ゲップが止まらない…半夏瀉心湯は効果があるの？中医学で解説

「病院に通っているのに、ゲップがなかなか良くならない…」

そんなお悩みをお持ちではありませんか？

漢方薬を試してみたけれど効果を感じられなかった方も、もしかするとご自身の体質に合った漢方薬と出会えていなかっただけかもしれません。

今回は、ゲップにお悩みの方に向けて、半夏瀉心湯（はんげしゃしんとう） という漢方薬をご紹介いたします。

この漢方薬は、お腹の働きを高めることで、ゲップだけでなく食欲不振、下痢、胸やけ、口内炎などにも効果が期待できます。

みぞおちの「痞え（つかえ）」を取り除くという意味が、漢方名にも込められているんですよ。

半夏瀉心湯はどんな漢方薬ですか？

半夏瀉心湯は、みぞおちのあたりで熱と水が結びついて停滞し、気の流れが滞ってしまった状態を解消してくれる漢方薬です。

7種類の生薬が配合されており、それぞれが協力してお腹の調子を整えてくれます。

【半夏瀉心湯に含まれる生薬】

• 半夏（はんげ）： 余分な水分を取り除く
• 黄芩（おうごん）： 胃の熱を冷ます
• 黄連（おうれん）： 心と胃の熱を鎮める
• 人参（にんじん）： 消化機能を高める
• 乾姜（かんきょう）： お腹を温める
• 大棗（たいそう）： 胃腸の働きを助ける
• 甘草（かんぞう）： 全体の調和を整える

これらの生薬が組み合わさることで、胃の熱を冷ましながら、冷えた脾（ひ）を温めるという、一見矛盾するような働きを同時に行ってくれるのが特徴です。

どうしてゲップが良くなるのですか？

東洋医学では、食べ物の消化と吸収について次のように考えています。

食べ物は胃で消化され、胃気（いき） の働きによって下向きに運ばれます。そして脾気（ひき） の働きによって栄養が吸収され、体の上の方へと運ばれていきます。

つまり、胃気は下向き、脾気は上向きに働くのが正常な状態なのです。

ところが、何らかの原因で胃気が上向きに逆流してしまうと、食べ物がうまく下に運ばれなくなります。

すると、停滞した食べ物から不要なガスが発生し、そのガスが上向きに逃げようとしてゲップとなって現れるのです。

【ゲップが起こるメカニズム】

1. 辛いもの・脂っこいものの食べ過ぎ、またはストレスで胃に熱がこもる
2. 冷たいもの・生ものの摂りすぎで脾気が冷えて弱る
3. 胃気と脾気の流れが乱れ、食べ物が停滞する
4. 停滞した食べ物からガスが発生してゲップに

半夏瀉心湯は、黄芩・黄連で胃の熱を冷まし、人参・乾姜・大棗・甘草で脾気を温めて高め、半夏で余分な水分を取り除くことで、この悪循環を断ち切ってくれます。

ここで大切なポイントがあります。

熱と水分が結びついた状態では、片方だけを解消しようとすると、もう片方の症状が悪化してしまうことがあるのです。

例えば、水分だけを取り除くと熱の症状が強くなり、ゲップや吐き気がかえってひどくなることも。逆に熱だけを冷ますと、水分の停滞で脾気がさらに低下してしまいます。

半夏瀉心湯は、熱と水分の両方を同時にケアしてくれるので、バランスよくゲップを改善へと導いてくれるのです。

どんなタイプの人に向いている？体質別おすすめコメント

半夏瀉心湯が効果を発揮しやすい方には、以下のような特徴があります。

【半夏瀉心湯が向いている方の特徴】

• みぞおちの部分が張る感じがある
• お腹がゴロゴロと音がする
• お腹に熱感を感じることがある
• 舌の苔が黄色く、バターを塗ったようにべったりとしている

お腹がゴロゴロ鳴ったり、舌の苔がべったりしている状態は、お腹の中に余分な水分が停滞しているサインです。これは脾気がうまく水を巡らせられていないことを示しています。

また、体の中に熱がこもっていると、舌の苔の色が黄色く変化していきます。

これらの特徴があって、ゲップ・吐き気・下痢・口内炎などでお悩みの方には、半夏瀉心湯が役立ってくれるでしょう。

【こんな症状にも効果が期待できます】

• 食欲不振
• 下痢
• 吐き気
• 胸やけ
• 口内炎
• 不眠やイライラ
• 二日酔い

口内炎については、胃の熱だけでなく心（しん）の熱が関係していることもあります。半夏瀉心湯に含まれる黄連には心の熱を冷ます働きもあるため、不眠やイライラ、心が落ち着かないといった症状にも効果が期待できます。

辛いもの・脂っこいもの・冷たいもの・生ものの摂りすぎが原因の不調には幅広く対応できるため、二日酔いの解消にも助けになってくれますよ。

まとめ

今回は、ゲップにお悩みの方に向けて、半夏瀉心湯をご紹介しました。

ゲップの原因はさまざまで、今回ご紹介した「胃の熱と脾の冷え」によるもの以外にも、何かが邪魔して胃気が下降できない場合や、胃気・脾気そのものが弱っている場合などがあります。

原因が違えば、効果のある漢方薬も変わってきます。

半夏瀉心湯は、辛いもの・脂っこいものを好む方が冷たいもの・生ものを摂りすぎた場合や、ストレスを感じやすい方が冷たいものを摂ることで起こるゲップに効果的です。

もし「自分に合っているかわからない」「いろいろ試したけど良くならない」という場合は、症状が複雑に絡み合っている可能性もあります。

そのような場合には、単独の漢方薬では効果が出にくいこともありますので、ぜひ一度ご相談くださいね。当店では、お一人おひとりの体質に合わせた漢方相談を行っております。

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