食欲不振でお腹が張り早朝覚醒がある方の体質の特徴と自然療法

お腹の不調
ピヨ先生
ピヨ先生

こんにちは
どうなさいましたか?

にゃんたろう
にゃんたろう

お腹の張りにお悩みの方から

質問をいただきましたよ。

皆さん、こんにちは。体調不良が長引くと「これは大きな病気なのでは?」と不安になることがありますよね。特に複数の症状が同時に現れると、原因がわからず途方に暮れてしまうことも。

今回は、食欲不振や睡眠障害、体重減少などの複合的な症状に悩む50代女性の事例をもとに、東洋医学の観点からその体質的特徴と改善方法についてご紹介します。長年の胃腸トラブルや体調不良に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

この方の外見的特徴とお悩みの症状は?

まずは、今回のケースとなる方の基本情報と症状をご紹介します。

基本情報:

  • 58歳・女性
  • 身長:157cm
  • 体重:41kg
  • BMI:16.63
  • 舌の状態:白っぽい

主な症状:

  • 食欲がなく、少量でお腹がはる感覚がある
  • 半年間で6kg体重減少
  • お腹に空気がたまる感じとゲップが時々ある
  • 排便は少量で数回に分かれる
  • 朝方4時半頃に目が覚め、下腹部痛や排便後にみぞおち付近のドキドキ感で眠れない
  • 睡眠時間は3〜5時間程度
  • 日中、食後に強い眠気があるが横になっても眠れない

その他の症状:

  • 尿量の減少
  • ドライアイ、ドライノーズ、ドライマウス、デリケートゾーンの乾燥
  • 下肢静脈瘤
  • 長時間の座位で足のしびれ
  • 膝の浮腫み
  • 歯ぎしり、顎関節症
  • 突然の発汗と脱水感
  • 軽い頭痛や思考力低下
  • ふらつき

若い頃から胃腸の不調を繰り返し、体重の増減を経験されてきたようです。漢方や鍼灸での治療を試みましたが、いつも長期戦となり、回復の道筋がつかめていないとのこと。また、大きな病気ではないかという不安を抱えています。

この方の体質の特徴は?

この方の症状を東洋医学の観点から見ていきましょう。

気の滞りとお腹の働きの低下

食欲がなく少量でお腹がはる、空気が溜まる感じやゲップがあるという症状から、「気の滞り」が見られます。気の滞りは、お腹の働きに負担をかけている可能性があります。

東洋医学では、食べ物は「消化吸収する働き」と「運搬する働き」の連携によって身体全体に配られます。気が滞っていると、この二つの働きのバランスが崩れ、食べるとすぐにお腹が張ったり、少量で満腹感を覚えたりする症状が現れます。

また、排便が何度も少量ずつあるのも、お腹の働きと運搬する働きの乱れが影響していると考えられます。

潤いの不足と睡眠障害

舌が白っぽく、夜間睡眠中に汗が出るなどの症状からは、睡眠を維持するための「潤いの不足」が見られます。さらに、みぞおち辺りのドキドキ感があることから、潤い不足が気の滞りをさらに悪化させ、心気(こころのエネルギー)を乱して睡眠障害を引き起こしていると考えられます。

日中の食後の強い眠気は、夜間の睡眠不足によって失われた気や陰(体内の潤いを司るエネルギー)を回復させようとする体の反応です。しかし、横になると眠れなくなるのは、胃腸の力が弱いことでお腹に水が溜まり、張りを感じることや、停滞した水分が心気を穏やかにする潤いの運搬を妨げているからかもしれません。

水の巡りの悪さ

尿量が少ないのは、気の滞りに加えて体が冷え、お腹の働きも弱いため、水を巡らせる力が不足している可能性があります。水分は摂取していても、巡らせる力が弱いために体内のあちこちに停滞し、特に体の下部に浮腫みや下肢静脈瘤を引き起こしています。

また、内臓を支える力の弱さから、体の上部や表層部では乾燥症状(ドライアイ、ドライノーズ、ドライマウス、デリケートゾーンの乾燥など)が目立っているようです。

ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい

医療機関への相談

まず、「大きな病気ではないか」と心配しすぎるところがあるとのことですので、不安感を軽減するためにもかかりつけ医に相談されることをお勧めします。医学的な検査を受けることで、大きな病気の可能性を除外し、安心して体質改善に取り組むことができるでしょう。

気の巡りを改善する運動法

気の巡りを改善し、お腹の働きを活性化するために、適度な運動が効果的です。具体的には以下の方法がおすすめです:

  • 公園などでゆっくり散歩する際に、呼吸に意識を向ける
  • 頭の中で考えが湧いてきたら、すぐに呼吸に意識を戻す
  • 一定のリズムで歩くことを心がける

このような「マインドフルネス」を取り入れた散歩は、心気の働きを穏やかにし、気の滞りを解消する効果が期待できます。

睡眠の質を高める丹田呼吸法

睡眠障害の改善には、以下の方法が役立ちます:

  1. 布団に入ってから眠るまでの間や、夜中に目が覚めて眠れない時に実践する
  2. おへその下の丹田(たんでん:東洋医学で重要視されるエネルギーの中心部)に手を当てる
  3. そこに意識を集中しながら、ゆっくりと呼吸を続ける
  4. 考えに巻き込まれそうになったら、すぐに丹田と呼吸に意識を戻す

この方法を続けると、頭部にこもった気が下に降りてきて、考えの空回りが治まり、自然な眠りに導かれやすくなります。

この体質の改善に効果が期待できる漢方薬

この方のような体質の改善に効果が期待できる漢方薬としては、以下のようなものがあります。ただし、これらはあくまで気滞の改善に一般的に用いられる漢方薬であり、個人の症状に合わせた処方ではありません。

  • 六君子湯(りっくんしとう):胃腸の働きを改善し、食欲を増進させる効果があります。また、気の巡りを良くする作用も期待できます。
  • 加味逍遙散(かみしょうようさん):気の滞りを改善し、イライラや不安感を和らげる効果があります。女性特有の不調にも用いられます。
  • 半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう):めまいやふらつき、頭痛などの症状を改善する効果があります。

ただし、症状が複雑な場合には、単独の漢方薬では効果が現れにくいこともあります。当店では漢方相談も行っておりますので、お気軽にご相談ください。

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まとめ

今回ご紹介した58歳女性の症例は、東洋医学的に見ると「気の滞り」「潤いの不足」「水の巡りの悪さ」が複合的に影響している状態と考えられます。

このような状態の改善には、医師による検査と治療が大切です。並行して、気の巡りを良くする適度な運動や、丹田呼吸法などの自然療法が有効です。

体質改善は一朝一夕には進みませんが、日々の小さな積み重ねが大きな変化をもたらします。焦らず、ご自身のペースで取り組んでみてくださいね。

最後に、症状が長引く場合は、漢方専門医や東洋医学の専門家に相談されることをお勧めします。あなたの体質に合った最適な方法を見つけることが、長期的な健康への近道となるでしょう。

ピヨ先生
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