
こんにちは
どうなさいましたか?

逆流性食道炎にお悩みの方から
質問をいただきましたよ
食後にお腹が張って、胃の中がせり上がってくるような感覚。ゲップや吐き気も出てきて、何となく食欲もわかない。そんな症状でお悩みではありませんか?
これらの症状は、お腹の働きが弱ってしまったことが原因かもしれません。中医学では、お腹の中に余分な水分が停滞し、腸管の動きが悪くなることで起こると考えます。
今回は、このような症状に効果的な「茯苓飲(ぶくりょういん)」という漢方薬についてご紹介します。お腹の働きを応援して、停滞している気や水を排除してくれる優れものなんですよ。
どうして逆流性食道炎やゲップになってしまうのですか?
お腹の中で起こっていること
食べた物が食道に逆流してくると、胸にこみあげてくるような吐き気を感じます。さらに上に上がってくると、喉のつかえやイガイガした感じになるんですね。
本来、食べた物は腸管の働きによって吸収する場所へと運ばれていきます。そこで体に必要な栄養が吸収され、上の方へと運び上げられます。必要のないものは体の外へと排出されていくのです。
下向きと上向きのバランス
お腹の中では、食べた物を下へと運ぶ働きと、吸収した栄養を上へ運ぶ働きがペアとなって働いています。どちらかが弱ると、バランスが崩れてしまうことになります。
お腹の働きが弱ってしまうと、腸管の動きも悪くなります。食べた物を上手く体の下の方へと運べなくなって、腸管の中に余分な水分として残るようになるのです。
気の逆流が起こる仕組み
食べた物を下に移動できなくなると、腸管を下向きに動かす気が渋滞を起こします。そして逆流することで、逆流性食道炎となってしまうのです。
この気の逆流により、吐き気も起こります。余分な水分が停滞していることで、お腹がもたれるようにもなります。
なぜ食欲がわかないのか
お腹の中には余分な水分が溜まっていますから、お腹が空になっていません。だから食欲がわかないのです。
しかも、食べたところで腸管が快適に下向きに動いていませんので、食べても直ぐにお腹がいっぱいになります。お腹が張るようになってしまうんですね。
茯苓飲はどんな漢方薬ですか?
茯苓飲は6種類の生薬から構成されています。それぞれの生薬が協力し合って、お腹の働きを応援し、腸管の動きを改善してくれるのです。
茯苓飲に含まれる生薬:
- 人参(にんじん): お腹の働きを高める
- 白朮(びゃくじゅつ): 余分な水分を排除する
- 茯苓(ぶくりょう): 余分な水分を巡らせる
- 陳皮(ちんぴ): 温めながら気を下向きに引き降ろす
- 枳実(きじつ): 強力に腸管を動かす
- 生姜(しょうきょう): お腹を温めて蠕動運動を促進する
どうして逆流性食道炎やゲップが良くなるのですか?
まずは土台を整える
人参、白朮、茯苓で、お腹の働きを高めていきます。
人参がお腹の働きをパワーアップして、白朮と茯苓が停滞している余分な水分を巡らせて排除します。まずは、お腹の中に余分なものが停滞しないようにする土台を整えるのです。
気と水を下向きに引き降ろす
陳皮と枳実でお腹の中に停滞している余分な水分を動かします。陳皮は温めながら、枳実はやや冷やしながら、固まっている状態を砕いて下向きに引き降ろすことで排除してくれます。
また、陳皮と枳実には気を下向きに引き降ろす働きもあります。特に枳実は強力に腸管を動かしてくれるので、気の滞りによって上向き過剰になっている状態を解消してくれるのです。
枳実の特別な働き
さらに、枳実には胃の緊張を高める働きがあります。平滑筋がだらんと緩んでしまった事による胃下垂を解消するのに使用することができます。
しかも、その働きは人参などの気を補う働きをもつものと合わせて使うと、効果が持続すると言われています。
生姜が全体を整える
生姜は、お腹を温めながら停滞している気や水を動かして排除します。腸管を下向きに引き降ろすことも応援してくれるんですよ。
しかも、生姜は胃液の分泌を増加させて、胃腸の蠕動運動を高めてくれます。消化機能が高まって、食欲が回復するのです。
ちなみに、生姜に黒砂糖を混ぜると、お腹を温めて腸管の蠕動を促進します。お腹が冷えてしまったことによる吐き気の解消や、ガスが停滞したような症状に効果があるんですよ。
茯苓飲の働きをまとめると
もう一度整理しますね。
- 人参で、お腹の働きを高める
- 白朮と茯苓は停滞している余分な水分を巡らせて排除する
- 陳皮と枳実でお腹の中に停滞している気や水を下向きに引き降ろす
- 生姜で腸管の蠕動運動などを促進する
こうすることで、腸管の動きが下向きに正しく動き出します。余分な水分の停滞が解消され、逆流していたお腹の気が正しく下向きに動くようになります。
その結果、逆流性食道炎や、吐き気、お腹の張りなどが解消されるのです。
六君子湯との違いは?
茯苓飲と比較されることの多い漢方薬として、六君子湯があります。
六君子湯は、茯苓飲から枳実を抜いて、半夏、甘草、大棗が加えられてできています。
茯苓飲の大きな目的は、余分な水分を除くことです。お腹の働きを高め気を補充してはくれるものの、水分を排除する際に邪魔になる、潤いも補充する甘草や大棗が除かれているのです。
枳実と半夏の違い
どちらも気を下向きに引き降ろしながら、余分な水分の排除も助けてくれます。
枳実はやや冷やす性質を持ちながら、体の下の方の気を下向きにかなり強力に引き降ろしてくる作用があります。
一方、半夏は温めながら気を引き降ろします。乾燥させる働きもあり、喉の詰まりなどにも効果があるので、より体の上の方の気や水の滞りに対しても作用してくれるのです。
そのため、六君子湯ではお腹の働きを高めることで停滞している気や水分を動かします。茯苓飲は、六君子湯を使う状態よりはお腹の働きは保たれているものの、腸管の動きが悪くなって停滞している水分などの排除に活躍してくれます。
半夏厚朴湯との組み合わせ
茯苓飲に半夏厚朴湯を合わせて飲むようにすることもあります。
半夏の他にも、停滞している余分な水分や気を下向きに引き降ろしてくれる生薬が追加されます。滞っている気が伸びやかに解放されることで、ゲップや吐き気の他に、喉のヒステリー球などの解消にも効果的ですよ。
どんなタイプの人に向いている?体質別おすすめコメント
お腹の働きが低下しているタイプ
茯苓飲が必要となるタイプの方は、お腹の働きが低下していることで、あまり食欲がわかないことがあります。
そのような場合には、食事の時間がきたから仕方がないからといって無理して食事をするのではなく、空腹感になるのを待ってから食事をするのが良いでしょう。
日常生活で心がけたいこと
普段から適度に体を動かすのを心がけるようにしてください。お腹が自然に心地よい空腹感を感じるようになってから、良く噛むようにして食べるようにしましょう。
また、夜寝る前の晩御飯などは出来るだけ早めに済ませておいてください。睡眠中に食べ物がお腹の中に残っていないように心がけ、お腹に負担をかけないようにしてから寝ることも大切です。
これらの症状を解消するのにとても良いので、ぜひお試しくださいね。
まとめ
お腹の働きが低下して腸管の動きが停滞するようになってしまうと、余分な水分がお腹の中に停滞します。そこから下へはお腹の中の気や水が移動できなくなってしまうために逆流するようになります。
その結果、お腹が張って胃の中がせり上がってくるような感じになり、ゲップや吐き気を感じるようになるのです。
茯苓飲は、お腹の働きを高めて、腸管を動かす気を強力に下向きに引き降ろしながら、停滞している余分な水分を排除してくれます。お腹の中の気や水の流れを順調に巡らせることで、これらの症状を解消してくれるのです。
ただ、逆流性食道炎にしても、ゲップや吐き気にしても、原因はこれだけに限らず、他にもあります。症状が複雑な場合には、単独では効果がない場合もあります。
当店では、一人ひとりの体質や症状に合わせた漢方相談を行っています。原因に合った漢方薬を見つけて解消するようにしてみてくださいね。
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