、感情のバランスを保つことが難しくなります。醤油に含まれる小麦は、心気の過剰な働きを穏やかにし、精神の安定をサポートしてくれるのです。
醤油を使う際の注意点は?
醤油の良い効果だけでなく、注意点も押さえておきましょう:
- 塩分に注意:醤油には塩分が多く含まれています。むくみや高血圧が気になる方は使用量を控えめにしましょう。
- 加熱のしすぎに注意:長時間加熱すると香りやうま味、栄養成分が損なわれます。料理の仕上げに加えるなど、加熱しすぎないよう工夫しましょう。
- 質の良い醤油を選ぶ:じっくり発酵・熟成させた醤油の方が栄養価が高まります。なるべく1年以上熟成発酵させたものを選ぶと良いでしょう。
醤油の健康効果まとめ
醤油は私たちの食卓に欠かせない調味料ですが、その効能をまとめると:
- 食欲不振の改善:体にこもった余分な熱を冷まし、食欲を増進します
- 食中毒の予防:発酵過程で生まれる成分が腸内環境を整え、食中毒を予防します
- ストレスやイライラの緩和:小麦の成分が精神を安定させる効果があります
- 食材の旨味を引き出す:料理をおいしくするだけでなく、栄養素の吸収も高めます
日常的に使う調味料だからこそ、その効能を知って上手に活用したいですね。ただし、塩分が含まれているため摂りすぎには注意が必要です。特にむくみや高血圧が気になる方は使用量に気をつけましょう。
また、醤油は発酵食品なので、熟成期間の長いものほど栄養価が高まります。質の良い醤油を選び、適量を使うことで、その恵みを最大限に活かしましょう。
古来より日本人の食生活を支えてきた醤油。その奥深い効能を知ることで、毎日の食事がより健康的で豊かなものになるのではないでしょうか。
参考文献

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