
こんにちは
どうなさいましたか?

皮膚の痒みにお悩みの方から
質問をいただきましたよ
皮膚の痒みや乾燥でお悩みではありませんか?特に季節の変わり目や冬場は、多くの方が肌トラブルを抱えています。市販の塗り薬で一時的に症状が改善しても、すぐに再発してしまうことも少なくありません。
それは、肌の表面だけを治療しても、根本的な原因が解決されていないからかもしれません。東洋医学では、皮膚の痒みの根本原因は「滞り」にあると考えています。
今回は、実際に皮膚の痒みでお悩みの60歳女性の体験談をもとに、東洋医学的視点から痒みの原因と対策をご紹介します。
皮膚の痒みでお悩みの方の特徴とは?
今回ご相談いただいた方の外見的な特徴とお悩みの症状をご紹介します。
外見的な特徴とお悩みの症状
- 60歳の女性
- 身長は155cm
- 体重は49kg
- BMIは20.4(標準体型)
- 舌の色には部分的に紫色があり、苔の上の水分は水っぽい
主な症状:
- 皮膚の乾燥による痒み
- 寝ている時、体温が上がる時、衣服に擦れると症状が悪化
- 手足の冷え
- 寒がり
- 肩こり
- 目の疲れや乾燥
- 夢をよく見る
- 喉の渇き
東洋医学から見た皮膚の痒みの5つの原因とは?
東洋医学では、痒みの原因は「滞り」と考えられています。では、何が体内の滞りを引き起こすのでしょうか?主に以下の5つの原因が考えられます。
1. 体の冷え
東洋医学では、**体の芯部の熱(腎陽)**によって、体内の水分が温められて巡っていると考えます。これはお風呂の水が温められて循環するようなものです。
体が冷えると循環力が低下し、皮膚に必要な栄養が届きにくくなります。さらに、体の下部が冷え、役に立たない熱だけが皮膚に集まると、皮膚が乾燥して痒みが生じるのです。
また、水の循環が悪いと皮膚の下に水が停滞し、表面は乾燥なのに下層はむくんでいる状態になることもあります。
2. お腹の働きの低下
お腹(消化器官)は食べ物を分解し、**体に必要な栄養(気や血)**を作り出す工場のような役割を果たしています。
お腹の働きが弱ると、皮膚のエネルギー源となる「気」や、皮膚の材料となる「血」が十分に作られなくなります。これは家の補修に例えると、職人(気)と建材(血)が不足して、家(皮膚)の修繕ができない状態です。
その結果、皮膚トラブルが発生しやすくなるのです。
3. 食事の不摂生
食事の内容も皮膚に大きく影響します。
- 脂っこいものの食べ過ぎ:お腹に余分な熱を生じさせ、胃の潤いを消耗させます
- 甘いものの食べ過ぎ:体内が水飴のようにドロドロした状態になり、運搬機能に負担がかかります
- 冷たいものの摂り過ぎ:胃腸の働きを低下させます(必要以上の水分摂取も含む)
お腹は体の中心に位置し、全身の気血の流れをリードしています。お腹で停滞が起きると体全体に影響し、皮膚に必要な栄養が届かなくなって肌荒れを引き起こします。
4. ストレスなどの精神的な影響
体内で作られた気や血は、肝の働き(肝気)によって全身へ届けられます。これは工場で作られた商品が運送業者によって各地に届けられるようなものです。
ストレスにより気が滞ると、気血が過剰に集まる場所と不足する場所が生じます。皮膚で過剰になれば皮脂分泌が増え、不足すれば栄養が届かなくなります。
また、滞った気は役に立たない熱を生じさせ、その熱が上向きに昇って皮膚を乾燥させたり、常在菌のバランスを崩したりします。その結果、痒みや肌荒れが目立つようになるのです。
5. 過労や夜更かし
過労や夜更かしが続くと、体全体の潤いの基となる腎陰が不足してきます。腎陰は自動車の冷却水やガソリンのようなもので、これが不足するとオーバーヒートのような状態になります。
人間は熱源である腎陽と潤いの基である腎陰のバランスが取れていると健康を保てますが、腎陰が消耗すると相対的に腎陽が過剰になり、体の熱を適切に冷ますことができなくなります。
その結果、皮膚の乾燥と火照りを感じやすくなり、イライラしやすくなるなど精神面にも影響します。また、気血の巡りが悪くなり、皮膚の状態も悪化します。
ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい
この方の症状を東洋医学的に分析すると、体の熱源に対して水分量が多く、水分の巡りが不十分な状態と考えられます。また、気の巡りが上向きに偏っているため、外部刺激で気が皮膚へ向かいやすくなっています。
これにより体内には余分な水分の停滞と、気の外側への偏りがあるため、体を動かすと汗として出やすく、内側に回収されないため気血が停滞し、痒みや湿疹を引き起こしていると考えられます。
そこで、おすすめの自然療法として:
- 水分摂取の見直し
- 喉の渇きを感じてから温かい飲み物を摂られているようですが、コーヒーや緑茶は温かくても体を冷やす性質があります
- 冷え症の方は、これらの飲み物は控えめにするのがおすすめです
- 代わりに体を温める性質のある生姜湯や薬草茶などを取り入れてみましょう
- 適度な運動の習慣化
- 軽く汗ばむ程度の適度な運動を心がけましょう
- 運動によって手足の末端部へも熱が巡るようになり、上方へ偏っていた気の流れが分散されます
- ウォーキングやストレッチなど、無理なく続けられる運動がおすすめです
- 就寝環境の整備
- 寝ている時に症状が悪化するとのことなので、寝具や寝間着の素材を見直しましょう
- 肌に優しい綿素材や、通気性の良い素材を選ぶことで、摩擦による刺激を減らせます
- 就寝前の入浴で体を温め、血行を促進するのも効果的です
この体質改善に効果が期待できる漢方薬
今回の症例のような体質改善に効果が期待できる漢方薬をいくつかご紹介します。ただし、これはあくまで一般的な情報であり、個人の体質や症状の複雑さによっては単独では効果が現れにくい場合もあります。
- 当帰飲子(とうきいんし):血行を促進し、皮膚の乾燥や痒みを改善する効果が期待できます。特に冷えを伴う皮膚の乾燥に適しています。
- 温清飲(うんせいいん):体内の余分な熱を冷まし、潤いのバランスを整える漢方薬です。皮膚の熱感を伴う痒みに効果的とされています。
- 四物湯(しもつとう):血を補い巡らせる基本的な漢方薬で、皮膚の栄養状態を改善する効果が期待できます。
症状が複雑な場合には、単独の漢方薬では十分な効果が得られないこともあります。ピヨの漢方では、お一人おひとりの体質や症状に合わせた漢方相談を行っておりますので、お気軽にご相談ください。
まとめ:皮膚の痒みを根本から改善するために
皮膚の痒みは、表面的な症状だけでなく、体内の巡りの滞りが原因となっていることが多いのです。今回ご紹介した方のように、体の熱と水分のバランスが崩れ、気や血の巡りが乱れることで、様々な皮膚トラブルが発生します。
根本的な改善のためには:
- 体を冷やさない生活習慣を心がける
- 適度な運動で気血の巡りを促進する
- 食生活を見直し、お腹の機能を高める
- ストレス管理を意識する
- 十分な休息をとり、腎陰を消耗させない
これらのポイントを意識した生活改善と、必要に応じて漢方薬などの自然療法を取り入れることで、皮膚の痒みを根本から改善していくことが可能です。
一人ひとりの体質は異なりますので、自分に合った対策を見つけることが大切です。症状が長引く場合は、専門家への相談をおすすめします。
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