
こんにちは
どうなさいましたか?

ヒステリー球にお悩みの方から
質問をいただきましたよ
喉に何か詰まっているような違和感を感じるけれど、検査をしても異常がない…そんな経験はありませんか?
実はこの症状、**「ヒステリー球」や東洋医学では「梅核気(ばいかくき)」**と呼ばれる状態かもしれません。梅の種が喉に詰まったような不快な感覚が特徴で、多くの方を悩ませています。
今回は、58歳女性の方から寄せられた喉の詰まり感についての体験をもとに、東洋医学的な視点から原因と対策を詳しく解説していきます。この記事を読むことで、あなたの喉の不快感の正体とその改善法がきっと見えてくるはずです。
患者さんの外見的な特徴とお悩みの症状
まずは、今回ご相談いただいた方の特徴と症状をご紹介します。
外見的な特徴
- 58歳の女性
- 身長は158cm
- 体重は77kg
- BMIは30.54
顔色は黒ずみがちで、髪の毛は乾燥している状態。舌の色は白っぽくて厚く、歯の痕があり、溝や割れ目も見られます。舌の苔は白くて厚く、奥にかけて乾燥して剥れているところもあり、舌の裏の静脈は太く膨らんでいるという特徴があります。
主な症状:
- 喉奥の詰まり感
- やたらと喉が乾く
- 全身筋肉痛のような痛み
- 太りやすい体質(膠原病などではない)
特に「起きた瞬間が一番きつい」とのことです。
ヒステリー球(梅核気)とは?現代医学と東洋医学の見解
現代医学からみるヒステリー球
ヒステリー球とは、喉に何かがあるような違和感を感じるのに、飲み込もうが吐き出そうが改善せず、検査をしても何の異常もない状態です。
現代医学では、この症状は自律神経の働きが関わっているとされています。自律神経には、交感神経と副交感神経の2つがあり、ストレスを強く感じ続けると、自律神経のバランスが崩れ、交感神経が優位になります。
交感神経が過剰に働くと、体は「戦っている状態」と同じになり、食道なども含めた全身の筋肉が強く収縮してしまうのです。これにより、喉の締め付けられる感じや、異物がある感じ、飲み込むときの不快感を感じるようになります。
東洋医学からみる梅核気
東洋医学では、この症状を「梅核気(ばいかくき)」と呼び、梅の種が喉に詰まっているような状態が続いていると表現します。また「咽中炙臠(いんちゅうしゃれん)」という言葉もあり、炙った肉が喉に居座っているような状態とも説明されます。
原因は現代医学と同様に、過度の緊張やストレスが続いたことで、気が滞ってしまうからだと考えられています。東洋医学では「気」は本来、伸びやかに動いている状態であるべきですが、何らかの理由で滞ると、エネルギーである気が充満し、強い勢いで上向きに上昇します。
喉の周辺はそこだけが狭くなっている場所です。道路に例えると、そこだけ車線が少なくなっているような状態で、逆流してきた気と降りようとする気がぶつかると、簡単に「渋滞」を起こすようになります。
しかも単なる気の滞りだけでなく、気の滞りに余分な水分が巻き込まれてしまうことで、症状がさらに強まります。停滞した水分が気の滞りによって生じた熱によって煮詰められ、ドロドロした粘っこい状態に変化すると、心理的な「気のせい」だった感じが、物理的な何かがある感じに変わってしまうのです。
この方の体質から見える東洋医学的な問題点
この方の症状と体質の特徴を東洋医学的に分析すると、いくつかの問題点が見えてきます。
まず、BMIの状態や顔の浮腫みなどから、体の中には余分な水分が充満していることがわかります。舌苔の厚さもこれを裏付けています。喉が渇いて水を多く飲むことが、さらに体内に「湿(しつ)」を溜め込む要因となっています。
また、体温は高くないものの熱っぽく感じる、のぼせることが多いなど、熱を感じさせる症状が目立ち、外向きの気の勢いが充実した「陽気」の状態を示しています。ただし舌の色が白く、痰も白っぽいことから、この熱は強い火力ではなく、体を潤す水分の不足による相対的な熱と考えられます。
腹が張る、胸が脹るといった症状は、気の滞りを示しています。そして舌下静脈が太く膨らんでいることや黒ずみがちな顔色からは、血の流れの悪さも見て取れます。
全身筋肉痛のような痛みは、固定した場所ではなく体のあちこちに現れるため、気の巡りの悪さが原因と考えられます。東洋医学では「不通則痛(ふつうそくつう)」、つまり**「通らないから痛む」**という考え方があります。
まとめると、この方の体質は:
- 余分な水分の充満がある一方で、体を潤す水分の不足がある
- 気の巡りが悪く、血の流れにも影響している
- 気の滞りによって生じた上向きの気の流れが、停滞している水分を巻き込み、喉の周辺で停滞している
- 気血の流れの阻害により、全身に筋肉痛のような痛みが出ている
- のどの局所的な乾きや熱が、さらなる水分摂取を要求し、悪循環を生んでいる
ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい
この方の体質と症状から考えると、以下のような自然療法がおすすめです。
1. リラックスを心がけた適度な運動
特に午前中の運動がおすすめです。運動によって強制的に気血を循環させることで、体内に停滞している余分なエネルギーを消費できます。気が巡るようになれば、滞りも解放されやすくなり、気の滞りによる様々な症状の解消につながります。
朝はエネルギーを作り出すために蓄積してある脂肪を燃焼する時間。特に**「朝飯前」のやや空腹状態での軽い運動**は、中性脂肪を分解してエネルギーとして放出しやすく、ダイエット効果も期待できます。
理想としては、朝少し早く起きて、お腹が空いている状態で軽めの散歩などの有酸素運動をするとよいでしょう。
2. 食事時間の工夫
食欲に問題がないようですが、食べる時間帯を工夫するとよいでしょう。午前中は消費が促されやすく、夜は蓄えに回されやすいため、午前中やお昼は充実した食事にして、夜間の食事は控えめにするのがおすすめです。
特に夜間の飲酒やデザートなどの糖質・カロリーの高いものは控えめにしましょう。
3. 水分摂取の工夫
喉の渇きに対しては、一度にたくさん飲むのではなく、喉の渇きを感じたら少しずつ飲むようにするとよいでしょう。これにより水分の摂りすぎを防ぎながら、適度に潤いを補給できます。
熱中症の危険がない季節なら、喉が渇いてから少量ずつ飲む方法を試してみてください。
4. 早めの就寝
夜更かしは体の潤いを減少させ、気の滞りを生じさせやすくします。夕食は軽めにして、早めに眠る習慣をつけることで、体の回復を促しましょう。たとえ眠れなくても、ベッドでリラックスすることが大切です。
この体質改善に効果が期待できる漢方薬
この体質の方に効果が期待できる漢方薬をいくつかご紹介します。ただし、これはあくまで一般的な「喉の詰まり感」などの症状に効果が期待できる漢方薬であり、個人の体質や症状によって最適な漢方薬は異なります。
- 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう): 喉のつかえ感や不安感を和らげる効果があり、梅核気の代表的な漢方薬です。気の巡りを改善し、痰や水分の停滞を取り除きます。
- 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう): 自律神経のバランスを整え、精神的な不安や緊張からくる身体症状を和らげます。
- 加味逍遙散(かみしょうようさん): ホルモンバランスの乱れや更年期症状にも使われる漢方薬で、気の巡りを良くして精神を安定させます。
症状が複雑な場合には、これらの漢方薬を単独で用いても十分な効果が得られないことがあります。ピヨの漢方では漢方相談を行っておりますので、お体の状態に合わせた漢方薬選びのご相談も承っております。
まとめ:喉の詰まり感を和らげるために
喉の詰まり感は、自律神経の乱れや「気」の滞りから生じていることが多く、東洋医学的に見れば「梅核気」という状態です。この症状の改善には、以下のポイントを意識しましょう。
- 気と血の巡りを良くするための適度な運動を心がける
- 朝活動的に、夜は早めに休むリズムを作る
- 水分は喉が渇いたら少しずつ飲む習慣をつける
- 食事は朝・昼しっかりと、夜は軽めにする
- リラックスできる時間を作り、気持ちを落ち着かせる
東洋医学では、体と心は密接につながっていると考えます。喉の詰まり感を改善するには、自律神経のバランスを整え、「気」の流れを滞りなくすることが大切です。
生活習慣の見直しと適切な漢方薬の組み合わせで、喉の不快感から解放されることを願っています。
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