女性の体は月経周期に合わせて様々な変化を経験します。特に生理前になると、ホルモンバランスの変化により、むくみや便秘、そして意外にも耳の閉塞感といった症状が現れることがあります。
これらの症状は一見無関係のように思えますが、東洋医学的に見ると深い関連性があるのです。今回は生理前の耳閉塞感と便秘の関係性について、漢方医学の視点から詳しく解説していきます。
外見的な特徴とお悩みの症状
- 生理前に耳閉塞感が現れる
- 便秘による激痛で嘔吐を経験
- むくみの傾向がある
- 排便はあるものの残便感と膨満感が続く
生理前に耳閉塞感を感じるのはなぜですか?
生理前に耳が詰まったような感覚を経験する方は少なくありません。この症状は東洋医学的に見ると、体内の「気」の流れと深く関係しています。
耳閉塞感は、体内の気が上部へと押し上げられて詰まっている状態を表しています。同様に、嘔吐や便秘の症状も腸管が「上向き過剰」になっている状態なのです。
生理前は、下向きに濃厚な気血(エネルギーと血液)を引き連れてくる時期です。しかし、体の「渇き」の状態や「気の滞り」があると、こもった気や熱が上部へと向かい、押し寄せるような状態になります。これが耳の閉塞感として現れるのです。
むくみと耳閉塞感はどう関連していますか?
むくみと耳閉塞感には密接な関係があります。気の巡りが上昇過剰になっていると、体のあちこちに停滞している水分がまきこまれます。
この水分が耳の周囲に向かうことで、閉塞感がさらに強まる可能性があります。つまり、むくみの症状が現れている場合、耳の閉塞感も悪化しやすいというわけです。
体内の水分バランスが崩れると、さまざまな症状として現れることがありますね。
五苓散は便秘に良くないのですか?
五苓散(ごれいさん)は、むくみを改善する代表的な漢方薬ですが、便秘との関係では注意が必要です。
五苓散は体を温めて余分な水を排出する働きがあります。その結果として体内の乾燥を強めることがあります。乾きによって腸管の動きが乱されると、かえって便秘が強くなる可能性があるのです。
また、身体全体の状態として考えると、水の巡りが悪い状況の中で、体の下部にはむくみがあるのに上部には乾きがあるなど、むくみと乾燥が混在しているような場合もあります。このような状態で五苓散を服用すると、乾きが局所的に強まり、気の上向きの流れをさらに強めてしまい、腸管の動きを乱すこともあります。
一方で、むくみによって腸管の働きが上手く発揮できないような場合には、五苓散によって余分な水の排除が進むことで、便秘の解消につながることもあります。体質によって効果は異なるため、自己判断は避けるべきでしょう。
この方におすすめの自然療法を教えてください
今回の相談者の場合、残便感や膨満感があることから、「気の滞り」が存在すると考えられます。この気の滞りが上焦過多(じょうしょうかた:体の上部に気が集中しすぎている状態)を引き起こし、気や水の巡りに影響を与えて耳の閉塞感や便秘につながっていると推測できます。
さらに、気の滞りがあることで、便が出口付近にきた状態で腸管が痙攣すると、激しい痛みを引き起こす可能性があります。これが、相談者が経験した「便秘の激痛」の原因かもしれません。
このような症状に対して、以下の自然療法がおすすめです:
- 腹部のセルフマッサージ:時計回りに優しくマッサージすることで腸の動きを促進しましょう
- 適度な有酸素運動:ウォーキングなどの軽い運動で気の流れを整えます
気の滞りと上焦過多の改善に効果が期待できる漢方薬
- 香蘇散(こうそさん):気の滞りを改善し、上部に集中した気を分散させる効果があります
- 大柴胡湯(だいさいことう):気の巡りを良くし、上向きの気の流れを調整する働きがあります
- 桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう):腸の痙攣を和らげ、腸管の動きを整える効果が期待できます
※これらは特定の体質タイプの改善に効果が期待できる漢方薬の一例です。症状が複雑な場合には、単独の漢方薬では効果が得られないこともあります。当店では個別の漢方相談も行っておりますので、お気軽にご相談ください。
まとめ:生理前の不調は体質改善でラクになる
生理前の耳閉塞感と便秘は、東洋医学的に見ると「気の滞り」と「上焦過多」という体質的な問題から生じている可能性があります。体質改善は一朝一夕にはいきませんが、適切な生活習慣の改善と、必要に応じた漢方薬の活用で症状を和らげることができます。
ご自身の体調の変化に敏感になり、早めの対策を心がけましょう。特に生理前は意識的に体を温め、リラックスする時間を作ることが大切です。日々の小さな積み重ねが、大きな体質改善につながります。
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