皆さんは「竜眼肉(りゅうがんにく)」という生薬をご存知でしょうか?
ドライフルーツとして親しまれている「竜眼(リュウガン)」の果肉を乾燥させたもので、その名前の由来は果肉の中にある黒い種が龍の眼のように見えることから「龍眼」と名付けられました。
実は竜眼肉は単なる食材としてだけでなく、古くから東洋医学において重要な生薬として位置づけられ、心と脾を養い、精神を安定させる効果があるとされてきました。
特に現代社会で増えている不眠や健忘、疲労感などの症状に効果が期待できる生薬として注目されています。今回は、この竜眼肉の基本情報から効能、使い方、注意点までを詳しく解説していきます。
竜眼肉とは?基本情報を知ろう
竜眼肉は、ムクロジ科のリュウガンの果肉を乾燥させたものです。
性味・帰経
- 性味:甘、温(平)
- 帰経:心、脾
主な成分
- ビタミンA・B群
- 炭水化物
- 糖質
- その他の栄養素(鉄分、ポリフェノールなど)
竜眼肉は、桂円肉、桂円、円肉、桂元肉、元肉などとも呼ばれ、中国南部や東南アジアを原産とする果実から作られます。日本では「リュウガンニク」や「ロンガン」という名前でも知られています。
竜眼肉にはどんな効果があるの?
竜眼肉の主な薬効は「補益心脾(ほえきしんぴ)」と「養心安神(ようしんあんじん)」の二つに大別されます。
補益心脾(心と脾を補い元気にする)
竜眼肉は心と脾の両方を補う効果があります。東洋医学では、心は血液を司り、脾は気を司るとされています。この二つの働きが弱ると、以下のような症状が現れることがあります:
- 心脾両虚、気血不足による出血症状
- 貧血
- 脾虚による下痢
- 全身の倦怠感
- 病後や産後の虚労
竜眼肉は甘温の性質を持ち、潤いを与えながら心と脾の働きを高め、エネルギーと血の生成を促します。特に、病気の回復期や産後の体力低下している時に有効です。
養心安神(心を養い精神を安定させる)
現代社会で増えている精神的な症状にも、竜眼肉は効果的です:
- 神経衰弱
- 不眠
- 健忘(物忘れ)
- 心悸(どうき:動悸)
- 驚悸(きょうき:驚きやすい)
- めまい
- 記憶力減退
竜眼肉は心を養い、血を補うことで精神を安定させ、これらの症状を和らげる効果があります。特に気血不足によって引き起こされる精神的症状に対して効果的です。
竜眼肉はどのように使うの?実践的な応用例
日常的な食べ方
竜眼肉は生薬としてだけでなく、食材としても楽しめます:
- そのまま食べる(ドライフルーツとして)
- お湯を注いでやわらかくしてから食べる
- ラム酒などに漬けてスイーツのように楽しむ
- お茶として煎じて飲む
- お粥に入れる
- スープやデザートの材料として使う
竜眼肉を使用する際の注意点は?
禁忌と使用上の注意
- 痰火、湿滞、停飲証の方は控えましょう
体内に痰や水分が停滞している方、内熱が強い方は竜眼肉の使用を控えたほうが良いでしょう。 - 妊娠中と小児は注意が必要
妊娠中の方や小さなお子さんは内熱の状態を招きやすいので、多量に摂取しないよう注意しましょう。 - 体質に合わない場合
竜眼肉は温性があるため、体が熱を持ちやすい方や内熱の強い方は控えめにしましょう。
まとめ:竜眼肉の魅力と活用法
竜眼肉は、心と脾を補い、精神を安定させる効果が期待できる素晴らしい生薬です。特に現代社会で増えている不眠や健忘、疲労感などの症状に効果的で、日常的に取り入れることで心身のバランスを整えることができます。
- 心と脾を補い、気血を養う効果
- 精神を安定させ、不眠や健忘を改善
- 病後や産後の体力回復に役立つ
- 食材としても美味しく摂取できる
ただし、体質や状態によっては注意が必要なので、心配な方は漢方専門医や薬剤師に相談してから使用することをおすすめします。
竜眼肉を日常に取り入れて、東洋医学の知恵を活かした健康生活を送ってみませんか?
参考文献

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