南国の太陽をたっぷり浴びて育つマンゴー。その甘い香りと濃厚な味わいは、一度食べたら忘れられない魅力があります。しかし、マンゴーは単においしいだけではありません。東洋医学では薬膳として、さまざまな健康効果をもたらす食材として重宝されてきました。
今回は、そんなマンゴーの薬効や栄養価、効能から禁忌まで詳しく解説していきます。マンゴーを食べる際の参考にして、美味しさだけでなく健康面でもその恵みを最大限に活かしてみましょう。
マンゴーとは?基本情報を知ろう
マンゴーは、ウルシ科マンゴー属の果樹で、その果実は世界中で親しまれています。原産地はインドで、紀元前から栽培が始まっていました。
興味深いことに、マンゴーは仏教では聖なる樹とされ、ヒンドゥー教でも神聖視されています。それほど歴史的にも文化的にも重要な果物なのです。
性味と帰経
東洋医学では、マンゴーは以下のような性質を持つとされています:
- 性味:涼、酸、甘
- 帰経:肺、胃
これは、マンゴーが体を冷やす性質があり、酸味と甘みを持ち、主に肺と胃に作用することを意味します。
マンゴーにはどんな薬効があるの?
マンゴーには様々な薬効があります。東洋医学的な観点から見た主な働きは以下の通りです。
1. 清熱止渇・止嘔(体の熱を取り、のどの渇きや吐き気を抑える)
マンゴーには、体内の余分な熱を取り除き、のどの渇きを癒す効果があります。また、熱に過剰による吐き気や嘔吐を抑える働きもあるため、以下のような症状に効果的です:
- 体の熱感(煩熱)
- 喉の渇き(口渇)
- 吐き気
- 嘔吐
暑い夏の日に冷やしたマンゴーを食べると、体が涼しくなるのを感じたことはありませんか?これはまさにマンゴーの清熱作用によるものなのです。
2. 清熱利尿(熱を取りながら尿の排出を促進する)
マンゴーには利尿作用もあり、以下のような症状に効果的です:
- 排尿困難(小便不利)
- 排尿時の痛み(排尿痛)
特に夏場の水分代謝を助ける効果があるため、むくみが気になる方にもおすすめです。
3. 抗酸化作用
マンゴーの黄色い色素には「エリオシトリン」というフラボノイドが含まれており、脂質の酸化を抑えアンチエイジングにも効果的です。
4. 疲労回復
クエン酸や糖分も豊富に含まれているため、疲労回復にも役立ちます。特に夏バテ気味の時には、マンゴーを食べることで元気を取り戻せるかもしれませんね。
5. その他の効果
中国の伝統的な見解では、マンゴーには以下のような効果もあるとされています:
- 潤腸通便(腸を潤し、便通を促進する)
- 祛痰止咳(痰を取り、咳を抑える)
- 明目(目の健康を促進する)
マンゴーの豊富な栄養素について知っておこう
マンゴーは栄養価が高く、以下のような栄養素が豊富に含まれています:
- カロテン:体内でビタミンAに変換され、目の健康を促進
- ビタミンC:免疫力向上や美肌効果
- ビタミンE:抗酸化作用
- 葉酸:細胞の生成や成長に必要
- 食物繊維:腸内環境改善に効果的
- カリウム:むくみ防止や血圧調整に役立つ
これらの栄養素がバランスよく含まれているため、マンゴーは美味しさだけでなく、栄養面でも優れた果物といえるでしょう。
便利な食べ方
マンゴーは以下のような方法で楽しむことができます:
- カット方法:マンゴーを縦に切り込みを入れ、種を避けて果肉を取り出すと食べやすいです。
- 冷凍保存:カットしたマンゴーを冷凍すると、スムージーやシャーベットとして楽しめます。
マンゴーを食べる際の注意点は?
マンゴーは多くの人にとって安全な食品ですが、以下のような注意点や禁忌があります。
禁忌・使用上の注意
- 糖尿病患者には注意が必要とされています。糖分が多く含まれているため、血糖値の上昇に注意が必要です。
- 寒い季節や冷え症の場合には多食を避けましょう。マンゴーは「涼」の性質があるため、体が冷えやすい方は食べ過ぎに注意してください。
- 腎炎の場合には多食を避けてください。症状が悪化する可能性があります。
こんな人は特に注意が必要
以下の方は、マンゴーの摂取に特に注意が必要です:
- アレルギー体質の方:マンゴーはウルシ科の植物で、皮膚のかゆみ、赤み、じんましん、呼吸困難などのアレルギー症状を引き起こす可能性があります。
- 胃腸機能が弱い方:消化不良、腹部膨満感、下痢などの症状を引き起こす可能性があります。
- お腹に余分な水分が多い方:東洋医学では、マンゴーは「涼」の性質があるため、体内の湿気を排出するのに不利になる可能性があります。体が重い、四肢の無力感、食欲不振などの症状がある場合は注意が必要です。
まとめ:マンゴーの薬効を上手に活用しよう
マンゴーは単に美味しいだけでなく、さまざまな薬効を持つ果物です。清熱作用や利尿効果、抗酸化作用など、健康面でも多くのメリットがあります。
しかし、体質や体調によっては注意が必要な場合もあるため、自分の体調に合わせて適量を摂取することが大切です。特に、糖尿病の方や冷え症の方、腎炎の方は摂取量に注意しましょう。
マンゴーの素晴らしい効能を知ることで、より意識的にこの果物を食生活に取り入れることができますね。季節や体調に合わせて、マンゴーの恵みを上手に活用してみてはいかがでしょうか。
参考文献

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