
こんにちは
どうなさいましたか?

不安感にお悩みの方から
質問をいただきましたよ
暑い夏が近づくと、なんとなく不安な気持ちが強くなったり、パニックのような症状を感じることはありませんか?
実は季節の変化と精神状態には、東洋医学的に深い関係があります。特に夏場に症状が悪化する不安感には、体質的な特徴が隠されていることが多いのです。
今回は、夏の暑さとともに不安感が強くなる48歳女性の体験談をもとに、東洋医学の視点から体質改善のヒントをお伝えしていきますね。
外見的な特徴とお悩みの症状など
基本情報
- 年齢: 48歳女性
- 身長: 166cm
- 体重: 68kg
- BMI: 24.68
- 顔色: 白っぽい
- 舌の状態: 舌先に赤みが強く、溝や割れ目があり、苔が水っぽく剝れている部分がある
主な症状:
- 予期不安が酷くなり、具合が悪くなることへの恐怖
- 夏場のテレビニュース(熱中症報道)で症状悪化
- パニックや喉の締め付け感
- 人気の多い日中は外出困難
- 夏場の暑い台所での料理時にパニック発作
- 秋の涼しさとともに症状軽減
- 血圧が136-100と下の血圧も高め
なぜ不安感が起こるの?東洋医学の考え方とは
東洋医学では、**意識活動をコントロールしているものを「心気(しんき)」**と呼んでいます。
この心気の機能が正常で、気血も満ち盛んに巡っていれば、意識ははっきりしていて思考も穏やかになります。頭の回転も良くなると考えられているんですね。
心気の異常で起こる症状
心気が異常を起こすと、以下のような症状が現れてきます:
- 物忘れが激しくなる
- 注意力が散漫になる
- 言語能力に障害が出る
- 不安感が強くなる
- 心が落ち着かない
- 驚きやすく眠れない
心気は身体全体を高い位置から監督し指令する役割があります。そのため常に活動することが求められているのですが、様々な活動で生じた熱を適度に冷却できないと、脳の活動が過剰になってしまうんです。
その結果、考えがグルグルと止まらなくなったり、精神が穏やかさを保てなくなり、不安感を感じるようになってしまいます。
この方の体質はどのような特徴があるの?
ご投稿いただいた情報から、この方の体質的な特徴を分析してみましょう。
季節との関係性
「暑くなる夏場が酷くなり、秋になるとマシになる」という点が重要なポイントです。
夏は気温が高まることから陽邪(ようじゃ)の勢いが強まるとともに、湿度も高くなることから湿邪(しつじゃ)の影響も強まります。一方、秋になると涼しくなることと共に、乾燥により湿邪の影響が減るのです。
水分代謝の問題
舌の状態や症状から、この方には特徴的な水分代謝の問題があることが分かります:
体内の水分充満
- 顔や足の浮腫み
- 動くと汗が多く出やすい
- 下の血圧の値が高い
これらから、体の中には余分な水分が充満しているように感じられます。
上部の乾燥症状
- 舌先が赤い
- 髪の毛が抜けやすい
- 目が疲れやすく乾燥しやすい
水分は体の下部を中心に存在しているものの、潤いや血などの必要な材料が上部へは届いていない状況がうかがえますね。
気の滞りと巡りの問題
喉の締め付けや怒りっぽさから気の滞りがありますが、手足が冷えるものの顔色が白っぽいことから、滞りの勢いはそれほど強くないようです。
この状態では、血などの潤いを届けることもできず、巡りの勢いの不足は水を降ろすことにも影響します。上部へと昇った水は降りてこられずに取り残されてしまうのです。
ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい
BMIの数値からは正常範囲ですが、むくみや汗の状態から体内に動きの悪くなった水分の充満があることが分かります。
この水分の充満が気血の流れを阻害しているところへ、夏の高温の影響を受けると、こもった熱だけが上昇して心気を乱してしまいます。
適度な運動で気血の流れを改善
停滞している水分を排除するため、適度に体を動かすことをおすすめします。
運動することで気が巡るようになれば、滞った状態も解放されてくるはずです。特に以下のような運動が効果的でしょう:
- ウォーキング
- 軽いストレッチ
- ヨガ
- 水中ウォーキング
質の良い睡眠と瞑想法
不眠になりやすいとのことですので、布団に入ってからの瞑想法をご紹介しますね。
寝る前の瞑想方法:
- 仰向けになった状態で目をつぶる
- まぶたの裏を眺めるようにして瞑想する
- 自然な呼吸を続けながら、呼吸に意識を向ける
- 考えが湧き上がってきたら、まぶたをパチパチして考えに巻き込まれないようにする
- 脳の奥の方に沈み込んでいくような意識を持つ
この方法で考えに巻き込まれない状態の感覚を覚えておくと、普段でも考えの空回りが起こりにくくなります。お時間のある時にぜひお試しくださいね。
この体質改善に効果が期待できる漢方薬
この体質の改善に効果が期待できる漢方薬をご紹介します。ただし、これはあくまで水分停滞と心気の乱れがある体質の改善に効果が期待できる漢方薬であり、この方に必ず合うという意味ではありません。
代表的な漢方薬
- 甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)
心気を穏やかにし、精神的な不安や興奮を鎮める効果が期待できる。特に感情の起伏が激しい方に適している。 - 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
気の滞りを改善し、喉の締め付け感や精神的な不安を和らげる。「気うつ」の状態に効果的とされる。 - 苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
水分代謝を改善し、体内の余分な水分を取り除く。めまいや動悸を伴う不安感にも用いられる。
症状が複雑な場合には、単独の漢方薬では効果が十分でない場合があります。ピヨの漢方では個別の漢方相談も行っておりますので、お気軽にご相談ください。
まとめ
夏場に悪化する不安感や予期不安は、東洋医学的には心気の乱れと水分代謝の問題が根本にあることが多いです。
この方のケースでは、体内の水分停滞が気血の流れを阻害し、夏の陽邪と湿邪の影響を受けて症状が悪化していると考えられます。
改善のポイントは以下の通りです:
- 適度な運動で気血の巡りを良くする
- 質の良い睡眠と瞑想で心気を整える
- 体質に合った漢方薬で根本から改善する
季節の変化に左右されやすい体質も、適切なケアで改善していくことができます。一人で悩まず、専門家のサポートを受けながら体質改善に取り組んでみてくださいね。
YouTubeでも解説しています。

ご自分の体質にあった
漢方薬を試してみたい方は
ピヨの漢方の漢方相談を
ご利用ください。



