
こんにちは
どうなさいましたか?

ヒステリー球にお悩みの方から
質問をいただきましたよ
喉に何かが詰まったような違和感を感じるものの、検査しても特に異常が見つからない…そんな悩みを抱える方は意外と多いものです。現代医学では「ヒステリー球」、東洋医学では「梅核気(ばいかくき)」と呼ばれるこの症状は、日常生活の質を大きく下げてしまうこともあります。
今回は、元プロ格闘家の方から寄せられた体験談をもとに、喉の違和感の原因と、東洋医学的な視点からの対処法について詳しく解説していきます。ストレスや自律神経の乱れが引き起こす体の変化のメカニズムを理解することで、症状改善のヒントが見えてくるかもしれません。
元格闘家が経験した喉の違和感とは?
外見的な特徴とお悩みの症状
- 25歳の男性
- 身長は159cm
- 体重は55kg
- BMIは21.76
主な症状:
- 喉に何かが詰まったような違和感が1年2ヶ月ほど続いている
- 練習中に喉や周辺に負荷がかかると嗚咽するようになった
- パニック発作も発症
- 飲み込む動作に恐怖を感じ、3週間ほどまともに飲食できない状態
- コーヒーを飲むと症状が悪化する傾向
- 舌の色は白っぽく、苔は白くてバターのようにべたっとして乾燥している
この方は元プロ格闘家として活動されていましたが、突然喉の違和感に悩まされるようになりました。練習中に喉周辺に力がかかるとオエッとなる症状が治らず、耳鼻科での診察や鍼灸治療など様々な対策を試しても改善せず、最終的には格闘技を断念されています。
現在は安定剤を処方してもらっている状態ですが、食事も満足に取れないほどの不安感に悩まされています。
ヒステリー球(梅核気)とは何か?
ヒステリー球とは、喉に何かがあるような違和感を感じるのに、飲み込もうが吐き出そうが改善せず、検査をしても何の異常も見つからない状態です。
現代医学から見たヒステリー球
現代医学では、この症状の背景に自律神経の乱れが関わっていると考えられています。自律神経には交感神経と副交感神経の2つがあり、これらがバランスよく働くことで健康が保たれています。
交感神経は日中活動時に優位になり、副交感神経は夜間休息時に優位になるのが自然なリズムです。しかし、強いストレスが続くと自律神経のバランスが崩れ、交感神経が過剰に優位になります。
この状態が長く続くと、身体は常に「戦闘モード」のような状態となり、全身の筋肉(食道も含む)が強く収縮します。これにより、喉の締め付け感や異物感、飲み込み時の不快感を感じるようになるのです。
東洋医学から見たヒステリー球
東洋医学では、この症状を「梅核気」と呼び、「梅の種が喉に詰まったような状態」や「咽中炙臠(いんちゅうしゃれん)」と表現します。原因としては、過度の緊張やストレスによる「気の滞り」が指摘されています。
気は本来、体内を伸びやかに巡っている状態が健康的ですが、何らかの理由で滞ると、上向きに逆流するようになります。特に喉の周辺は解剖学的に狭くなっているため、逆流した気と下降する気がぶつかり合って「気の渋滞」を起こしやすい場所なのです。
さらに複雑なのは、この気の滞りに体内の水分が巻き込まれる点です。気の滞りによって生じた熱で水分が「煮詰められ」、粘っこい状態に変化すると、単なる「気のせい」だった違和感が物理的な何かがある感じに変わり、症状がさらに強く感じられるようになります。
この方の体質分析
この方の体質を東洋医学的に分析してみましょう。
- 舌の苔が白くバターのようにべたっとしている点から、体内に動きの悪くなった水分の存在が感じられます
- 喉が渇くけど水を飲みたくない様子からも、体内に停滞した水分があると考えられます
- 一方で口唇の乾燥や不安感の強さから、体の上部には乾燥傾向も見られます
- BMIや排便状態から、消化機能自体には大きな問題はなさそうです
- 手足の冷えがあるものの寒がりではない点も、気の滞りによって末端部へ気血が巡っていない状態を示唆しています
プロ格闘家という緊張感の高い環境が続いたことで気が滞りやすくなり、そこに停滞した水分が巻き込まれることでヒステリー球の症状が現れたと考えられます。
また、肝気の働きがギクシャクすることで腸管の動きが逆流し、吐き気や食欲不振を招いていると思われます。コーヒーに含まれるカフェインは気を上へと向かわせる作用があるため、逆流している気の流れをさらに増長させ、症状を悪化させている可能性があります。
ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい
この方の症状改善に役立つ自然療法をいくつかご紹介します。
- カフェイン摂取の見直し コーヒーなどのカフェインは気を上昇させる作用があるため、喉の違和感を悪化させる可能性があります。当面は控えめにしましょう。
- 水分摂取の工夫 雨の日に体調が悪くなるとのことなので、水分摂取の量や時間帯に注意しましょう。ただし、必要な水分は適切に摂ることも大切です。
- 早寝早起きのリズム 夜更かしは体の潤いを減少させ、気の滞りや逆流を促進します。早めに就寝するよう心がけましょう。
- 腹部セルフマッサージ 食後直後でなければ、仰向けになってお腹を気持ちの良い範囲で押して緩めてください。特にみぞおちやへその周囲が硬くなっていることが多いので、硬く緊張して上に引き上がっている横隔膜を緩める意識で行うと効果的です。
- 呼吸法の実践 長くゆっくりとした呼吸を意識的に行うことで、副交感神経が優位になり、緊張感が緩和されます。深呼吸を日常的に取り入れてみましょう。
- 顎の力みをチェック 無意識のうちに歯を食いしばっていることが多くあります。上下の歯が接触していないか、顎に力が入っていないかを意識的にチェックし、力みに気づいたらすぐに緩める習慣をつけましょう。
- 表情筋のリラックス 笑顔を作るように意識的に口を大きく開いて口角を上げるだけでも、気持ちに変化が現れます。顔の表情を意識的に緩めることも効果的です。
この体質改善に効果が期待できる漢方薬
この方のような体質の改善に効果が期待できる漢方薬をいくつかご紹介します。ただし、これはあくまで一般的な情報であり、この方に特定の漢方薬をお勧めするものではありません。
- 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう) – 気の巡りを改善し、精神不安や動悸、のぼせなどの症状を和らげる効果が期待できます
- 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう) – 特にヒステリー球(梅核気)に用いられる代表的な漢方薬で、喉の違和感や不安感を和らげます
- 加味逍遙散(かみしょうようさん) – 気の滞りを改善し、イライラや不安感を和らげながら水分バランスも整える働きがあります
症状が複雑な場合には、単独の漢方薬では効果が十分でない場合もあります。ピヨの漢方では漢方相談を実施していますので、専門家による体質診断をご検討ください。
まとめ
喉の違和感やヒステリー球(梅核気)の症状には、自律神経の乱れや「気の滞り」が大きく関わっています。東洋医学的な視点からは、気の滞りによって水分の巡りも悪くなり、さらに症状を複雑にしていることがわかります。
今回ご紹介したような自然療法を継続的に実践することで、少しずつ体質改善を図ることが大切です。また、症状が長期間続く場合や日常生活に大きな支障がある場合は、東洋医学の専門家による体質診断も検討してみてください。
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