
こんにちは
どうなさいましたか?

ニキビにお悩みの方から
質問をいただきましたよ
肌トラブルや体調不良が長期間改善しない場合、その原因は単に表面的な問題ではなく、体の内側からの声かもしれません。特に顎のニキビ、生理不順、肩こりなどの症状が重なる場合、東洋医学的に見ると一つの体質的な特徴を示していることがあります。
今回は、顎ニキビでお悩みの20歳女性の体験談を通して、これらの症状が改善しない根本的な理由と、自然療法による改善方法についてご紹介します。
皮膚の問題は単なる外側の問題ではなく、体の内側のバランスが反映されたものだということを理解することで、より効果的なケアが可能になります。
この方の外見的な特徴とお悩みの症状
外見的な特徴
- 年齢:20歳の女性
- 身長:157cm
- 体重:43kg
- BMI:17.44
顔色は黄色が強いものの、ほてると赤くなり、顔に浮腫み(むくみ)があります。また、皮膚はベタベタしているとのこと。
舌の状態は、厚ぼったく、舌先には赤みが目立ち、部分的に紫色があり、舌に歯の痕があるほか、舌に溝や割れ目が見られます。舌の苔の上の水分は水っぽく、苔は剝れているところがあるそうです。
主な症状:
- 1年ほど前から治らない顎ニキビ(月に4〜5日ほど落ち着く時期あり)
- 生理不順(現在薬を服用中)
- 肩凝りからの頭痛が悪化(血流の悪さが原因と自己分析)
ニキビができる原因とは?
まず、ニキビが発生するメカニズムについて理解しましょう。
皮膚には「常在菌」と呼ばれる微生物が存在し、これらは有害な菌から私たちを守る役割を担っています。一般的に「バイキン」としてネガティブなイメージがありますが、実は常在菌は空気中の何万もの種類の菌から体を守る重要な防御システムなのです。
皮膚の常在菌は多数の種類が存在し、常にバランスを保つための戦いが起こっています。そして、皮膚の状態が変わると、常在菌のバランスも変化します。
例えば、ニキビの原因となるアクネ菌は、通常は肌を弱酸性に保ち、皮膚を守る働きをしています。このアクネ菌は酸素が苦手で、酸素がある環境では死滅します。
しかし、皮脂の分泌が増えたり、ターンオーバーが過剰になったりして毛穴が詰まると、そこで急激に増殖して炎症を起こし、ニキビになるのです。
皮膚が弱酸性の状態では常在菌同士がバランス良く共存していますが、アルカリ性になると悪さをする菌が増殖してしまいます。
なぜ顎にニキビができやすいのか?
顎は顔の中でも下部に位置しているため、水の巡りが悪いと体内の水分が顎に停滞しやすくなります。
体の上部まで届いた水分が顔の中で停滞し、重力によって顎の部分に落ちてきて滞留します。この水分の停留が皮脂の分泌を過剰にし、アクネ菌の繁殖を促進することで、顎のニキビや肌荒れを引き起こすのです。
この方の体質の特徴は?
BMI17.44から、全体的に水分が少ない印象を受けますが、実際には体の内部、特に上部に動きの悪い水分が充満しています。
舌が厚ぼったく、顔がむくみ、皮膚がベタベタしているという特徴は、体内の水分代謝に問題があることを示しています。特に顎を中心にニキビが目立つことから、顔の下部に余分な水分が停滞していることがうかがえます。
また、余分な水分の影響はお腹の機能にも及んでいます:
- 腹部の不快感や鈍痛
- 食べると腹部が張る
- 吐き気
- 喉が渇くが飲みたくない
- 1日1〜2回の軟らかすぎる便
一方で、唇の乾燥や爪の脆さ、目の疲れや乾燥感、不安感の強さからは、体の上部や末端部には血の不足により潤いが行き渡っていないことがわかります。これは舌先の赤みや顄色の黄色さにも表れています。
水分と気血の巡りの問題
この方の症状を見ると、気の巡りの悪さがあり、末端部へ広がらずに中心部に充満し、そこから上向きに上昇している様子がうかがえます:
- 手足の冷え
- 顔のほてり・赤み
- のぼせ
- 吐き気
- 胸の張り
- 肩こりからの頭痛
しかし、強い勢いで気が滞っているというよりも、立ちくらみやめまい、顔色の黄色さなどから、気血を運ぶ力の不足があるようです。
そのため、気の滞りによって上昇した流れに巻き込まれた水分が顔に充満し、浮腫みや頭の重さ、肩こりからの頭痛を引き起こしています。
一方、正常な流れで届けられるはずの血や潤いは末端まで送られず、唇の乾燥や熱感などの症状となって現れます。
生理不順の原因
血液は気に導かれて体内を巡ります。月経前は子宮という狭い場所にエネルギーが集中するため、気の巡りに問題があると血液が正しく誘導されず、生理不順になることがあります。
コンサート会場に多くの人が集まりすぎて混雑するように、子宮周辺の気血も滞りやすくなるのです。
この方の体質をまとめると
- 体の上部には、気の滞りによって上昇した流れに巻き込まれた余分な水分が停滞
- 気血を運ぶ力が弱いため、上昇した水分は顔の下部(顎)に停滞
- その停滞した水分が、気の滞りによって上昇した熱や乾きによって「煮詰められる」ようになり、ニキビが発生
ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい
気血の滞りや運搬力の不足が体質的な背景にあるようですので、以下のような自然療法をおすすめします:
- 適度な運動:軽く汗ばむ程度の運動を心がけましょう。階段や坂道の散歩、こまめな家の掃除なども効果的です。体を動かすことで血液やリンパの循環が促進され、余分な水分の排出を助けます。
- 体の緊張を解くケア:
- 歯の噛みしめ
- 喉の力み
- 腕の握りしめ
- お腹の力み
- 就寝前のリラクゼーション:仰向けになり、気持ちの良い範囲でお腹を緩める習慣をつけましょう。「もの言わぬは腹ふくるるわざなり」ということわざがあるように、ストレスをお腹で我慢していると気が滞り、お腹が張ってしまいます。
- 呼吸法:吐く息を長めにした呼吸法で緊張感を取り除いた後、気持ち良い範囲でお腹を押して緩めていくと、我慢していたお腹の緊張が解け、体も心も軽くなります。
この体質に効果が期待できる漢方薬
以下の漢方薬は、水分代謝の滞りと気血の巡りの問題がある体質の改善に効果が期待できます:
- 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう):気の巡りを整え、のぼせや精神不安を鎮める効果があります。
- 加味逍遙散(かみしょうようさん):気血の巡りを改善し、ホルモンバランスを整える効果があります。
- 五苓散(ごれいさん):余分な水分の排出を促進し、むくみや水滞を改善する効果があります。
これらはあくまで一般的な漢方薬の紹介であり、症状が複雑な場合には単独では効果が現れにくいこともあります。当店では個々の体質に合わせた漢方相談も行っておりますので、お気軽にご相談ください。
まとめ
顎のニキビや生理不順、肩こりなどは、単に表面的な問題ではなく、体の内側からのサインです。特に水分代謝の滞りと気血の巡りの問題が根本的な原因となっていることが多いです。
適度な運動や体の緊張を解くケア、就寝前のリラクゼーションなどの自然療法を取り入れることで、体質から改善していくことが可能です。
症状の根本的な原因を理解し、体質に合った方法で改善していくことが、長期的な健康への近道となります。
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