
こんにちは
どうなさいましたか?

アトピーにお悩みの方から
質問をいただきましたよ
アトピー性皮膚炎でお悩みの方の中には、「緊張したときに痒みが増す」「仕事から帰ってリラックスした途端に症状が悪化する」という経験をお持ちの方が多くいらっしゃいます。
なぜストレスや感情の変化がアトピー症状に影響するのでしょうか?
今回は、アトピー性皮膚炎と緊張・ストレスの関係について、実際の体験談をもとに東洋医学的な視点から解説します。症状を根本から改善するための自然療法もご紹介しますので、薬に頼らない体質改善を目指したい方はぜひ参考にしてください。
この方の体質的な特徴とお悩みの症状
外見的な特徴とお悩みの症状
- 39歳女性
- 身長:149cm
- 体重:49kg
- BMI:22.07
主な症状:
- 皮膚の乾燥と湿疹
- 湿疹が膿になりやすい
- 痒みがある(特に緊張時や帰宅時に悪化)
- 顔色が黒ずみがち
- 皮膚や髪の毛の乾燥
この方の場合、顔色が黒ずみがちなことから血液の巡りが悪い状態が見受けられます。また、ストレスが原因となって気の巡りが悪化し、それが血液の流れも妨げているようです。
舌の裏の血管も細いながらもよく見える状態で、皮膚や髪の毛の乾燥も見られることから、潤いが表層まで届いていないことがうかがえます。
舌の色が白っぽいことは血の不足か体の冷えを示しますが、手足が冷えて寒がりとのことなので、冷えの影響が大きいと考えられます。
さらに、舌に水っぽい白い苔がついていること、口が粘る感覚があること、雨の日に体調が悪くなること、足のむくみがあることから、体内の余分な水分(水湿)が熱を圧迫している状態も考えられます。
肌荒れはなぜ起こるのか?
アトピー性皮膚炎などの肌トラブルが起こる仕組みを簡単に説明しましょう。
私たちの皮膚は常に外界からの刺激にさらされているため、適切なタイミングで古い細胞を捨て、新しい細胞に入れ替える必要があります。この入れ替わりのことを「ターンオーバー」と呼びます。
健康な肌のターンオーバーを維持するためには、体内から皮膚へ必要な栄養が届けられ、同時に皮膚で不要になった代謝物を回収するという、内側と外側の「巡り」が保たれていることが重要です。
しかし、この巡りが阻害されると、皮膚へ栄養が届かなくなり正常な皮膚が作られなくなります。また、不要物の回収が滞ると皮膚周辺に老廃物が停滞し、結果として肌荒れやアトピー症状を引き起こすのです。
身体の上下のバランス異常と気の滞り
この方の症状を見ると、身体の上部では乾燥が見られる一方で、下部では水分過剰という状態が見受けられます。つまり、体内の水分が必要に応じて適切に巡っていないのです。
尿の回数や量からは基本的な巡りは維持されていますが、水分と熱のバランスに偏りがあることがわかります。
また、以下の症状から腸の動きが下方向へうまく機能していないことも見受けられます:
- ゲップやガスが出ると楽になる
- 2〜3日に一度の排便
- 食後の腹部膨満感
これらは気の滞りによって起こる症状です。さらに、イライラしやすい、怒りっぽい、肩こりがあるなどの症状から、気が上向きに偏っていることもわかります。
立ちくらみしやすい、腰痛があるという症状からは、正常な気血の流れが滞っており、上部へうまく運ばれていないことがうかがえます。腰痛からは腎陽の不足(体を温める根本的なエネルギーの不足)も考えられます。
水分過剰と気の滞りによる症状
この方の場合、足のむくみ、雨の日の体調不良、口の粘り、舌の水っぽい苔から、体内に余分な水分がたまっている状態が見られます。しかし、全体的な動きの悪さによってその水分が滞ってしまっているのです。
イライラしやすい、怒りっぽい、不眠になりやすい、不安感が強い、夢をよく見るといった症状は、気の滞りによって心を穏やかにする血や潤いが足りなくなっていることを示しています。
ただし、全体的な血の不足ではなさそうです。食欲はあり、BMIは正常範囲、排便は2〜3日に一度で硬めということから、消化吸収機能には大きな問題はありません。また、声が大きいことからも、ある程度の気力は維持されているようです。
アトピー症状が緊張で悪化する理由
この方が「仕事が終わって帰宅した時、緊張する時、笑う時、ストレスを感じる時に症状が悪化する」と述べていることから、感情の変化が症状悪化のトリガーになっていることがわかります。
イライラしやすく怒りっぽい傾向があることから気の滞りがあり、さらに喉の渇きがないとのことから、体が必要とする以上の水分が摂取されている可能性があります。
この余分な水分の巡りを気の滞りがさらに悪化させ、その結果、体の上部へ血液や潤いが届かなくなって不足し、こもった熱が過剰になって耳鳴りを起こします。さらに血行不良により乾燥や顔色の黒ずみが生じ、停滞した水分が湿疹や痒みを引き起こしているのです。
これらの症状の根本には、ストレスによる気の滞りと体内の冷えがあると考えられます。手足の冷えや排便の少なさは、体の冷えと気の巡りの悪さが合わさると起こりやすくなります。
ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい
この方の体質的特徴として、ストレスからの気の滞り、余分な水分による巡りの阻害、栄養を届ける力の不足などがあります。
このような状態では、単に血液の材料や潤いを増やすものを摂取すると逆効果になる恐れがあります。まずは気の滞りを解消し、余分な水分を排除して、体の熱を強めることが重要です。
シミやそばかす、皮膚の黒ずみ、しびれなどの症状もあることから、血行改善も必要です。これらを総合的に考えると、まずは適度に汗をかく程度の運動を取り入れることをおすすめします。
気の巡りを促す食べ物
- タマネギ
- ミョウガ
- えんどう豆
- ジャスミン茶
- オレンジなどの柑橘類
余分な水分を排出する食べ物
- 大豆
- ハトムギ
- そら豆
- トウモロコシ
- 小豆
体を温める食べ物
- エビ
- ニラ
- クルミ
- ピーマン
- 乾燥生姜
- ニンニク
血行改善を促す食べ物
- チンゲン菜
- ヨモギ
- 黒きくらげ
- 春菊(特におすすめ)
チンゲン菜やハトムギは体を冷やす性質がありますので、体を温める食材と組み合わせるとバランスがよくなります。
特に春菊は、血液をサラサラにするだけでなく、ストレスによる気の滞りも解消し、余分な水分の排除もしてくれます。さらに胃腸の働きを整え、胃もたれを解消することから、肌を美しくする効果も期待できる優れた食材です。
アトピーの体質改善に役立つ漢方薬
この記事でご紹介した体質(気の滞りや水湿の過剰、血行不良など)の改善に効果が期待できる漢方薬をいくつかご紹介します。ただし、これはあくまで一般的な情報であり、個人の症状に合わせた処方ではありませんのでご注意ください。
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):血行不良による冷え性や乾燥肌に効果があります。特に冷えからくる肌トラブルに有効です。
- 柴胡清肝湯(さいこせいかんとう):熱を伴う皮膚症状に効果がある漢方薬で、湿疹や化膿しやすい症状に用いられます。
- 十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう):皮膚の排泄機能を高め、体内の余分な水分や毒素の排出を促進します。
症状が複雑な場合には、単独の漢方薬では効果が見られないこともあります。ピヨの漢方では、お一人お一人の体質や症状に合わせた漢方相談を行っておりますので、お気軽にご相談ください。
まとめ
アトピー性皮膚炎と緊張・ストレスの関係について見てきました。東洋医学的な観点からすると、ストレスによる「気の滞り」が血行不良を引き起こし、さらに体内の余分な水分と相まって様々な肌トラブルを引き起こしていることがわかります。
症状改善には以下のアプローチが効果的です:
- 適度な運動で汗をかき、気の巡りを改善する
- 気の巡りを促す食材、余分な水分を排出する食材、体を温める食材をバランスよく摂取する
- 春菊などの血行改善効果のある食材を積極的に取り入れる
- 必要に応じて漢方薬の力も借りる
アトピー性皮膚炎は一朝一夕に改善するものではありませんが、体質からアプローチすることで根本的な改善が期待できます。焦らず、じっくりと体質改善に取り組んでみてください。
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