
こんにちは
どうなさいましたか?

抑肝散と抑肝散加陳皮半夏の違いが知りたいと
質問をいただきましたよ。
皆さんは「抑肝散」と「抑肝散加陳皮半夏」の違いをご存知ですか?名前は似ていますが、実はそれぞれ異なる特徴を持ち、症状によって使い分けるべき漢方薬なんです。
当店では最近、パニック障害で抑肝散を服用していたけれど、胃の調子が悪くなったため抑肝散加陳皮半夏に変更になったというご相談をいただきました。このような悩みは意外と多いんですよ。
今回は、この二つの漢方薬の違いと、どのような場合にどちらを選ぶべきかについて詳しく解説していきます。漢方の基本である「肝気の働き」から理解していきましょう。
肝気とは何ですか?
漢方医学では「肝気」という概念が非常に重要です。肝気には気血を全身に配っていく働きがあります。
ちょうど樹木が葉を茂らせて大地に根っこを伸ばしていくように、風が淀みなく流れていくように、本来なら肝気は伸びやかに緩やかに体の隅々に巡っています。
しかし、この肝気が滞ってしまうと様々な病気につながります。例えば、肝気が伸びやかに拡がれなくなって一か所に抑圧されると、肝気が過剰になって上部へと向かい、イライラや怒りっぽさ、落ち着かないなどの症状となって現れ、頭の働きを乱すようになります。
抑肝散と抑肝散加陳皮半夏の基本的な違いは何ですか?
抑肝散の働き
抑肝散は以下のような働きをします:
- 肝気の滞りを解放する
- 上部でこもって乱れている気を引き降ろして解消する
- 上部で起きている問題を解決するために必要な材料を血に載せて届ける
- お腹の水の巡りを整える
抑肝散加陳皮半夏の働き
抑肝散加陳皮半夏は、抑肝散の効能に加えて、気や水を引き降ろす働きが強化されています。名前の通り、「陳皮」と「半夏」という生薬が追加されており、これらが水分代謝を改善し、余分な水や気を下に引き降ろす効果を持っています。
どのような症状に使い分けると良いですか?
抑肝散が適している場合
抑肝散は次のような場合に適しています:
- ストレスによる気の滞りがある
- お腹周囲の気血の巡りが滞っている
- 体の上部で血の不足やこもった熱がある
- 主に血を引き上げて解消したい場合
抑肝散加陳皮半夏が適している場合
抑肝散加陳皮半夏は以下のような症状に効果的です:
- お腹に余分な水が停滞している
- 胃の調子が悪い
- のぼせやすい(気や熱が上部へ向かいやすい)
- 上部に停滞する余分な気や水を体の下部まで引き降ろして解消したい
- 身体全体の気血水の巡りを調和させたい
胃腸の不調があれば、抑肝散よりも抑肝散加陳皮半夏の方が適していることが多いですね。特に水分代謝に問題がある方には効果的です。
パニック障害には漢方薬はどう効くのですか?
パニック障害は、漢方医学の観点では肝気の滞りが関係していることがあります。肝気が滞ると、気が上部に昇り、不安感や動悸、めまいなどの症状を引き起こします。
抑肝散はこの肝気の滞りを解消し、上がりすぎた気を下げる効果があるため、パニック障害の症状緩和に役立ちます。しかし、胃腸に問題がある場合は、抑肝散加陳皮半夏に切り替えることで、胃腸の調子を整えながらパニック障害の症状にも対応できます。
このように、体質や症状の組み合わせによって適切な漢方薬は変わってくることがあります。
まとめ:体質に合わせた漢方薬選びが大切
抑肝散と抑肝散加陳皮半夏、どちらも肝気の滞りを解消するという共通点がありますが、症状や体質によって選ぶべき漢方薬は異なります。
特に胃腸の調子が悪い方や、水分代謝に問題がある方は抑肝散加陳皮半夏が適している場合が多いです。一方で、単純な気の滞りによる症状には抑肝散が効果的です。
症状が複雑な場合には、単独では効果がない場合もありますので、当店での漢方相談もご利用ください。専門家が体質や症状に合わせた適切な漢方薬をご提案いたします。
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