
こんにちは
どうなさいましたか?

当帰湯と当帰四逆加呉茱萸生姜湯の
使い分けを知りたい
という質問をいただきましたよ。
寒い季節になると特に気になる「冷え」の悩み。冷えは単なる不快感だけでなく、お腹の張りや痛み、手足の冷えなど様々な不調の原因となります。
今回は冷えに効果的な二つの漢方薬、「当帰湯」と「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」について詳しく解説します。どちらも「冷え」に効く漢方薬ですが、作用する部位や効果が異なるため、自分の症状に合った選び方が重要です。
漢方薬の正しい知識と使い分けを理解して、冷えによる不調を改善していきましょう。
当帰湯とはどんな漢方薬ですか?
当帰湯は、お腹を温めて腸管の働きを高めてくれる漢方薬です。人参、乾姜(かんきょう)、山椒、桂皮(けいひ)などの温熱性の生薬が配合されており、体の中央から下部を集中的に温める効果があります。
お腹が冷えることで腸管の動きが弱くなってしまうと、お腹の張りや腹痛などの不快な症状が現れることがあります。当帰湯はそのような症状の解消に効果的です。
当帰湯に含まれる「当帰」は血の巡りを良くし、「黄耆(おうぎ)」は気を上向きに広げる働きがあります。また「半夏」や「厚朴(こうぼく)」は、腸管に停滞している気や水を下向きに引き降ろす効果を持っています。
これらの生薬の相乗効果により、当帰湯はお腹の働きを応援しながら、その活力が身体全体に広がるように作用します。
当帰湯の主な効能
- お腹の冷えによる腹痛の緩和
- 腸管の動きの活性化
- お腹の張りの解消
- 体の中心部からの温め効果
- 全身の気血の巡りの改善
当帰四逆加呉茱萸生姜湯はどんな漢方薬ですか?
当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)は、体を温めて末梢部(手足など)への気血の巡りを改善する漢方薬です。
「桂皮」や「細辛(さいしん)」といった生薬が体の芯部を温め、気を身体の表層へと導く働きがあります。また「呉茱萸(ごしゅゆ)」は、上部に力なくこもっている熱を温めながら体の末端部へと導いてくれます。
これらの作用により、当帰四逆加呉茱萸生姜湯は冷えによる滞りが原因の手足や関節の痛みの解消に効果的です。
さらに「当帰」「木通(もくつう)」「桂皮」「芍薬(しゃくやく)」などの生薬が血や水を巡らせる効果を持つため、頭痛や腹痛の解消にも期待できます。
当帰四逆加呉茱萸生姜湯の主な効能
- 手足の冷えや痛みの緩和
- 関節痛の改善
- 末梢循環の促進
- 冷えによる頭痛の緩和
- 上半身のこもった熱の分散
どのように使い分けたらいいですか?
両方とも冷えに効く漢方薬ですが、作用する部位や症状によって使い分けが必要です。
当帰湯は「温中散寒剤(おんちゅうさんかんざい)」と呼ばれ、主にお腹を温める効果があります。お腹を温めることで腸管の動きを活発にし、血や気を全身に巡らせていきます。温めて上部へ広げ、そして引き降ろす作用があるため、お腹の冷えが目立ち、腸管の動きが弱く、気血の広がりが悪い方に適しています。
一方、当帰四逆加呉茱萸生姜湯は「温経散寒剤(うんけいさんかんざい)」と呼ばれ、末端部や体の上部に作用する漢方薬です。桂枝湯の働きにより上下の巡りを改善しながら、末端部の滞りを解消します。また、力なく上部に浮いている熱を温めながら引き降ろして全身に広げる効果があります。そのため、冷えによって末端部が冷えて痛む方や、熱が上部に滞留している方に適しています。
使い分けのポイント
- お腹の冷えと腸の働きの改善 → 当帰湯
- 手足の冷えや末梢部の痛み → 当帰四逆加呉茱萸生姜湯
- 腹痛が主訴の場合 → 当帰湯
- 頭痛や手足の痛みが主訴の場合 → 当帰四逆加呉茱萸生姜湯
使う際の注意点
漢方薬は体質や症状に合わせて選ぶことが大切です。冷えの症状が複雑な場合には、単独では効果が現れにくいこともあります。
また、同じ「冷え」でも人によって症状の現れ方や原因が異なるため、自己判断だけでなく、専門家による漢方相談を受けることをお勧めします。
当店では漢方相談を行っておりますので、お気軽にご相談ください。あなたの体質や症状に合わせた最適な漢方薬をご提案いたします。
まとめ
当帰湯と当帰四逆加呉茱萸生姜湯は、どちらも冷えに効果的な漢方薬ですが、その作用する部位や効果が異なります。
- 当帰湯:お腹を温め、腸管の働きを高める「温中散寒剤」
- 当帰四逆加呉茱萸生姜湯:末梢部への気血の巡りを改善する「温経散寒剤」
自分の冷えの症状がどこに現れているか、どのような不調を感じているかによって、適切な漢方薬を選ぶことが大切です。
冷えは様々な不調の原因となりますので、根本から改善することで健康的な毎日を送りましょう。症状が複雑な場合は、ぜひ専門家による漢方相談をご利用ください。
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