お腹が痛くなる原因は?安中散の働きと体質別の選び方

お腹の不調
ピヨ先生
ピヨ先生

こんにちは
どうなさいましたか?

にゃんたろう
にゃんたろう

お腹の痛みにお悩みの方から
質問をいただきましたよ

しくしくとお腹が痛い、冷たい水を飲むと気持ちが悪くなる…そんな症状にお悩みではありませんか?

食事のたびにお腹の不調を感じると、日常生活も憂鬱になってしまいますよね。今日は、お腹の冷えによる痛みや胃もたれに働きかける漢方薬「安中散(あんちゅうさん)」についてお話しします。

どうしてお腹が痛くなるのか、そして安中散がどのように働くのかを、中医学の視点からやさしく解説していきますね。

お腹が痛くなる原因は何ですか?

食べた物は、**胃気(いき)**という働きで消化されます。その後、胃気の下向きの動きによる腸の蠕動運動で、吸収する場所へ運ばれていきます。

そこで**脾気(ひき)**が体に必要な栄養を吸収し、体に必要な状態に作り変えます。作り変えられた栄養は、脾気と肝気の働きで体の上の方へ運ばれ、全身へ配られます。

つまり、胃気は下向きに、脾気は上向きに働くことで、食べた物は処理されているのです。

この胃気と脾気は表裏の関係にあります。お互いにバランス良く働くことで機能を維持しています。どちらか片方でも具合が悪くなると、もう片方へも影響が及びます。

お腹が冷えると、この働きが低下してしまうのです。

冷えがお腹の働きを悪くする仕組み

胃気と脾気の働きは、体の芯部の根本である**腎陽(じんよう)**から受け取った熱源を基にしています。熱が不足すると、それぞれの動きが鈍くなります。

例えば、次のような生活が続くと脾気の働きが低下します。

  • 脂っこいものや甘いもの、味の濃厚な物を食べ続ける
  • ストレスを感じる生活が長く続く
  • 気持ちが塞ぎがちで思い悩むことが多い

脾気が弱ると、食べた物を吸収して栄養を作り変え、体の上の方へ運ぶことができなくなります。すると、エネルギーである気や、体の材料となる血液を作れなくなります。

今度は胃気の機能もエネルギー不足に陥ります。消化して体の下の方へ降ろす働きにも影響が出始めます。

主な症状:

  • 胃もたれ
  • 吐き気
  • お腹の張り
  • 食欲不振

さらに状態が悪くなると、気血が足りなくなります。エネルギー不足になった脾気の働きが低下して、熱が不足するようになります。これまで以上に脾気や胃気の機能が低下し、お腹の働きが悪くなります。

追加される症状:

  • お腹の痛み
  • 手足の冷え

このお腹の痛みは、冷えによって気や血液など必要な栄養が流れなくなることで起きています。温めたり揉んだりすると、やや軽くなる性質があります。

冷えが引き起こす痛みの特徴

冷たい水に触れていると、毛細血管が閉じて手がギューッと引きつるような痛みを感じますよね。

これは、冷えには熱を奪う性質と共に引き締める性質があるためです。この性質によって、気や血液の流れは引き絞られるように阻害されます。筋肉が引きつるようになるので、冷えの程度が強い場合には引き絞られるような痛みを感じます。

しかも、冷えには一か所に留まって停滞する性質もあります。温められて気血の流れや筋肉の引きつりが回復するまで、痛みが同じ場所にいつまでもしつこく続くことになります。

飲食物による冷えにも注意

もちろん、脾気や胃気の働きが弱ることだけが、お腹の冷えの原因ではありません。

次のような飲食を続けている場合にも、お腹が一気に冷やされて同じことが起こります。

  • ジュースやビールなどの冷たいもの
  • サラダやスムージーなどの生もの

お茶やコーヒーなど、温度的には温めて飲んでいたとしても要注意です。食べ物の性質的に冷やすものを不必要に長く続けていると、その性質によって段々とお腹は冷やされてしまいます。

ちなみに、緑茶には冷やす性質があります。なので熱が体にこもったことによって起こる頭痛、めまい、目の充血、下痢、尿の出が悪いような場合に、熱を冷まして症状を解消する効果が期待できます。

ですが、その場合であっても温めて飲むことが推奨されています。冷たい状態で続けて沢山飲んでいると、いずれ余分な水分がお腹に溜まり始めます。不眠、吐き気、めまい、腰や足の痛み、膀胱の痛みなどになると言われています。

では、このような状態を安中散がどのように働くことで解消するのか見ていきましょう。

安中散はどんな漢方薬ですか?

安中散は、7種類の生薬で構成されています。それぞれの生薬が協力して、お腹を温め、停滞している気血の流れを回復させて痛みの解消を助けてくれます。

安中散に使われている生薬:

  • 桂皮(けいひ): 体の芯部を温める
  • 高良姜(こうりょうきょう): お腹を強く温める
  • 茴香(ういきょう): 体の奥深くを温める
  • 延胡索(えんごさく): 気血を巡らせ痛みを和らげる
  • 縮砂(しゅくしゃ): お腹を温め気を巡らせる
  • 牡蛎(ぼれい): 胃酸を中和し引き締める
  • 甘草(かんぞう): お腹の働きを高める

どうして腹痛が良くなるのですか?

安中散の7種類の生薬は、それぞれが役割を持って働きます。

桂皮は、体の芯部の熱源を温めます。同時に、冷えによって塞がって通りにくくなっている気血の流れを、血管を拡張することで回復させます。また、胃液の分泌を促進して消化吸収機能も高めてくれます。これにより、お腹の働きが改善されます。

高良姜は、お腹を温める働きが強い生薬です。温めることにより循環を改善して胃気の働きを応援します。冷えによって起きている痛みや吐き気などの解消に効果があります。

茴香は、体の芯部からお腹や下腹部といった体の奥深い部位を中心に温めます。体の中に停滞している冷えを発散することで、痛みの解消につながります。しかも、胃腸の働きを高めることにより、胃気の下向きの動きを巡らせます。腸管の蠕動運動の働きを高めてくれるので、お腹の張りや痙攣による痛みの解消にも役立ちます。

延胡索は、滞って停滞している気や血液を、温めながら筋肉の痙攣を緩めながら巡らせます。気血の滞りにより生じている痛みの解消に働きます。

縮砂は、お腹を温めることと共に停滞している気を巡らせます。胃もたれやお腹の張り、吐き気などを解消し、お腹の働きを高めて食欲の改善にもつながります。

これらの生薬によって、お腹は温められます。停滞している気や血液の巡りが解消されますので、胃気と脾気の上下の動き、特に下向きの動きが回復して痛みの解消につながります。

さらに、牡蛎は含まれているカルシウムの働きにより胃酸を中和します。同時に、胃酸の出入り口を引き締める力が緩んで出過ぎてしまっている状態を、引き締める働きを応援します。胃酸の出過ぎを止めて痛みの解消をしてくれます。また、鎮静作用があるので、痛みにより興奮している心身の状態を落ち着かせてくれます。

甘草は、お腹の働きを高めます。同時に、気や潤いの材料を補充することで、これらの働きを支えます。

安中散の働きをまとめると

桂皮で芯部を温め血管を拡張し、高良姜でお腹を温めて痛みを解消します。茴香で深い部分から温めて痛みを解消し気を下向きに巡らせ、延胡索で血液を巡らせます。縮砂でお腹を温めて気を巡らせ、牡蛎で胃酸を中和しつつ引き締めます。甘草で気や潤いの材料を補充します。

これにより、冷えによってお腹の働きが低下し、気血が停滞していたことにより生じていた胃の痛みや吐き気、胃もたれなどが解消されます。

どんなタイプの人に向いている?体質別おすすめコメント

安中散は、次のような体質や症状の方に特に向いています。

冷えやすく胃腸が弱い方: お腹が冷えやすく、食後に痛みを感じやすい方におすすめです。温めると楽になるタイプの腹痛に適しています。

ストレスで胃が痛くなる方: 緊張やストレスでお腹の調子が悪くなる方、気持ちが塞ぎがちで思い悩むことが多い方にも向いています。

冷たいものを好む方: ジュースやビール、サラダなど冷たいものや生ものを好んで食べている方で、胃もたれや吐き気を感じやすい方に。

胃酸が出過ぎる方: ゲップが多く、胃酸が上がってくる感じがある方にも適しています。

ただし、症状が複雑な場合には単独では効果が十分でない場合があります。お一人お一人の体質や症状に合わせた漢方薬の選択が大切です。当店では漢方相談を行っておりますので、お気軽にご相談ください。

まとめ

今回は、お腹の痛みと安中散についてお話ししました。

お腹の痛みが起こる原因にはいくつかあり、食事の不摂生やストレスがその原因となっていることが多く見られます。

特に、ジュースやビール、サラダや生ものなど、お腹を冷やしてしまうものの食べ過ぎは要注意です。

冷えの性質には熱を奪う性質と共に、引き締める性質、一か所に停滞する性質があります。これらの性質によって、気や血液の流れが引き絞られるように阻害されてしまうと、筋肉が引きつられるようになり激しい痛みを感じるようになります。

季節に関係なく冷たいものや冷やす性質のものを摂り続けていると、お腹の中の血管は段々と狭く細くなっていきます。血液の届かない部位では、少しずつ働きが弱くなっていきます。

お腹が弱く痛みになりやすい方はもちろんですが、胃もたれや吐き気、ゲップなどになりやすい方も、お腹は出来るだけ冷やさないような食生活を心がけてみてくださいね。

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