
こんにちは
どうなさいましたか?

過敏性腸症候群にお悩みの方から
質問をいただきましたよ
喉の痛みや声のかすれ、鼻づまりに悩まされていませんか?これらの症状は上咽頭炎や副鼻腔炎が原因かもしれません。
今回は、上咽頭炎、副鼻腔炎、胃炎などの複合的な症状でお悩みの方の体験談をもとに、東洋医学的な視点からその原因と改善策をご紹介します。
東洋医学では、これらの症状は単なる局所的な問題ではなく、体全体のバランスの乱れから生じると考えます。特に「気の滞り」と「水分の停滞」が大きく関わっていることが多いのです。
では、実際の症例を見ながら、詳しく解説していきましょう。
この方の外見的な特徴とお悩みの症状
今回ご紹介する方は以下のような特徴を持っています:
- 51歳・男性
- 身長:157cm
- 体重:60kg
- BMI:24.34
主な症状:
- 上咽頭炎による声のかすれと痰
- 副鼻腔炎による上あごの痛み
- 胃炎と逆流性食道炎の症状
- 首のコリとこわばり
- 目のかすれ
上咽頭炎と副鼻腔炎とは?
まず、上咽頭炎と副鼻腔炎について簡単に説明します。
上咽頭は、鼻と喉の間に位置する部分です。ここに炎症が起こると、痛み、乾燥感、痰の増加、声が出にくい、頭が重いなどの症状が現れます。
一方、副鼻腔は鼻腔の裏側にある狭い空間です。ここが炎症を起こすと、鼻水や鼻づまり、嗅覚の低下、頭が張った感じなどの症状が起こります。
どちらも炎症により熱を生じていますが、その原因は体質によって異なります。
鼻は外部からの異物を体内に入れないよう防御する役割があります。この働きの際に以下のような問題が生じることがあります:
- 体内の熱が過剰な方:過剰な熱によって体の潤いが消耗され、乾燥症状が出やすい
- 余分な水分が充満している方:水分が煮詰められてドロドロになり停滞する
- 体が冷えやすい方:余分な水分が集まって停滞し、動きが悪くなる
- 冷えが強い方:必要な水分を上部に運べなくなり、乾燥することもある
この方の体質はどうなっているの?
第一印象として、この方は体の上部に動きの悪い水分が停滞している状態にあります。
首のコリやこわばり、肩こり、逆流性食道炎を思わせる胃痛など、体の上部へと水分や熱が押し上げられる偏りがあります。BMIや舌の状態から判断すると、体内の水分が巻き込まれて上へと押し上げられていることが窺えます。
特に首にこわばりがあることから、体の上部で余分な水分が停滞して充満していることが考えられます。
症状の変化から見る体の状態
この方の観察によると、痰は冬や春には白く透明だったものが、最近になって黄色く変化しています。これは、停滞している間に水分が煮詰まって熱を持ってきた証拠です。
舌の苔も白から黄色に変化し、胃炎などストレスによって気が滞って熱になり、その熱が上昇してあちこちを攻撃しているように感じられます。そのため、口の苦さ、腹部の張り、ゲップやガスが出ると楽になる、のぼせる、目の充血など、熱による症状が目立つようになっています。
ただし、血圧はそれほど高くなく、手足の冷え、寒がりの傾向、舌の色などから、体の熱自体はそれほど勢いが強いわけではないようです。
巡りの弱さが引き起こす様々な症状
体内の熱は、気を広げ、必要な潤いや血液を全身へ届ける原動力となります。しかし、この方は巡りの原動力の弱さによって、体の上部や末端部へ十分に届かず、重い水分を持ち上げられずに足のむくみや内臓の下垂を引き起こしています。
必要な血液や潤いが届かないため、心気の不安定さ(不安感や多夢)が生じ、ストレスを感じやすくなっています。また、必要な栄養が届かないため、髪の毛が抜けやすく、爪が脆く、目の疲れや乾燥も起こっています。
季節による変化にも注目
冬や春先は、舌に歯の跡がついて、舌先に溝ができ、白くて厚い舌苔だったのが、最近ではそれらが減って、黄色っぽい舌苔に変化しています。
冬は外部環境の冷えにより、気の巡りも体の内側を中心に巡っていました。春になると、気の勢いは強くなって外側へと押し出してきますが、気の滞りがあるため、うまく外側へ広がることができず、内側にこもっていたことが窺えます。
温かくなってきたことで気血の広がりは良くなったものの、滞りによってこもった熱が生じ、潤いを消耗させてしまい、鼻や喉の乾燥につながっているのです。足の冷えも、気の偏りによって冷えから火照りに変わっているようです。
この方の体質のまとめ
この方の体調をまとめると、ストレスによる気の滞りがあり、それがこもって熱を生じている状態です。
- 雨の日に体調が悪く、だるさが顕著に出る
- 動くと汗をかきやすい
- 口が粘る
- 胃の中で音がする
これらの症状から、体内には余分な水分が停滞していることがわかります。
また、痰は午後から夜にかけて出るとのことで、気の勢いが次第に弱まる時間帯に水分の巡りが悪化して停滞していることが窺えます。
ストレスなどメンタル面の不調も朝起きた時に悪化するとのことで、朝の気の勢いがまだ弱い時間帯に、気の滞りや水分の充満が症状を強めていると考えられます。
さらに、元々の体には巡らせる原動力である体の熱がやや弱っているため、体の中心部や下部には余分なものが充満し、届かない部位では熱によって煮詰められ、ドロドロした状態になっていると考えられます。
ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい
これらの体質的な特徴を踏まえ、解決策としては以下のような自然療法が考えられます:
- 気の滞りを解消する
- 上に偏った気を引き下げる
- 上部に居座っている余分な熱を解消する
- 体の末端部まで巡りが届くようにする
すでにストレッチや瞑想など様々な自然療法を実践されているようですが、お腹や足に停滞している水分を解消するには、適度に汗をかく程度の運動が効果的です。これにより巡りを改善しながら、水分の摂り方を工夫することで解決できるでしょう。
外出せずに自宅でできる運動として、四股がおすすめです。きちんと行うと汗が出て、腎を鍛えてくれるので体が楽になります。
また、喉の渇きについては、お腹や足に余分な水分が充満しているにもかかわらず感じるのは、気の滞りによって潤いが必要な場所へ届いていないためです。
無理に水分摂取を控えるのは危険ですので、以下のような工夫をしましょう:
- 豆乳や梨、アスパラガスなど、喉の渇きを潤しつつ利尿を促す食品を摂る
- 水を飲む際は一気に飲まず、喉の渇きを癒すように少しずつ飲む
胃炎や食欲不振についても、BMIや排便の様子から消化器系の働き自体には大きな問題はないようです。症状が変わりやすいこともあり、やはり気の巡りを改善する運動が重要と考えられます。
気を巡らせる食べ物と食事法
気を巡らせる効果のある食材として、以下のものがおすすめです:
- 紫蘇
- ミカンの皮
- タマネギ
- キンカン
- ジャスミン
- ハッカ
これらを適度に食事に取り入れてみましょう。
また、食事法についても、空腹感を意識した食事を心がけ、食欲がないときは無理して食べないようにするのも良いでしょう。
この体質に効果が期待できる漢方薬
この方のような体質には、以下のような漢方薬が効果的と考えられます:
- 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう):気の巡りを改善し、上半身の熱を鎮める効果があります。ストレスによる不安感や動悸、のぼせなどの症状にも効果的です。
- 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう):喉のつかえ感を改善し、気の滞りを解消します。不安感や胸のつかえ、咽喉部の不快感に効果があります。
- 荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう):上気道の熱を取り、炎症を鎮める効果があります。鼻や喉の炎症、副鼻腔炎などに用いられます。
ただし、これらはあくまで一般的な漢方薬の紹介であり、この方に適しているかどうかは個人差があります。症状が複雑な場合には単独では効果がない場合もあるため、当店での漢方相談をおすすめします。
まとめ
上咽頭炎や副鼻腔炎などの症状は、東洋医学的には気の滞りと水分の停滞が主な原因となっていることが多いです。
この方の例のように、ストレスや季節の変化によって体のバランスが崩れ、様々な症状が現れることがあります。改善には以下のポイントが重要です:
- 適度な運動で気の巡りを良くする
- 水分の摂り方を工夫する
- 気を巡らせる食材を取り入れる
- 必要に応じて漢方薬を活用する
症状が長引く場合や複雑な場合は、自己判断せず、漢方の専門家に相談することをおすすめします。体質に合った適切なアプローチで、根本から改善を目指しましょう。
YouTubeでも解説しています。

ご自分の体質にあった
漢方薬を試してみたい方は
ピヨの漢方の漢方相談を
ご利用ください。
