
こんにちは
どうなさいましたか?

下痢にお悩みの方から
質問をいただきましたよ
皮膚の乾燥や痒みと、腸の不調が同時に現れるケースは少なくありません。これらの症状は一見関係がないように思えますが、東洋医学の視点では密接に関連しています。
体の表面(皮膚)と内側(腸)は、気・血・水のバランスによって深く繋がっているのです。今回は、15年もの間、皮膚の痒みと慢性下痢に悩まされてきた35歳女性の事例から、この不思議な関係性を紐解き、自然な方法で改善する方法をご紹介します。
皮膚科でステロイド軟膏を処方されても根本的な解決に至らない、そんな悩みを抱える方に、ぜひ参考にしていただきたい内容です。
皮膚の痒みと慢性下痢は関係ある?この方の症状とは
外見的な特徴とお悩みの症状
- 年齢:35歳(女性)
- 身長:161cm
- 体重:49kg
- BMI:18.9
主な症状:
- 目頭、右耳内側、人差し指の皮膚炎(痒み、皮膚剥離、赤み)
- 慢性の下痢(柔らかい便、時に水溶性の下痢)
- 偏頭痛(特に雨の日や生理中)
- 舌先の赤み、舌に歯の跡、溝や割れ目がある
今回ご相談いただいた方は、15年前から目頭、右耳内側、人差し指の甲側に皮膚炎が出現し、痒みがあって皮膚がポロポロと剥け落ち、赤みが出るとのこと。
また、慢性の下痢症状があり、形はバナナ型ではあるものの柔らかい便が多く、時折食後すぐに腹痛を伴う水溶性の下痢になることもあるそうです。そのため市販のビオフェルミンを頓服されています。
さらに偏頭痛になることも多く、その場合は市販の解熱鎮痛薬を服用されているとのことです。
この方の体質はどうなっているの?東洋医学的な見方
この方の体質を東洋医学的に分析すると、非常に興味深い特徴が見えてきます。
まず目につくのは、体の上部や末端部での乾燥と熱です。目頭や耳、指先などが痒みで皮膚がポロポロ剥けると述べられていることから、体の表面では熱があって乾燥している状態が伺えます。
舌先の赤みが強いことからも、この「上熱」の状態が裏付けられます。このような熱があると、皮膚の入れ替わりをコントロールするターンオーバーが過剰になってしまい、皮膚がポロポロと剥ける原因となります。
一方で、体全体としては熱と乾燥だけでなく、余分な水分が体内に充満している様子も見られます。透明な粘っこい痰がある、雨の日や生理中に偏頭痛になりやすい、動くと汗が出る、手のひらに汗をかく、雨の日に体調が悪いなどの症状から、体の中に余分な水分が溜まっていることが推測されます。
下痢の原因は何?気の巡りの問題なのか?
下痢の原因には大きく分けて2つあります:
- 食べた物を吸収できないことで起こる下痢
- 体が吸収を拒否して起こる下痢
この方の場合、体内に余分な水分が充満していることから、吸収を拒否している可能性も考えられます。しかし、BMIからやや痩せ型であることや、体内で水分が偏在している様子から、気の巡りの悪さが原因である可能性も高いです。
食べ物を消化・吸収した後、体内ではいったん体の上部へと運び上げて全身へ巡らせる必要があります。しかし、ストレスなどによる気の滞りが生じると、吸収したものを全身へ運ぶ働きがうまく連携できなくなり、吸収した入り口付近で「渋滞」を起こしてしまいます。
その結果、食べるとお腹が張り、渋滞が一定量を超えると一気に出口へ向かって下痢になるのです。
お腹の持ち上げる力が弱っている?
この方の場合、食欲には問題がなさそうですが、生理前の下痢、手のひらに汗をかく、立ちくらみしやすい、内臓の下垂などから、お腹の持ち上げる働きに問題がありそうです。
食べ物は体内に吸収された後、いったん体の上方へと持ち上げられることで全身へ巡らされます。この持ち上げる力が弱いと、吸収されたものが上に運ばれにくくなり、入り口付近で渋滞を起こしやすくなります。
特に生理前は、妊娠の準備として体中の働きが子宮に向かって濃厚な気血を下向きに送っている状態です。この下向きの流れに、弱った持ち上げる力が巻き込まれると、下痢になりやすくなります。
水巡りの悪さが体の不調を引き起こす
手足が冷える、寒がり、舌の苔が水っぽい、舌に歯の跡があるなどの症状は、水を巡らせる勢いの無さを示しています。これが持ち上げる働きを弱める原因の一つとなっているようです。
また、偏頭痛用の解熱鎮痛薬、腸活のためのバナナやキウイなど、体を冷やす性質のある食べ物の摂取も、この状態を強めている可能性があります。
体内の水を巡らせる原動力は、体の芯部の熱源です。雨の日に偏頭痛になりやすい原因も、雨の日には体内の熱源が影響を受けて水の巡りが悪くなり、届かなかった水分がますます届かなくなることで、体の上部が乾燥して熱を生じ、痛みになるのです。
ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい
この方の体質分析から、体が冷えていることで気血を身体の末端部や上部へと届けられないことが、皮膚の乾燥や下痢の原因となっていると考えられます。そこで、以下の自然療法をおすすめします:
- 腸活のためのバナナやキウイなどの冷やす性質の食べ物を控える バナナやキウイなどは体を冷やす性質があります。必要以上に摂取すると、体の冷えをさらに悪化させる可能性があります。フルーツを食べる場合は、お食事のお供程度にとどめるのが良いでしょう。
- 水分摂取を適切にする 水分をとると落ち着くという感覚は、水分が体の上部へ届けられないことから熱を生じて、喉の渇きや不安感を感じているためと考えられます。熱中症予防以外の季節は、喉の渇きに応じて、喉の渇きを癒す程度の水分補給を心がけましょう。体内に余分な水分が停滞すると、体の芯部の熱の働きが圧迫され、上部や末端部にはさらに水分が届きにくくなります。
- 適度な運動で水分の巡りを改善する 水分の巡りを良くするためには、体を適度に動かすことが大切です。運動によって体内の水分が巡るようになれば、余分な水分は排出され、お腹の持ち上げる働きも高まります。気の滞りも解放されて巡りが順調になり、必要な場所へ水が届きやすくなって、皮膚の乾燥なども解消されやすくなります。
- 気功的な歩き方を実践する 涼しい時期には、手をよく振るようにして散歩をし、手の振りに合わせて呼吸すると、気功のような効果があり、気血の巡りが良くなります。ぜひお試しください。
この体質の方に効果が期待できる漢方薬
この方のような症状に効果が期待できる漢方薬をいくつかご紹介します。ただし、これはあくまで一般的な体質改善のための情報であり、個人の症状に合わせた処方ではありません。
- 五苓散(ごれいさん):余分な水分を巡らせて排出する効果があり、体内の水分バランスを整えます。
- 六君子湯(りっくんしとう):胃腸の動きを整え、持ち上げる力を強化して消化吸収を助けます。
- 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう):気の巡りを改善し、精神的な安定をもたらします。
症状が複雑な場合には、単独の漢方薬では効果が現れにくいことがあります。ピヨの漢方では、あなたの体質や症状に合わせた漢方相談を行っていますので、お気軽にご相談ください。
まとめ:体の水巡りを改善して内外のバランスを整える
この方の症状は、体の表面や末端部では乾燥して熱がある一方、体の内部や下部では余分な水分が停滞し、巡りが悪くなっている状態が考えられます。
皮膚の乾燥や痒み、下痢などの症状を改善するためには、体を冷やす食べ物を控え、適切な水分摂取を心がけ、適度な運動で水分の巡りを良くすることが大切です。
東洋医学の視点から見ると、皮膚と内臓は密接に関連しており、体内の気・血・水のバランスを整えることで、両方の症状を同時に改善できる可能性があります。
ぜひ、ご自身の体質に合った自然療法を取り入れて、心身のバランスを取り戻してください。
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