
こんにちは
どうなさいましたか?

アトピーにお悩みの方から
質問をいただきましたよ
朝起きた時に感じる皮膚の乾燥感。特にアトピー性皮膚炎の方にとって、この症状は日常的な悩みとなっています。「夜寝る前には保湿しているのに、なぜ朝になると乾燥しているのだろう?」と疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。
皮膚の乾燥は単に外側からのケアだけでは改善しないケースが少なくありません。今回は、アトピー性皮膚炎の方から寄せられた貴重な体験談をもとに、朝の乾燥の根本的な原因と、漢方的視点からの自然療法的アプローチについてご紹介します。
寄せられた事例:28歳男性のケース
外見的な特徴とお悩みの症状
- 年齢:28歳(男性)
- 身長:181cm
- 体重:80kg
- BMI:24.42
- 顔色:赤ら顔
- 舌の状態:白っぽく、乾燥気味で一部剥がれあり
- 舌の裏の静脈:細いが目立つ
主な症状:
- 朝起きた時の全身の乾燥
- 特に下半身と足の甲の強い乾燥
- 足のむくみ
この方は、小松菜、ホウレンソウ、リンゴ、バナナ、蜂蜜を材料にした手作り野菜ジュースをほぼ毎日飲んでいるとのことです。
皮膚が乾燥するメカニズムとは?
皮膚は私たちの身体の最も外側に位置しているため、常に外部環境の影響を受けやすく乾燥しやすい状態にあります。しかし、通常は体内から潤いが供給されることで、健やかな状態を保っています。
皮膚の乾燥が起こる主な原因は以下の2つに分けられます:
1. 体内の潤い不足
体全体が乾燥している状態では、皮膚に十分な潤いを供給できなくなります。この状態は以下のような要因で引き起こされます:
- 過労や夜更かしによる過剰な消費で潤いの補給が追いつかない
- 冷たい食べ物の摂りすぎや食べ過ぎによるお腹の働きの低下
- 潤いを生成する機能の弱体化
2. 潤いの届け方の問題
体内に潤いはあっても、それを皮膚まで届けられないケースがあります:
- ストレスや緊張による気の巡りの悪化
- 体の冷えや疲労による気の巡りのパワー不足
- 皮膚周辺の水分停滞による潤いの供給阻害
この場合、皮膚自体は乾燥しているのに、皮膚の下はむくみ(浮腫み)が生じていることがあります。
この方の体質分析
この事例から、いくつかの興味深い点が見えてきます。
まず、ジュースを毎日飲まれていることから、水分摂取量はそれなりにあると考えられます。BMIも24.42あり、栄養面でも十分な摂取があると推測できます。
しかし、排尿回数が3回と少なく、尿の色もやや濃いとのこと。また大便の頻度も2~3日に1回で、体内に水分や栄養素は取り込まれているものの、適切に循環・排出されていない可能性があります。
特に気になるのは、足のむくみと下半身の乾燥が同時に起きていることです。これは、余分な水分が滞留して皮膚への潤い供給を妨げているサインかもしれません。
原因を探る:体温と気の巡り
この方の場合、以下の点から体の冷えと気の巡りの停滞が考えられます:
- 舌の色が白っぽいこと
- 手足の冷えがあること
- 冷やす性質のある食材(ホウレンソウ、リンゴ、バナナなど)を含むジュースを毎日飲んでいること
これらにより体が冷やされ、水分の巡りに勢いがなくなってしまい、結果として排尿量の減少と足のむくみにつながっていると考えられます。
一方で、顔が赤ら顔であることから、中心部に熱がこもっている可能性もあります。全身の倦怠感や朝の不調から、気の滞りがあることも推測できます。
朝は目覚めたばかりで気の動きにまだ勢いがついていない状態です。そこに気の滞りや水分停滞があると、さらに巡りが悪くなり、以下のような症状を引き起こします:
- 顔の赤み(中心部に気が充満)
- 舌の乾燥と剥がれ
- 全身のだるさ
- 皮膚の乾燥
- 手足の冷え(気が末端まで行き渡らない)
では、この方におススメの自然療法を教えて下さい
この方の体質改善には以下のアプローチがおすすめです:
- 野菜ジュースの摂取量を調整する 現在毎日飲んでいる野菜ジュースは、徐々に量を減らしていくことをおすすめします。冷たい飲み物はお腹を直接冷やし、体内の水分バランスを崩す原因となります。特にアトピーの方は、お腹の働きの低下が皮膚トラブルにつながることが多いため注意が必要です。
- 適切な食材選び
- 避けたい食材:ホウレンソウ、リンゴ、バナナなど冷やす性質のあるものの過剰摂取
- おすすめの食材:黒豆、ソラマメ、クルミ、トウモロコシ(むくみ解消に効果的) 特にトウモロコシは排尿を促進し、黒豆とクルミは皮膚トラブルの改善にも役立ちます。
- バランスの良い食事 同じものばかり食べ続けず、様々な食材をバランスよく摂取することが大切です。これは栄養面だけでなく、体を温めたり冷やしたりするバランスを整える意味でも重要です。
- 適度な運動 気の巡りを良くするために、適度な運動を取り入れることも効果的です。特に朝の時間帯に軽い運動を行うことで、一日の気の流れが良くなります。
アトピー体質の方におすすめの漢方薬
アトピー性皮膚炎と乾燥に悩む方に効果が期待できる漢方薬をいくつかご紹介します。ただし、これはあくまで一般的な情報であり、個人の体質や症状に合わせた処方が必要です。
- 当帰飲子(とうきいんし):皮膚の乾燥と血行不良を改善し、潤いを与える働きがあります。
- 消風散(しょうふうさん):皮膚の赤みやかゆみを鎮め、熱を冷まし、湿りを取り除く効果があります。
- 十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう):体内の毒素を排出し、皮膚の炎症を抑える働きがあります。
症状が複雑な場合には、これらの漢方薬単独では効果が現れないこともあります。ピヨの漢方では、お一人おひとりの体質や症状に合わせた漢方相談を行っておりますので、お気軽にご相談ください。
まとめ
アトピー性皮膚炎における朝の乾燥は、単なる外的要因だけでなく、体内の水分バランスや気の巡りの問題から生じていることが多いです。
特に今回のケースでは、冷やす性質の食材の摂りすぎや水分代謝の滞りが、皮膚乾燥の主な原因として考えられました。改善には、食生活の見直しやバランスの良い食事、適度な運動が効果的です。
皮膚は私たちの体の状態を映し出す鏡です。外側からのケアも大切ですが、内側からのアプローチこそが持続的な改善につながります。ぜひ今回ご紹介した自然療法を試してみてください。
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