
こんにちは
どうなさいましたか?

耳鳴りにお悩みの方から
質問をいただきましたよ。
耳鳴りや頭鳴りでお悩みの方は少なくありません。特に交通事故のような強い衝撃をきっかけに症状が現れる場合、その原因と対策について知っておくことが大切です。
今回は40歳女性の方の症例を通して、東洋医学的視点から耳鳴りや痒疹などの症状が起こるメカニズムと、日常生活での改善策についてご紹介します。
外見的な特徴とお悩みの症状
- 年齢:40歳女性
- 身長:160cm
- 体重:50kg
- BMI:19.53
外見的特徴:
- 顔色が赤い
- 舌の色が暗い
- 舌の形が厚ぼったい
- 舌に歯の痕がある
- 舌苔は白くて厚く水っぽい
- 舌の裏の静脈が太く膨らんでいる
- 皮膚が乾燥
- 髪の毛が乾燥
主な症状:
- 頭鳴り、耳鳴り
- 痒疹(かゆみを伴う皮膚の発疹)
- 不眠
- 交通事故後に急に耳鳴りが発症
- 汗によるかぶれからトビヒのような症状
- 運動後や雨が降る前、就寝時に症状悪化
耳鳴りや頭鳴りはなぜ起こるのでしょうか?
耳鳴りや頭鳴りの症状は、東洋医学的に見ると「耳の周囲に熱が盛んな状態になっている」ことが原因と考えられます。
この方の場合、交通事故の後に症状が始まったことが特徴的です。東洋医学では、耳は「腎」と深い関係があると考えます。外部から強い衝撃を受けたことで、腎気(じんき)が激しく乱されたことが関わっている可能性があります。
夜間頻尿や月経周期の乱れ、肛門下垂、子宮下垂、胃下垂などがある場合は、もともと腎気に負担がかかっていた状態に、さらに事故の衝撃が加わったと推測できます。
体の上部と下部で起きている不均衡とは?
この方の特徴として、体の上部と下部で異なる状態が起きています。
舌の状態(厚ぼったく、歯の痕があり、白くて厚い水っぽい舌苔)から見ると、体の中に「動きの悪い水分が停滞している」状態が推測できます。また、雨が降る前や雨の日に体調が悪化する、胃の中でチャポチャポと音がするといった症状も水の停滞を示唆しています。
一方で、皮膚や髪の毛の乾燥、目の疲れや乾きやすさなどから、体の上部には「乾きがあって熱をこもらせている」状態があります。
つまり、体の上部には熱や乾きがあるものの、体の中心部や下部にかけては余分な水の停滞があるという不均衡な状態です。
なぜ水と熱が分かれてしまうのでしょうか?
このような状態になる背景には、「気の巡り」の問題があります。過去の鬱病の既往歴や生理不順、めまいなどから、気の巡りがあまり順調ではなく、気が滞ってこもっている状態が推測されます。
気が中心部にこもり上部へと逆流するため、顔が赤くなっています。また、舌の裏の静脈の膨らみや歯の痕は、「巡らせるための勢いがない」状態を示しています。
このため、本来必要な血液などは適切に全身へ運ばれませんが、こもった気や周囲に停滞している水分は上部へ巻き込まれて充満します。これが耳への気血の通り道を塞ぎ、耳の周囲での巡りをさらに悪くして耳鳴りを引き起こしていると考えられます。
さらに、上部で停滞した水分はブツブツと皮膚に飛び出し、停滞している間に熱によって「煮詰められ」膿になることで、痒疹などの皮膚症状を引き起こします。
運動後や就寝前に症状が悪化するのはなぜですか?
運動後や就寝前に症状が悪化する理由はいくつか考えられます。
- 運動によって気の滞りが強まり、こもった気が上部へ集中してしまう
- 運動後はエネルギーが消耗される
- 睡眠前は1日の中で最も消耗が激しい状態
また、夜間は東洋医学でいう「陰の勢い」が強くなり「陽の働き」が低下する時間帯です。このため、体内の水の動きは停滞しやすく、それを動かすエネルギーである「気」も不足します。
結果として、体内の水の流れが悪くなり、気血が巡らなくなることで、熱だけが頭に向かって耳鳴りなどの症状を悪化させると考えられます。
ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい
この方の体質を考慮した自然療法としては、以下のポイントが重要です:
- 適切な運動の選択
- 激しい運動は避け、近所をのんびりと散歩するなど軽い運動がおすすめ
- 軽く汗をかく程度の運動で気血の巡りを促進しましょう
- 水分摂取の工夫
- 体内に余分な水分が停滞している状態なので、水分摂取は以下のように工夫を
- 喉の渇きを感じてから飲むようにする
- 一度にたくさん飲まず、少量ずつ摂取する
- リラクゼーション
- 気の巡りを良くするために、深呼吸や軽いストレッチを取り入れる
- 特に就寝前のリラックスタイムを大切にしましょう
この体質改善に効果が期待できる漢方薬
この症例のような体質改善に効果が期待できる漢方薬としては、以下のようなものが挙げられます:
- 五苓散(ごれいさん):水分代謝を改善し、余分な水分の停滞を解消する働きがあります
- 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう):気の巡りを整え、上部への熱の上昇を抑える効果が期待できます
- 加味逍遙散(かみしょうようさん):気血の巡りを改善し、ホルモンバランスを整える働きがあります
ただし、これらはあくまで特定の体質改善に効果が期待できる漢方薬の例であり、この方に必ず合うというわけではありません。症状が複雑な場合には、単独の漢方薬では効果が得られないこともあります。当店では専門の漢方相談も行っていますので、お気軽にご相談ください。
まとめ
交通事故後の耳鳴りや頭鳴り、痒疹などの症状は、東洋医学的に見ると「気の巡り」の乱れや「水と熱のバランス」の崩れが関係していることがわかりました。
体の上部に熱がこもり、下部に水が停滞するという不均衡を改善するためには、激しい運動を避け、適切な水分摂取を心がけることが大切です。
日常生活における小さな変化が、長い目で見ると大きな体質改善につながります。ぜひ自分のペースで取り組んでみてくださいね。
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